サーバーの運用監視とは?監視項目や監視方法を解説|効率化する監視ツールも紹介!

こんにちは。「クロジカサーバー管理」コンサルティングチームの西原です。

サーバーの安定稼働は、ビジネスの継続性と効率性に直結します。そのため、適切なサーバーの運用監視は非常に重要です。本記事では、サーバーの運用監視について、その目的から具体的な監視項目、効率的な実施方法まで詳しく解説します。

この記事でわかること

① サーバーを運用監視する目的
② サーバー運用監視で対応すべき項目
③ サーバー運用監視を効率的に行う方法

サーバーの運用監視とは?

サーバーの運用監視とは、企業や組織が使用するサーバーの健全性と性能を常時チェックする重要な業務です。これには、サーバーが正常に動作しているか、リソースの使用状況、セキュリティの状態などを24時間365日監視することが含まれます。

サーバー運用監視の目的は、問題を早期に発見し、迅速に対応することで、システムの安定稼働を維持し、ビジネスの継続性を確保することです。適切な運用監視を行うことで、大規模な障害を防ぎサービスの信頼性を高めることができます。

サーバー運用監視の項目

続いてはサーバー運用監視において多岐にわたる監視対象となる項目を解説してまいります。

基本的な稼働状況の監視

死活監視

死活監視とは、サーバーが正常に稼働しているかどうかを監視する作業です。例えば、お店が開いているかを確認するように、サーバーが「生きている」か「死んでいる」かを確認します。具体的には、サーバーに定期的に信号を送り、返事があるか確認したり、ウェブサイトが表示されるかテストしたりします。これにより、問題が起きたときにすぐに気づき、対応することができるので、サービスの安定した提供につながります。

外形監視

外形監視とは、実際のユーザーの目線でサービスの状態を確認する作業です。例えば、お店の外観や入り口からの様子を確認するように、ウェブサイトやアプリが正しく表示され、機能しているかをチェックします。具体的には、外部からウェブサイトにアクセスしてページが正常に表示されるか、ログインや検索などの主要機能が問題なく動作するかを定期的にテストします。これにより、サーバー自体は正常でも、ユーザーが実際に使用する際の問題を早期に発見し、対応することができます。

パフォーマンスとリソースの監視

リソース監視

リソース監視とは、サーバーが持っている資源の使用状況を確認する作業です。例えば、お店の在庫管理のように、サーバーのストレージ容量(データを保存できる量)や、ネットワーク帯域(データを送受信できる量)などをチェックします。これにより、容量不足や通信量の制限に達する前に対策を取り、サービスの中断を防ぐことができます。

パフォーマンス監視

パフォーマンス監視とは、サーバーの動作の質や効率を確認する作業です。例えば、レストランの料理の提供時間や品質をチェックするように、ウェブページの表示速度やデータベースの処理時間などを測定します。これにより、システムの遅延や非効率な部分を特定し、ユーザー体験の向上や処理の最適化につなげることができます。サービスの快適さを維持するための重要な監視です。

トラフィック監視

トラフィック監視は、ネットワーク上のデータの流れを観察する作業です。これにより、異常な通信パターンや不正アクセスを素早く発見できます。例えば、急激なデータ量の増加は、サイバー攻撃の兆候かもしれません。また、特定のサービスへのアクセス集中も把握でき、必要に応じて対策を講じることができます。これはネットワークの安全性と効率性を保つために重要な役割を果たします。

セキュリティとログの監視

ログ監視

ログ監視は、サーバーやアプリケーションが記録する活動の履歴を定期的にチェックする作業です。これにより、システムの健康状態や問題の早期発見が可能になります。例えば、エラーメッセージの頻発はシステムの不具合を示唆するかもしれません。また、ユーザーの利用パターンを分析し、サービス改善のヒントを得ることもできます。ログ監視は、システムの安定運用と効率化に役立つ重要な業務です。

セキュリティ監視

セキュリティ監視は、システムやネットワークを外部の脅威から守るための継続的な監視活動を指します。具体的には、不審なアクセスパターンや未知のプログラムの動作を検知し、マルウェアやハッキングの試みを早期に発見します。また、重要データへの不正アクセスや情報漏洩の兆候も監視します。これにより、サイバー攻撃や内部不正を防ぎ、組織の情報資産を守ります。

アプリケーションとジョブの監視

アプリケーション監視

アプリケーション監視は、ウェブサイトやソフトウェアの動作状況を常時確認する作業です。ユーザーの体験に直結する応答速度や機能の正常性を監視し、問題が発生した際には迅速に対応します。例えば、ログイン機能の不具合やページ表示の遅延などを検知し改善します。また、アプリケーションの利用状況を分析し、パフォーマンス向上や機能改善の判断材料とします。これにより、サービスの品質と顧客満足度を維持向上させます。

ジョブ監視

ジョブ監視は、コンピューターシステムで定期的に実行される自動処理(ジョブ)の状況を確認する作業です。例えば、毎日深夜に行われるデータバックアップや、月末の請求書作成処理などが対象です。これらのジョブが予定通りに開始し、正常に完了したかを監視します。失敗や遅延があった場合、迅速に対応して業務への影響を最小限に抑えます。また、ジョブの実行時間や頻度を分析し、システムの効率化にも役立てます。

ハードウェアとネットワークの監視

ハードウェア監視

ハードウェア監視は、サーバーやストレージなどの物理的な機器の状態を常時確認する作業です。CPUの温度、ファンの回転数、ディスクの空き容量などを監視し、異常を早期に発見します。例えば、ハードディスクの故障予兆を検知して、データ損失を防ぐことができます。また、機器の稼働時間を記録し、適切なタイミングでの部品交換や機器更新を計画します。これにより、システムの安定稼働と長寿命化を実現し、突発的な障害を予防します。

ネットワーク監視

ネットワーク監視は、コンピューター同士の通信経路の状態を確認する作業です。インターネット接続やサーバー間の通信が正常に機能しているかを常時チェックします。例えば、通信速度の低下や接続の切断を検知し迅速に対応します。また、ネットワーク機器(ルーターやスイッチなど)の稼働状況も監視し、障害の予兆を把握します。これにより、安定したネットワーク環境を維持し、業務やサービスの中断を防ぎます。

バックアップの監視

バックアップ監視は、サーバーのデータが定期的にバックアップされているかどうかを監視し、データ消失のリスクを軽減することを目的としています。バックアップの成功・失敗、バックアップファイルのサイズ、バックアップの頻度などを監視することで、バックアップが正常に実行されていることを確認し、万が一のデータ消失に備えることができます。

サーバー運用監視を効率的に実施する方法

サーバー監視ツールの活用

サーバー監視ツールは、サーバーの様々な情報を収集・分析し、可視化することで、運用監視を効率化するためのツールです。様々な種類のツールが存在し、監視対象や機能、価格帯も様々です。

サーバー監視ツールを利用することで、以下のメリットがあります。

- 複数サーバーの一元管理
- 監視結果をグラフやチャートで可視化
- 問題発生時にアラート通知の受け取り
- 過去の監視データから傾向分析

主要なサーバー監視ツール

以下では効率的なサーバー監視を支援するツールをご紹介します。

Zabbix

多様なシステムの健康状態を一元的に監視できる無料のツールです。パソコンやサーバー、ネットワーク機器など、様々な機器の動作状況を24時間見守ります。問題が発生すると、即座にメールやSMSで担当者に通知します。また、グラフや図を使って分かりやすく情報を表示するため、専門知識がなくても状況を把握しやすいです。カスタマイズも容易で、企業の規模や需要に合わせて柔軟に設定できます。
参考:https://www.zabbix.com/jp

Nagios

ITシステムの健康状態を常時監視する老舗の無料ツールです。サーバーやネットワーク機器、サービスの稼働状況を24時間チェックし、問題が発生すると即座に管理者に通知します。交通信号のように、緑・黄・赤の色で状態を表示するため、専門知識がなくても直感的に理解できます。また、豊富なプラグインが用意されており、様々な環境に対応可能です。長年の実績があり、多くの企業で信頼されている監視ツールです。
参考:https://www.nagios.org/

Datadog

クラウドサービスやサーバーの状態を簡単に監視できるツールです。複雑な設定が不要で、サーバーの動作状況やエラーをリアルタイムで確認できます。また分かりやすいグラフや通知機能により、システムの問題を素早く発見し対応できるため、ITに詳しくない方でも安心してサーバー管理ができます。
参考:https://www.datadoghq.com/ja/

外部委託業者の活用

サーバー運用監視を外部委託業者に依頼することで、専門的な知識や経験を持つ人材を活用し、効率的な運用監視を実現することができます。外部委託業者には、様々なサービスを提供している企業があり、ニーズに合わせて最適な業者を選ぶことが重要です。

外部委託業者を利用することで、以下のメリットがあります。

- 専門的な知識や経験を持つ人材にサーバー監視の基本業務を一任できる
- 24時間365日の監視体制を構築できる
- 運用コスト(人件費)を削減できる
- 最新の技術やセキュリティ対策に対応できる

運用監視を始める前に知っておくべきこと

ここまでは、サーバー運用監視の概要や監視項目などを解説いたしました。上記内容を把握した上でいざ、サーバー運用監視を始める前に以下の点も理解しておく必要があります。

まずは、監視の目的を明確化し、何を監視すべきかを決定します。本記事では様々な監視項目を説明してまいりましたが、自社の人的リソースやセキュリティ要件を鑑みて監視項目の優先順位付けをすることも重要です。

次に、監視対象となるサーバーの構成や運用状況を把握し、適切な監視方法を選択します。さらに、運用監視を効率化・省人化するために、監視システムの導入や運用に必要なリソース(人材・お金)を確保する必要があります。また、監視システムの運用には、専門知識や技術が必要となります。

運用監視を始める前にこれらの点を考慮し、適切な計画を立ててから運用監視を開始することが重要です。

クラウドサーバーの監視方法

前項までは、「サーバー運用監視を効率的に実施する方法」と題してオンプレミス環境とクラウド環境をまとめて解説いたしましたが、本項ではクラウドサーバーでの監視方法に焦点を当てて解説いたします。

まず、クラウドサーバーの監視方法としては、「クラウドサーバー事業者が提供しているツールを利用する方法」「自社で運用監視システムを構築する方法」「SaaS型の運用監視ツールを使う方法」の3パターンがあります。

クラウドサーバー事業者が提供しているツールを利用する方法

「AWS」「Microsoft Azure」などの主要なIaaSでは事業者が監視ツールを提供しています。これらのツールを使うことで、サーバーの状態やパフォーマンスを簡単に確認でき、問題が発生した際にはアラートを受け取ることができます。さらに設定も比較的簡単で、専門知識がなくても利用しやすいのが特徴です。

一方でクラウドサーバー事業者が提供しているツールは、クラウドサーバー上の監視には強みがありますが、オンプレミス環境のサーバー監視と相性が良いとは言い切れず、併用しているケースでは十分なパフォーマンスが発揮できない可能性があります。

自社で運用監視システムを構築する方法

「Zabbix」などのOSSをカスタマイズして構築するケースが多いです。オンプレミスとクラウドサーバーを併用していても、自社システムに合わせて運用監視システムを構築できます。一方でゼロから構築し、さらに運用保守も行わなければならないため、コストと手間がかかります。

SaaS型の運用監視ツールを使う方法

「Site24x7」などの運用監視サービスが有名です。手軽に導入できてコストも抑えられるのが魅力です。クラウドサーバー事業者が提供しているツールに比べるとカバー範囲は広いですが、フルカスタマイズでシステムを構築するよりもカスタマイズ性は劣ります。手軽にバランス良く監視したいといった場合におすすめの方法です。

クラウドサーバーの運用監視をアウトソーシングするメリットとは?

クラウドサーバーは増減が手軽にできる分、運用監視もすぐに反応できる柔軟さが求められます。また、クラウドサーバーとオンプレミスを併用してシステムを構築している場合、運用監視が複雑になります。システムエンジニアが常駐して対応できるような環境であればベストですが、そこまでのコストと手間をかけられない企業もあります。そんな時には、運用監視そのものをアウトソーシングするのがおすすめです。たとえば、クラウドサーバーのみを利用しているケースは、専用の運用監視サービスを利用するのがいいでしょう。

「AWS」のようなサービスは、導入企業が多いため、専用の運用監視サービスを提供しているベンダーも豊富にあります。オンプレミスとクラウドサーバーを併用しているケースでは、できればフルカスタマイズしたシステムを構築するのがいいのですが、コストや手間がネックでした。そんな悩みには、カスタマイズと運用監視がセットになったアウトソーシングサービスがおすすめです。実際に、Zabbixを用いたシステムの構築から運用監視サービスまでセットになったアウトソーシングサービスがあります。

さいごに

クラウドサービスの利用が普及した今、クラウドサーバー上にWebサイトやシステムを構築するケースはますます増えていくことが予想され、クラウドサーバーならではのスピード感が運用監視にも一層求められます。また、オンプレミス環境でのシステム運用が完全になくなる訳ではないため、クラウドサーバーとオンプレミス環境を一元的に運用監視するスキルが求められます。そういった場合には、思い切ってアウトソーシングしてしまうという方法もあります。環境に応じた適切な運用監視の手法選びのためにも、検討されてみてはいかがでしょうか?

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