【後編】今から対策可能!令和6年度介護報酬改定前の4点の準備について

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの柴田です。

令和6年は3年に一度の介護報酬改定の年です。さらに今回は診療報酬、障害福祉も同時に改定されるので、早い段階から国の動きに関心を持ち、事前の準備をしておくとよいでしょう。

この記事では、令和6年4月の改定に向けて社会保障審議会で議論されているトピックの中から、介護事業所が今からできる4つの準備について紹介します。
※令和6年度介護報酬改定の概要については下記記事でご紹介させていただいております。
【前編】差し迫る令和6年度介護報酬改定とは?〜概要解説と注目ポイントについて〜

業務継続計画(BCP)の策定と運用

令和6年4月から全ての介護事業所に、災害時BCPと感染対策BCPの策定が義務化されることになりました。これらが義務化された理由は、介護サービスがいまや要介護高齢者にとって生活を支える貴重な社会資源となっており、災害発生時や感染症であっても事業を継続する必要があるからです。

介護事業所は、こういった事業継続への脅威に対して、「平時からできること」「緊急時に行うこと」など整理しBCPを策定することになります。

BCPは災害と感染対策の作成が義務化

大きな法人が地域にいくつもの事業所を運営していたり、一つの建物で種別の異なる事業所が入っていたりする場合があります。その際でもBCPは事業所ごとに作成する必要があるため、「法人の指針が定まっていない」「何を記載していいのか分からない」といった理由で、完成にまでに至っていない事業所があります。

下の表はBCPごとの記載ポイントを、国のガイドラインをもとにまとめました。

種 類記載項目
災害時BCP1)平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)2)緊急時の対応(BCP発動基準、対応体制等)3)他施設及び地域との連携
感染対策BCP1)平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取り組みの
実施、備蓄品の確保等)2)初動対応3)感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、関係者との情報共有等)
<参考:厚生労働省

クラウドを活用したデータ管理がおすすめ

災害時のBCPを完璧に作成していても、事業所が被災したりライフラインが途絶えてデータが見られなければ意味がありません。感染症BCPの場合でも、感染したスタッフがわざわざ事業所へBCPを確認に来ることが、さらに感染を拡大させてしまうことになりかねません。

こういった事態に備えて、BCPをデータ化しクラウドに保管しておくことをおすすめします。なぜならクラウド保存することで、紙媒体による費用コストを抑えられるだけでなく、スタッフがどこにいてもデータにアクセスできるので、被災や感染リスクを負うことなく情報共有が行えるからです。

具体的な訓練や研修方法

BCPで最も重要なことは、作成した計画が災害や感染発生時に安全に継続的に遂行できるかということです。いくらクラウド上にデータ化されたBCPがあったとしても、スタッフが確認方法を知らなければ意味がありません。つまり日頃からデータへアクセスできるように全員に周知されていることが重要です。

国のガイドラインでは、具体的な訓練の方法は明示されていませんので、地域や規模に応じた方法で取り組める例をご紹介します。

区分項目目標目安
研修災害について(一般的知識)事業継続計画の研修・想定される災害知識の習得・防災対策・計画の理解、BCPの周知入職時と年1回
研修演習災害時ケアマネジメントの研修・利用者一覧表や優先順位の高い利用者の情報共有・職員間の連絡方法の訓練年1回
訓練災害時机上訓練・発災時の模擬訓練。多職種連携・災害時ネットワークの強化年1回
消防が実施する研修会に参加・消火器や消火栓を使った訓練・応急処置(救急救命法・AEDの操作)について所属法人計画に準ずる
情報訓練・利用者データのバックアップ・クラウドの操作・計画、データ、連絡ツールの見直し年1回
<参考:日本介護支援専門員協会.災害対応マニュアル第5版.P59>

現場の効率アップに向けたICT活用

介護現場においてICTを活用することで、人手不足の解消になったり、業務を効率化したりする効果を得ることができます。この章ではいくつかの具体的なICT活用事例を紹介します。

ICTを活用した事例(施設サービス)

定員80名の3階建てのある特養では、フロアごとに夜勤スタッフが1名ずつ配置されています。この施設では無線インカムを導入し深夜でもフロアが異なるスタッフ同士が、連絡しあえる環境を整備しました。すると、ある夜入居者Aさんが転倒した際、スタッフはすぐにほかのフロアスタッフに応援を依頼し、怪我の確認、そして他の入居者への安眠サポートを協力して行えたのです。怪我のなかったAさんは朝まで落ち着いて良眠することができただけでなく、新人スタッフにおいても夜勤時の不安は軽減されました。

ICTを活用した事例(在宅サービス)

ケアマネジャーのSさんは、クラウド型で大容量のファイルストレージサービスを活用し、利用者Bさんの関係者間でデータによる情報共有を開始しました。すると、ヘルパーが訪問時の援助内容を書き込んだり、デイサービスからはイベントの写真投稿、かかりつけ医からは血液検査の結果などが直ちに共有されました。その結果、家族からは遠方でも日頃の親の様子が分かると喜ばれ、いつでも誰かがBさんを見守る安心体制が強化されたのです。

補助金を活用しよう

東京都福祉保健財団では、ICT導入の前に実際の機器に触れてみたり、専門アドバイザーによる情報提供や導入・活用に関する相談が受けられたりします。ICT機器の導入補助は、都道府県単位で行われれていますので、ご自分の地域でどういった補助があるのか確認してみましょう。<参考:東京都福祉保健財団

介護サービスの質を維持する労働力の確保

労働力の確保と介護サービスの質向上は深く関係しています。なぜなら、少ない人数でたくさんの高齢者に対応した場合、一人に関わる時間が減り、ケアの質が低下してしまうからです。そういった場合は、業務の見直しやチームの再構築が効果的です。

業務のデジタル化がスタッフの業務負担を減らす

三大介護といわれる「食事」「排泄」「入浴」は、安全面や生活の質に関わるため介護スタッフが対面で行う必要があります。しかし、申し送りや記録、報告などの業務は、デジタル機器を使ってデータでやり取りをすれば、業務の効率化が期待できます。時間に余裕ができれば、その分利用者とのコミュニケーションに充てることで、介護サービスの質はさらに向上するでしょう。

ケアチームの生産性を向上させるポイント

ケアチームの生産性をあげるには、リーダーがスタッフとのコミュニケーションを図り、全体のモチベーションを保つ姿勢が重要となります。業務課題が見つかれば、リーダーはマニュアルを作成して業務を平準化したり、チーム内で役割分担をするなど活気のある職場をつくったりすることが、退職者を減らすことにつながります。

科学的データに基づく介護サービスの展開

利用者の自立支援や重度化予防には、提供されている介護サービスが最適かを検証する必要があります。国は、LIFE加算という名称で、2021年より通所介護、介護福祉施設などを対象に、サービスの効果、検証の仕組みを介護保険制度に導入しました。

LIFE加算が介護サービスを変える

2024年の介護報酬改定では、訪問サービスや居宅介護支援もLIFE加算の対象となります。これは、既にサービス検証の仕組みが導入されていた通所サービスなどにおいて、一定の効果があったからだといえます。今後は全ての介護サービスにおいて適切なサービス提供やPDCAを活用したサービスの質向上がさらに求められます。

LIFE加算の種類と単位数

LIFE加算は適用される事業所の種類によって要件が異なります。令和3年から通所サービスでは一人当たり月40単位、入所では一人当たり月50単位がLIFE加算の報酬単位となりました。これからの介護事業運営は、LIFE加算の取得のためにデータ提出や活用など手間を惜しんでいては立ち行かない時代となるでしょう。

まとめ

災害や感染症による脅威から業務を守るためには、データによる情報共有やICTの活用など業務のデジタル化が欠かせません。そのためには「直接介護業務とそうでない業務」、もしくは「事業所で行う業務とリモートで行う業務」など、業務全体を客観的に分析し、整理することが重要です。

いつでも、どこからでも介護業務の管理を実現できるクラウドストレージは、新しい介護事業運営とBCP始動において、なくてはならない存在となるでしょう。

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「クロジカ大容量ファイル管理」は、サービス計画書・ケア記録やケアプラン、事故報告書など様々な文書やデータを扱う介護業において、データ管理の"はじめの一歩" となるサービスです。

文書によっては、2年~5年の保存義務があることで物理的に書類管理をするのは年々困難になると予測されます。クラウドストレージはインターネット上に重要な書類を安全に保管して、簡単に必要な情報にアクセスすることのできるサービスです。

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さらにマルチデバイス対応なので、タブレットからスマートフォン、PCからスマートフォンなどデバイスをまたいでデータ交換が可能です。また、施設長や責任者のみならず、職員の方々や利用者のご家族とのデータ共有をする場合は、利用者数に合わせたプラン選択ができます。

簡単に導入でき、安心安全で利便性の高い機能を備えています。
ファイル管理でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

ライター:柴田 崇晴(しばた たかはる)​

福祉系大学を卒業後、特養相談員や地域包括支援センターで20年従事し、現在養護老人ホームの園長に就任。複数の介護事業所を管理する傍ら、都道府県の介護支援専門員会副会長、私立看護学校での非常勤講師を兼務し、研修講師、人材育成を積極的に行う。
【資格】
社会福祉士 主任介護支援専門員

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