建設業におけるIT導入と業務改善|経営者の一歩が大きな改善を生み出す

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」建設業ライターの東海林です。

建設業界におけるIT導入が足踏みしている。危機的な状況になりつつある人材不足に対応するためには業界のIT化が死活問題であるにもかかわらず、積極的な動きは政府・国土交通省や大手ゼネコンなどに代表される業界ピラミッドの頂点付近に限られてしまっている感が否めない。

業界内では相対的に高度な知識層が集積している設計技術者でさえ、BIM/CIMを恒常的に導入している設計士は未だ少数派との見方が支配的だ。国土交通省「建設分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査』によれば順調に導入が進んでいるように見えるBIMだが、システムを導入したものの利用しているのはごく一部の技術者であり、大多数は積極的な利用に踏み切っていないのが実態だ。

今回は建設業におけるIT導入が進まない背景に焦点を当て、導入手法やそのメリットについて改めて解説します。

IT化が進まない背景

「高齢化=人材不足」の悪循環  

団塊世代の引退による労働力不足は、なにも建設業界に限った問題ではない。ところが、全産業の中でもIT化が周回遅れとなっている建設業界における人材不足問題は、深刻な状況と言って差し支えない。

産業構造が多様化するなか、3Kイメージの強い建設業界では長らく新規就労者の定着が進まず、自然な流れとして業界の高齢化が突出して進んできた経緯がある。

いつの時代も新しい技術や手法にいち早く順応するのは若い世代であり、多くの高齢者が置いてけぼりを食うのは世の常だ。建設業界におけるIT導入も同じであり、高齢化はIT導入の妨げとなっている。古い体質から脱皮できない建設業界に魅力を感じなくなった若い世代からは敬遠されてしまい、結果的に高齢化が更に進み、人材不足は限界点を迎えつつある。この悪循環の悲劇的な結末について明確に否定できる関係者はいないだろう。

重くのしかかる2024年問題

建設業界の人材不足に拍車をかけるのが2024年問題だ。5年間の猶予期間が終わり、来年度からは時間外労働規制が厳格に適用される。これまでのように36協定で誤魔化すことが出来なくなるのだ。参考資料:国土交通省「建設業の働き方改革」

週40時間労働(4週8休)が基本となれば、作業所(=建設現場)は工期やコストの面で多くの問題に直面する。現場の作業員を増やさなければならない一方、時間外労働の減少に伴う収入減により建設業界から人が去ってしまう最悪のケースも考えられる。

いつまでもIT化が進展しないアナログな建設現場や企業における人材不足は深刻さを一段と増し、仕事があっても存続できない企業も出てくるだろう。コロナ期の借入金問題が重なり、破綻する建設会社が多発するとの予測もあるほどだ。

表面化し始めた不具合

人材不足の悪影響は、技術継承問題や品質確保の面で既に表面化しつつある。「ここ数年で多発している大規模な建設現場における問題は、資材高などによる採算面だけが原因ではない」と指摘する現場管理者の声の通り、いまや現場管理者から職人・技能者まで一様に深刻な人材不足に陥っている。

土木建築物が大型化・高度化するなかで、人材不足は生産力・技術力に綻びを生じさせ、品質にも悪影響を与え始めているとの指摘だ。建設業界が作り出すものは人の生命・財産にかかわるものばかりであることを考える時、あえて大袈裟な表現をするならば、建設分野の人材不足は日本にとっても致命的な問題の一つと捉えても良いのではないか。そもそもは人口減少が国家的問題ではあるのだが。

問題解決のカギはIT

建設業界の深刻な人材不足を一足飛びに解決させるプランはいまのところ見えてこない。残されている選択肢のなかで最初に行きつくところは業務改善(=作業の効率化)であり、その実現に向けて頼るべきはITの力となる。肝心なことは小さな部分からでもすぐにIT化を図ることだ。

管理ソフトなどの導入

建設業界のIT化が進まない理由の一つにアナログ作業の多さや現場での頻繁な変更指示を挙げる関係者が多い。建設現場におけるアナログの代表格と言えば図面(従来の紙の図面)だが、果たしてアナログでしか対応できないのだろうか。

例えば、スマートフォンを操作できる作業員であれば、現場の作業指示や変更くらいはスマホをツールとしてリアルタイムに対応できるだろうし、図面を確認するのはタブレットの液晶画面があれば十分ではないのか。紙の図面に慣れているため違和感があるかもしれないが、拡大縮小は画面で思いのままだし、変更が発生した場合の前後の比較も容易にできる。

わざわざ事務所に戻って膨大な枚数から見たい図面を探し出して変更後の図面と見比べるより、タッチパネル一発で表示させる方が効率的なはずだ。しかも、設計者とリアルタイムに双方向で共有できる。変更図面を確認した現場管理者や作業員がその場でダメ出しすることも可能になるのだ。

要は操作性の問題であって、これくらいのIT化は導入するツールと専門業者がしのぎを削って開発しているソフトの選択で対応できるはずである。通信環境が5Gから次世代へ移行すれば、更に膨大な情報量を一瞬で引き出せるようになる。

何から何までface to faceで伝える手法が従来型であるのに対し、これからは管理ソフトなどのツールを駆使することで業務改善を図る手法が主流となる。グループLINEで情報をリアルタイムに共有する手法も一つのIT導入例と言えば分かりやすいだろう。

作業員の管理でもIT

建設現場では膨大な書類が保管されており、作業員の個人データもその一つだ。氏名や所属、緊急連絡先や保有資格などの個人情報をそもそも紙ベースで保管するのは高リスクであり、作業所を超えて厳重に一元管理する方が安全で効率的だ。個人情報をどこまで開示するかの問題はさておき、IT導入によってケガや急病に備えた既往歴やアレルギー情報までも一定条件下で保管する事ができる。

また、作業員の勤怠管理や体調管理もITならば効率的に行える。コロナ禍でよく見かけた体温測定器のような機械にアルコール検知器や顔認証を載せ、作業所への出入口に設置すれば簡単に勤怠・体調管理システムが出来上がる。

現場にwebカメラを配置してAIに接続すれば作業手順や品質の管理も可能であり、既に一部の現場では導入されている。作業員のヘルメットに小型webカメラを常備させ、トイレなどのプライベート空間に入れば通信offとなるシステムにしておけば、いつでも作業状況や安全の確認が可能となるだろう。

どこからでもリアルタイムに状況を共有できるため、AIと組み合わせることによって作業や安全にエラー(間違い)が発生した場合には即座に警告させると同時に管理者へ通知することも簡単に出来るようになる。いずれ現場管理者が現場にいない作業所が生まれるかも知れない。

まとめ

ITによる業務改善は人材不足を緩和し、働く場の環境を改善する。同時に生産物の品質を安定させ、若い世代が再び建設業界に目を向ける契機に繋がる可能性を持っている。

一方、どのような手法でITを導入するにしろ、コスト負担が重ければ論外である。財務体力が乏しいピラミッドの底部までIT化を浸透させるためには、低い導入コストであることが欠かせない。体力のある企業から徐々になんて悠長な考えをしていたら人材不足問題は限界点を超えてしまうだろう。IT化は業界全体で同時に進めなければ機能不全となるのだ。

ここでのキーワードはクラウドだ。大手企業などが開発した管理ソフトを活用する場合においても、各地に展開する作業所を安全にネットワークするにはクラウドが最適である。

なによりもクラウドには小さなコストで始められるメリット(自社による開発コストがほぼゼロ)があり、ちょっとしたIT導入が企業の大きな改善を促すこともあろう。

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ライター:東海林

取材記者として約10年、建設会社の経営者及びコンサルタントとして約20年の経験を活かしてライターや企業コンサルとして活動中。幅広い分野への知見を持ち、特に建設業界に関する深い理解や洞察力により実用的な記事執筆を得意とする。

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