介護老人福祉施設の課題とクラウドストレージの活用

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの千葉です。

介護を必要とする高齢者が、安心して日常生活を送るために利用する施設が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)です。食事介助、排泄介助、入浴介助などの日常生活に必要な介護サービスを提供しており、少子高齢化が進行する現在の日本になくてはならない存在といえます。

厚生労働省が発表した「令和3年度 福祉行政報告例の概況」によれば、2021年度の特別養護老人ホームの施設数は全国で1万469施設。定員数に換算すると65万1,848人です。
参考:厚生労働省|令和3年度 福祉行政報告例の概況 結果の概要

そんな介護老人福祉施設には、安定した経営を続けていくために解決すべき問題点が存在します。本記事では介護老人福祉施設の課題を解説した上で、クラウドストレージを活用した解決策を紹介します。

日本は世界でも有数の「超高齢社会」である

超高齢社会とは、総人口のうち65歳以上の人口割合が21%以上を占める社会を意味します。日本は西欧と比較しても世界有数の超高齢社会です。総務省が公表している「令和4年版 高齢社会白書」によると、日本の総人口は2021年10月時点で、1億2,550万人。そのうち65歳以上の人口は3,621万人全体の28.9%にのぼります。
参考:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)1 高齢化の現状と将来像

西欧の高齢化率(2020年)と比較しても日本の高齢化率は高い数値です。

国名高齢化率
日本28.6%
ドイツ21.7%
フランス20.8%
スウェーデン20.3%
イギリス18.7%
アメリカ合衆国16.6%
引用:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)2 高齢化の国際的動向

一方で日本は、合計特殊出生率が人口を維持するのに必要な水準を下回っている「少子化」と呼ばれる状態です。子どもの数は1997年以降高齢者人口を下回っており、「少子化」と「高齢化」が同時に起きています。つまり、高齢者の人口割合が上昇する一方で、介護が必要な高齢者を支える働き手が足りない状況といえるのです。

介護老人福祉施設の課題

介護老人福祉施設にはどのような課題があるのでしょうか。3つの課題を解説します。

介護の担い手不足

最も大きな課題に挙げられるのが、介護職員の人手不足です。人手不足が深刻化すると、入居者に必要な介護サービスが行き渡らなくなるだけでなく、現場で働く介護職員の負担増加につながります。介護職員への負担増加は、さらなる離職を招く可能性もあるため、施設の運営に悪影響を及ぼしかねません。

介護労働安定センターが公表している「令和4年度 介護労働実態調査」をみてみましょう。同調査には、定着率について尋ねたアンケート結果が記載されています。それによると介護老人福祉施設を含む入所型の施設系の28.2%が「定着率が低く困っている」と回答しており、全体平均の17.7%を大きく超える数値となっています。


引用:介護労働安定センター|令和4年度介護労働実態調査 現在の従業員の定着状況

もしも起床介助、食事介助、入浴介助、排泄介助といった介護サービスを満足に提供できないとなれば、施設に対する評価が大きく低下してしまうかもしれません。

介護老人福祉施設の離職率

「令和4年度 介護労働実態調査」によると、介護老人福祉施設の離職率は前年の13.4%よりも0.4ポイント改善して13.0%となっています。ただ、全体の離職率は14.4%ですので、通所介護や訪問介護などの施設形態より低い数値であるとわかります。

一方で「働く上での悩み、不安、不満等」について尋ねた複数回答のアンケートでは、「人手が足りない」という回答が70.4%を占めていました。この数値は他の施設形態と比べて高い数値です。また、「仕事内容のわりに賃金が低い」という回答率は49.1%であり、こちらも平均より高い数値です。

<介護保険サービス系型別、労働条件等の悩み、不安、不満等の回答割合※複数回答>

労働条件等の悩み、不安、不満等全体の回答割合施設系(入所型)の回答割合
人手が足りない52.1%70.4%
仕事内容のわりに賃金が低い41.4%49.1%
身体的負担が大きい29.8%44.8%
健康面に不安がある29.0%35.1%
参考:介護労働安定センター|令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書

以上の結果から、介護老人福祉施設の離職率は改善傾向にあるものの、負担を感じている介護職員は依然として多いと考えられます。そのため、離職を防ぐための取り組みが今後も必要といえるでしょう。

人材教育にかかるコスト

人材教育にかかるコストが高いこと、新入職員が退職すると投資コストを回収できない点も介護老人福祉施設の課題です。介護現場では、入居者によって異なる疾病・障がい、価値観などを学んでもらうため、新入職員に教育を行います。たとえ、経験や技能のある人でも、先輩や上司によるOJTは欠かせないでしょう。

人材教育の場面では、教える側の職員に2つの負担がかかっています。2つの負担とは、自分の業務をこなす負担とトレーナーとして人材教育に従事する負担です。万が一、新入職員が早期退職してしまうと教育にかけたコストが無駄になってしまいます。入居者が安心して暮らせる環境を構築するためにも、人材教育を効率化する仕組みが必要といえるでしょう。

個人情報の適切な管理

個人情報を適切に管理するためにも一定のコストが発生します。書類を保存するスペースを作ったり鍵のついた棚を用意したりするのに、人手や購入費用がかかるためです。契約終了後に保存すべき書類も存在するため、運営年数に比例してコストは増加するでしょう。

介護老人福祉施設で取り扱っている入居者や家族の情報は、適切な管理が求められる個人情報です。個人情報を効率的かつ適切に管理できれば、企業の負担は大幅に軽減するはずです。

クラウドストレージの活用による課題解決

クラウドストレージとは、インターネット上で特定のファイルを共有できるWebサービスです。パソコンやスマートフォンなどのインターネットにつながるIT機器があれば、誰でも利用できる利便性の高さが特徴です。
関連記事:【クロジカ大容量ファイル管理】便利な8つの機能を紹介

続いては、介護老人福祉施設の課題に対して、クラウドストレージを活用した解決方法の一例を紹介します。

スムーズな情報共有による介護職員の負担軽減

介護老人福祉施設で働く介護職員は、夜勤を含む不規則なシフトに従事しています。そのため、共有すべき必要事項があっても、口頭で伝えられない場面が発生します。連絡ノートを用いたり介護ソフトに記載したりする方法は効果的ですが、外出先から記入できないケースもあるでしょう。そこでおすすめしたいのが、クラウドストレージの活用です。インターネットにつながっている環境ならどこからでもアクセスできるため、スムーズな情報共有を実現して介護職員の負担軽減に役立ちます。

例えば、クラウドストレージに「特別養護老人ホーム〇〇 第9ユニット 連絡事項ファイル」というファイルを作成して職員間で共有することで「職員のシフトを確認して、予定を合わせて、口頭で必要事項を伝える……」といった手間を省けます。入居者の内服薬変更があったり介助方法が変更になったりしても、必要事項をクラウドストレージ内のファイルに記入すれば情報共有が可能です。職員の二度手間を防いで負担を軽減できるでしょう。

質の高い人材教育の実現

人材定着化に役立つ施策として「オンボーディング」が挙げられます。オンボーディングとは、新入職員に対して人事部や先輩・上司が中心となって手厚くサポートする施策です。職場に馴染むまでの期間を短くできるため、早期退職の防止や長期定着化に役立ちます。

クラウドストレージを活用することで、利用者の疾病・内服薬情報などを共有できます。人材教育に必要なデータを新入職員とスムーズに共有できれば、空いた時間を入浴介助や食事介助といった身体介助のレクチャーに投下できるのです。

万全のセキュリティ対策で管理コストを削減

クラウドストレージには「共有したファイルにパスワードを設定する」「ダウンロード制限を設定できる」といった万全のセキュリティ対策が実装されています。安心してオンライン上に必要なデータを保存できるのです。従来の紙ベースで情報を保管する方法では、どうしても物理的なスペースや鍵付きの棚などの備品が必要となりますが、クラウドストレージではその必要がありません。

また、令和3年度介護報酬改定によって、「利用者等への説明・同意」「諸記録の保存・交付等」に関する電磁的な対応が認められるなど、介護業界にもICT化の波がきています。今後、介護業務に関する書類をPDF化して利用者や家族に確認してもらったり、電子署名を活用したりする施設も増えるのではないでしょうか。その場合、電子化されたデータの保存先が必要不可欠となりますが、万全のセキュリティ対策を持つクラウドストレージは適任といえるのです。
参考:厚生労働省|令和3年度介護報酬改定の主な事項について 4.(1)介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進(その1)

まとめ

 介護を必要とする高齢者やその家族の安心した生活を支える介護老人福祉施設。少子高齢化が進行している現在の日本において、今まで以上に多くの人から必要とされるのは間違いありません。地域から愛される介護施設を運営されている施設経営者様や現場管理者の方に、本記事がお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

介護業でのファイル管理に「クロジカ大容量ファイル管理」

「クロジカ大容量ファイル管理」は、サービス計画書・ケア記録やケアプラン、事故報告書など様々な文書やデータを扱う介護業において、データ管理の"はじめの一歩" となるサービスです。

文書によっては、2年~5年の保存義務があることで物理的に書類管理をするのは年々困難になると予測されます。クラウドストレージはインターネット上に重要な書類を安全に保管して、簡単に必要な情報にアクセスすることのできるサービスです。

「クロジカ大容量ファイル管理」は初期構築費用を無料でスタートすることができます。
さらにマルチデバイス対応なので、タブレットからスマートフォン、PCからスマートフォンなどデバイスをまたいでデータ交換が可能です。また、施設長や責任者のみならず、職員の方々や利用者のご家族とのデータ共有をする場合は、利用者数に合わせたプラン選択ができます。

簡単に導入でき、安心安全で利便性の高い機能を備えています。
ファイル管理でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

ライター:千葉 拓未

高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護・福祉施設に約13年間従事。
相談員として5年間の勤務実績もあり。介護業界における労務環境・情報管理・
はたらきやすい職場づくりなど、様々な分野で専門性の高い記事を作成している。
国家資格「介護福祉士」「社会福祉士」所持。

大容量ファイル管理クラウドでかんたんに

大容量ファイルをクラウドでセキュアに クロジカガイドブック

無料ではじめる大容量ファイル管理
クロジカガイドブック

「クロジカ大容量ファイル管理」の詳しい内容がわかる資料をご用意しました。
  • 大容量ファイル管理の課題を解決
    • 大容量のクラウド移行
    • 大容量のデータ共有
    • データ保護
  • クロジカ大容量ファイル管理の主な機能

詳しい資料をご覧いただけます

クロジカ大容量ファイル管理のサービス内容を記載した資料をダウンロードできます。
クロジカの機能や事例が分かる
資料ダウンロード