こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
サーバーの安定稼働を目的として、サーバーの保守を重要視されている企業は少なくないかと思います。では実際にサーバー保守を行う際はどのくらいの費用がかかるかイメージできますでしょうか。
サーバー保守では、構築から運用・保守まで様々な費用が必要となります。そこで本記事では、サーバー保守にかかる具体的な費用相場や、コスト削減の方法について詳しく解説します。
この記事でわかること
① サーバー保守費用の内訳
② 保守費用の節約方法
③ サーバー保守を外注するメリット・デメリット
目次
サーバー保守費用の内訳
サーバー構築費用
冒頭で述べたようにサーバー保守費用は、サーバーの構築から運用、保守まで、さまざまな費用が積み重なって発生します。まず、サーバー構築費用には、サーバー本体の購入費用、OSの導入費用、必要なソフトウェアのライセンス費用などが含まれます。
サーバー本体価格
サーバー本体の価格は、性能や容量によって大きく異なります。一般的に数十万円から数百万円の範囲に及びます。具体的な例を挙げて説明します。
Dell PowerEdge(高価格帯)
Dell社の人気サーバーシリーズです。
PowerEdge R650:約72万円〜
PowerEdge R750:約85万円〜
参考:PowerEdge R750ラックサーバー
HPE ProLiant ML30 Gen11(中価格帯)
ヒューレット・パッカード社の中小規模システム向けのサーバーです。
HPE ProLiant ML30 Gen11:約30万円〜
参考:HPE DirectPlus オンラインストア
富士通 PRIMERGY TX1310 M5((エントリーモデル)
富士通社の小規模オフィス向けの低価格サーバーです。
富士通 PRIMERGY TX1310 M5:約20万円〜
参考:https://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/products/lineup/tx1310m5/
ソフトウェア費用
サーバーの運用には、さまざまなソフトウェアが必要になります。ソフトウェア費用には、データベースソフト、セキュリティソフト、監視ソフトなどのライセンス費用が含まれます。年間10万円〜100万円程度の費用がかかることがあります。
OSの費用
OSの導入費用についても、サーバーの種類や規模によって異なります。一般的に、WindowsServerなどの商用OSは、LinuxなどのオープンソースOSよりも高価です。以下は具体例になります。
Linux系OS(CentOS、AlmaLinux)
特徴:企業向けLinuxディストリビューションで、安定性が高く広く使用されています。
価格:無料
参考:https://almalinux.org/ja/
Windows系OS(Windows Server 2022 Standard)
特徴:マイクロソフトのサーバーOS。中小規模の環境に適しています
価格:月額4,400円〜8,800円(サーバースペックによる)
参考:https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-server
データベースソフトの費用
Microsoft Access (Microsoft 365 Apps for Business)
特徴:Microsoft 365の一部として提供される一般的なデータベースソフト。
価格:月額900円〜
参考:Microsoft 365 Apps for business
セキュリティソフトの費用
ノートン 360
特徴:ウイルス対策に加え、オンラインプライバシー保護機能も搭載
価格:1台1年版: 約3,488円、3台1年版: 約5,918円
参考:https://jp.norton.com/products/norton-360-standard
監視ソフトの費用
Zabbix
特徴:幅広い監視機能を持つオープンソースの監視ツール。
価格:オープンソース版は無料、商用サポートは要問い合わせ
参考:https://www.zabbix.com/jp
ManageEngine Applications Manager
特徴:アプリケーションパフォーマンス監視に特化したツール
価格:年間ライセンス約30万円〜120万円
参考:https://www.manageengine.jp/products/Applications_Manager/
人件費
サーバーの運用には、専門知識を持った人材が必要です。人件費には、サーバー管理者の給与、福利厚生費、教育費用などが含まれます。サーバー管理者は、サーバーの監視、トラブルシューティング、セキュリティ対策など、さまざまな業務を行います。サーバーの規模や複雑さによって、必要な人材数も変わります。例として、このような専門人材を正社員で雇用する場合、*年間400万円〜800万円程度の人件費がかかることもあります。
*参考:サーバーエンジニアの年収ってどのくらい?
ネットワーク設定費用
サーバーをネットワークに接続するには、ネットワーク設定が必要です。ネットワーク設定費用には、ネットワーク機器の購入費用、設定費用、回線費用などが含まれます。ネットワーク機器には、ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどがあります。これらの機器は、サーバーとネットワークを接続し、データの送受信をスムーズに行うために必要です。回線費用は、インターネット回線や専用線などの費用です。サーバーの規模や利用用途によって、必要な回線速度や帯域幅が変わります。
ネットワーク設定費用については、初期費用として10万円〜50万円程度、その後の保守費用として月額1万円〜5万円程度かかることがあります。
サーバ保守費用(外注費用)
サーバーの保守には、定期的なメンテナンス、障害対応、セキュリティ対策など、さまざまな作業が含まれます。こちらは先ほど、「人件費」の項で触れた内容を専門企業へ外注する場合に発生する費用です。クラウドサーバー保守費用の場合は、月額5万円〜30万円程度かかることが一般的です。オンプレミスサーバー保守の外注費用は一般的に、サーバー構築費用の10~20%が相場と言われています。
▼ クラウドサーバー保守を外注する際の費用について解説した記事はコチラ
クラウド保守の範囲や注意点まで解説、クラウド保守会社 5社の比較も!
サーバー構築・保守費用はどのように決まる?
サーバーの種類やスペック
サーバーの構築・保守費用は、サーバーの種類やスペックによって大きく異なります。小規模なファイルサーバーなら構築費用は3〜6万円程度ですが、高性能なWebサーバーやセキュリティサーバーになると25〜30万円以上かかります。また、当然ですがスペックが高くなるほど費用も上がります。
保守費用は通常、構築費用の10〜15%程度が年間の目安となります。例えば、30万円の構築費用なら、年間3〜4.5万円の保守費用が発生すると考えられます。
サーバーの利用用途
Webサーバー、データベースサーバー、メールサーバーなど、用途によって必要なソフトウェアや設定が異なり、それに応じて費用も変動します。
想定ユーザー(アクセス)数
サーバーの構築・保守費用は、想定ユーザー(アクセス)数によっても異なります。アクセス数が多いサービスほど、高スペックのサーバーが必要になり、保守の頻度も増えるため費用が上がります。
人件費
地域や雇用形態(正社員、契約社員、アウトソーシング)によって人件費は大きく変動します。また、技術者の経験や専門性も費用に大きく影響します。
保守費用の節約方法
定型業務の自動化
サーバーの保守には、定期的な監視やバックアップなど、定型業務が多くあります。これらの業務を自動化することで、人件費や時間コストを削減できます。自動化ツールを利用したり、スクリプトを作成したりすることで、業務効率を向上させることができます。
依頼内容の見直し
サーバー保守の依頼内容を見直すことで、費用を削減できる場合があります。例えば、不要な機能やサービスを削除したり、保守範囲を絞ったりすることで、費用を抑えることができます。委託している保守業者がいる場合、自社のセキュリティ要件の範囲内で、最適な保守内容を提示してもらえるように連携をとりましょう。
適切なサーバーサイズの選択
サーバーのサイズは、利用状況に合わせて適切に選択することが重要です。過剰なスペックのサーバーは、無駄な費用が発生します。逆に、スペック不足のサーバーは、パフォーマンスが低下したり、障害が発生しやすくなったりします。サーバーの利用状況を分析し、最適なサイズのサーバーを選びましょう。
クラウドサーバーの活用
クラウドサーバーは、物理サーバーに比べて設備投資の必要がないため初期費用が安く、さらに必要な時に必要なだけサーバーを利用できるため、コスト削減に効果的です。また、クラウドサーバーは、サーバーの基本的な管理はAWSやMicrosoft Azureといったクラウドサービス提供者が行うため、自社のサーバー管理者の負担軽減が期待できます。ただし、クラウドサーバーは、セキュリティの設定やデータの管理面で高度な技術が求められるため注意が必要です。
サーバー保守を外注するメリット/デメリット
ここまでは、サーバー保守に関してかかってくる費用や節約方法について解説してまいりました。続いては、煩雑なサーバー保守業務を外注する場合のメリット・デメリットについてそれぞれ見ていきましょう。
サーバー保守を外部に委託するメリット
サーバー保守を外部に委託する最大のメリットは、専門的な知識と経験を持つエンジニアによる高品質なサービスを受けられる点です。
外部の専門企業は、最新のサイバー攻撃手法やソフトウェアバージョンに対応しており、複雑な問題に対しても迅速かつ効果的な対処が期待できます。また、短期間で24時間365日の監視体制を構築可能です。これにより、企業は本来の事業に集中することができ、全体の業務効率が向上します。
外部委託のデメリットとその対処法
サーバー保守を外部に委託する場合のデメリットとして、まず第一に挙げられるのはサーバーのコントロールが自由にできなくなる点です。外部委託によりデータが第三者の手に渡ることで、情報漏洩の危険性が高まることがあります。
また、急な設定変更が必要になった際にも委託会社側の都合次第となり、迅速な対応ができなくなる場合があります。解決のために外注先に無理な要求をしてしまうと偽装請負と判断されてしまう可能性があるため、注意が必要です。
参考:厚生労働省(あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?)
対策としては、サービスプロバイダとの間で詳細なサービスレベル契約(SLA)を結び、期待するサービス内容と対応スピードを明確に定めることが重要です。また、ISOやPマークなど規格を有している企業を選定するようにしましょう。
外注先を選定する際にチェックしたい3つのポイント
サーバー保守を外部委託する際には、選定する業者の資質によって自社サービス品質にも影響するため、慎重に選ぶ必要があります。チェックすべき重要な3つのポイントを紹介します。
実績・事例の豊富さ
外注先を選ぶ際に最も重視すべき点は、その業者の実績と事例の豊富さです。
長年にわたりサーバー保守を行ってきた企業は、さまざまな問題への対応経験が豊富であり、それによって複雑なトラブルも迅速に解決できる可能性が高まります。特に、同業種や類似の規模の企業へのサービス提供実績がある場合、自社にとって適切なサービスを提供できるかどうかの判断材料になります。
自社サイトのスペックに合った提案を受けれるか
外注先を選ぶ際に重要なのは、自社のサイトやシステムのスペックに合致した提案を受けられるかどうかです。
サーバー保守と言っても、オンプレミスとAWSサーバー、Azureサーバーでは必要な技術スキルが異なります。また、サーバー内部のソフトウェアや利用しているフレームワークによっても得手不得手があります。
自社の運用しているサーバーの規模や使用技術、目指すサービスレベルに最適なソリューションを提供できる業者を選ぶことが重要です。委託業者との打合せ時に、サーバーの要件定義書などを準備しておくと良いでしょう。
サーバー移行費用の有無
サーバー保守を外部に委託する際には、サーバーの移行費用も重要な考慮事項です。
委託会社がサーバー保守をする場合、該当サーバーに委託会社が採用している監視システムのエージェントをインストールしたり、クラウド環境に移行する必要が出てきます。
この移行作業には高額な費用が発生する可能性があり、それが予算オーバーにつながることも考えられます。したがって、外注先を選定する際には、移行費用を含む全体のコストを事前に明確にし、予期せぬ費用が発生しないようにすることが重要です。
まとめ
本記事では、サーバー保守の外注に関連する費用相場とその選定における重要なポイントをご紹介しました。自社での保守と外部委託のそれぞれにはメリットとデメリットがあり、それを理解することで効率的なサーバー運用が可能となります。
「クロジカサーバー管理」では、多種多様な業種・企業様に対してサーバー保守サービスを提供しています。私たちは、24時間365日の監視と迅速なトラブル対応はもちろん、移行支援を含めたトータルサポートを強みとしています。
さらに、前述した通常 20万円〜100万円程度かかるサーバーの構築作業やシステム移行作業を無料で対応しております。現在ご利用されているコーポレートサイトのフォルダ構成やソフトウェアの稼働状況を無料で診断いたします。
ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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