こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
企業においてクラウド利用が進む中、2022年にはガバメントクラウドとして日本政府もクラウドを取り入れることが決定されるなど、現代においてシステムのクラウド化がトレンドとなっています。しかし、未だ多くの企業がクラウド移行の具体的なメリット・デメリット、さらには移行後の運用方法についてよく理解できていないのではないでしょうか。
本記事では、クラウド環境への移行が企業にもたらす変化から、そのメリットとデメリット、具体的な移行ステップとその注意点について解説します。
目次
クラウド化すると何が変わるのか
はじめに、クラウド化による企業のメリットや移行の必要性について解説します。
クラウド化によるメリット
クラウドサービスは、クラウドプロバイダー(サービス事業者)が所有しているITインフラで自社のシステム・アプリケーションを動かすサービスです。
企業はクラウド化によって、コストの削減・耐障害性の確保・柔軟性を得ることが可能となります。また、クラウドサービスは高度なセキュリティ機能を備えており、データの保護とプライバシーの確保に役立ちます。さらに、CI/CD・自動化・BIツールの実装などの機能も安価に利用することが可能です。
現代におけるクラウド移行の必要性
現代のビジネス環境において、クラウド移行はもはや選択肢ではなく、必要不可欠な戦略となっています。人材不足や人件費の高騰・デジタルトランスフォーメーションが加速する中で、企業はいかに効率よくビジネスを進めていくかが重要です。クラウド化をすることで、ITインフラの部分や新サービス開発の工数を削減・自動化が可能となり、企業の生産性向上に繋がります。
Amazonが提供するクラウドサービスのAWSによると、企業がクラウド化した場合のコストシミュレーションをしたところ、26%のインフラ削減効果と30%のスタッフ生産性の向上の効果が得られるという結果が出ています。
クラウド環境のメリットとデメリット
次に、クラウド環境のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
クラウドコンピューティングは、その便利さと柔軟性で多くの企業に採用されていますが、メリットだけでなくデメリットも理解することが重要です。
メリット
クラウド化のメリットは数多くあります。その中でも企業は、どのようなメリットが導入の決め手になったのでしょうか。
総務省の「令和元年版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用している理由としては、「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が最も多く、次いで「どこでもサービスを利用できるから」、「サービスの信頼性が高いから」となっています。
サーバーなどのIT資産は減価償却やサーバーの廃棄・予備機の準備など所有することによるデメリットも多く存在します。クラウド化することで自社に資産を持たずにサービスを運用するということに多くの企業はメリットを感じているようです。
また、営業や現場作業など外出先からアクセスできる可用性や、ISO・FISCなどの国際基準の認証を取得し、冗長の確保も簡単であるという理由で導入を進めている企業が多いようです。
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デメリット
クラウド化により多くのメリットが提供される一方で、その導入にはいくつかデメリットも存在します。最も一般的な懸念事項の一つは、セキュリティリスクです。データがクラウドプロバイダのサーバーに保存されるため、自社で完全にコントロールすることができません。
企業はデータ漏洩やサイバー攻撃のリスクに対して、クラウドプロバイダのセキュリティ対策に依存することになります。また、クラウドはオンプレミス環境と比べるとコストやアーキテクチャの考え方が異なっており、クラウドの活用には特定の技術スキルが必要です。
その難しさから「クラウドエンジニア」という職業が存在するほどです。クラウドの設定を誤ると、セキュリティインシデントが発生したり、莫大な運用コストが必要になってしまう場合があるため注意をする必要があります。
クラウド移行のステップ
最後にクラウド移行のステップについて解説します。
クラウド移行は無計画で実施してしまうと、過去記事「サーバーのクラウド化が向いている会社と向かない会社の違いは?」で解説したように、実現したいシステムが構築できない場合や、自社のセキュリティ要件に適合しないなどの場合があります。
ここで説明する移行のステップを確認しながら、移行計画を策定しましょう。
移行目的の明確化
クラウド移行を成功させるための最初のステップは、移行の目的と目標を明確にすることです。
企業がクラウドへ移行する理由は多岐にわたりますが、コスト削減、運用の効率化、ビジネスの柔軟性の向上などが一般的です。明確な目標を設定することで、適切なクラウドサービスの選定、必要なリソースの確保、そして移行プロジェクトのスコープの定義が容易になります。
目的が定まっていないと、オンプレミス環境利用時よりもコストが上がる場合やセキュリティ事故の発生に繋がる、業務改善されずに導入コストのみが嵩んでしまうなどの可能性があります。
移行方法の検討
クラウド移行プロジェクトにおいて、適切な移行方法を選択しましょう。移行方法は、移行するアプリケーションやデータの種類、ビジネスの要件、そして技術的な制約によって異なります。一般的には下記のような移行方法が考えられます。
・Refactor(リファクタリング)
既存のアプリケーションでクラウドのメリットを最大限活用できるマイクロサービス・サーバーレス環境に再構築する方法
・Replatform(リプラットフォーム)
クラウド環境に最適化するためにアプリケーションを再設計して移行する方法
・Repurchase(再購入)
既存製品からクラウド環境用のSaaS製品へ切り替える方法
・Rehost(リホスト)
既存のアプリケーションをそのままクラウドに移行する方法
それぞれの方法によって、導入の期間やコストが異なるため、自社に最適な移行方法を選択することが重要です。また、クラウド化のメリットのないシステムは現行のままにしておくRetain(保持)や業務フローを見直した上で不必要な業務手順を削除するRetire(廃止)など、現行の業務効率化のきっかけとすることもできます。
移行計画の策定
目的の明確化・移行方法を決めた後に、移行計画の策定を行いましょう。計画策定段階ではクラウド移行の順番について検討します。
優先的にクラウド移行すべきシステムとして、ハードウェアのEoLやサポート期限が迫っているもの、冗長が確保されていないビジネスリスクに繋がるシステムから移行を始めるとよいでしょう。次点として、移行難易度が低いものを順次移行していきましょう。
社内における補助システム(停止しても問題ないシステム)、クラウドとオンプレミス環境の並行稼働ができるもの、単純なデータ移送のみで実施できるものを移行していきます。さらに、移行計画ではスケジュールや移行前後の業務分掌とマニュアルの引き継ぎ、失敗時の影響範囲や切り戻し方法などの策定も必要です。
まとめ & クロジカサーバー管理の紹介
本記事ではクラウド化のメリット・デメリット、移行方法について解説しました。
クラウドのメリット・デメリットを踏まえた上で、適切な移行計画を策定することにより、企業のビジネスにおける競争力は各段に上がることになるでしょう。しかし、クラウド移行にはクラウドの知見や技術的なスキル、経験が必要です。クラウドについて十分に理解しないまま移行を行うと、コストの増大やセキュリティインシデントを起こしかねません。
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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