こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
サーバー管理業務は、ソフトウェアのアップデートやリプレース計画、コンテンツの更新など様々な作業をする必要がある大変な仕事です。また、人手不足の中、新規プロジェクトの設計や開発・ディレクション業務等を兼務しながらサーバーの保守・運用をされている方もいるでしょう。
そのような状況の中、サーバー管理業務における「バックアップ・リストア」は、日々の業務ではあまり触れる機会のない仕事ではないでしょうか。しかし、バックアップ・リストアはサーバー障害や作業ミスを起こしてしまった際には非常に重要な機能となります。本記事では、サーバー管理におけるバックアップ・リストアについて詳しく解説します。
目次
サーバー管理のバックアップ・リストアとは
はじめに、サーバー管理におけるバックアップ・リストアについてご紹介します。
バックアップ
サーバーのバックアップとは、データ損失やシステム障害が発生した際に備えて、重要なデータやシステム状態を別の場所に保存しておくことです。バックアップは対象のシステムの特性により、データの対象や保存するスケジュール、方式などを適切に選定する必要があります。それぞれの方式については後述致します。
リストア
リストアは、バックアップされたデータを用いて、サーバーやデータベースを元の状態、または特定の時点の状態に復元するプロセスです。サーバー障害発生後、リストア作業を迅速に行うことでサービスの断時間を最小限に抑えることができます。このように、サーバー管理におけるバックアップとリストアは、互いに密接に関連しています。バックアップなしにリストアは不可能であり、逆もまた同様です。この両方を組み合わせることで、データの安全性とビジネスの継続性が保証されます。
サーバーのバックアップ
それでは、サーバーのバックアップ方式について詳しく見ていきましょう。バックアップには、バックアップをする対象、方式、期間、保管場所を計画する必要があります。
バックアップの種類
バックアップの種類は大きく2つに分けられます。
- システムバックアップ
OSやアプリケーション、設定ファイルなどのシステム関連一式のバックアップを取得する方法です。サーバーを丸ごとバックアップするため、容量は大きくなりますがサーバーのハードウェア交換等の際はミドルウェアなどの詳細設定が不要となります。
- データバックアップ
データバックアップでは、ユーザーデータや業務データなどの情報のみバックアップを行います。データのみのバックアップのため、容量が小さくリストアも短時間で可能です。ただし、ハードウェア故障などサーバー全体に影響が出ている場合は、OSやミドルウェアなどの環境構築をした上でリストア作業をする必要があります。
システムプログラムやデータベース内のデータ修正など、サーバー全体に影響を及ぼさない作業で利用されます。どちらか1つのバックアップ方式に頼ることなく、障害やエラーによってバックアップデータを使い分けることが重要です。
バックアップ方式
サーバーのバックアップ方式には、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップの三つが存在します。
- フルバックアップ
フルバックアップは、毎回対象の全データを全てバックアップする方式です。全てのデータを毎回保存するため、いつの時点のバックアップなのか管理しやすく、データ管理が容易というメリットがあります。しかし、バックアップに掛かる時間が長くなってしまうデメリットがあります。
- 差分バックアップ
差分バックアップは、フルバックアップ以降に変更されたデータのみを保存します。フルバックアップより容量は小さく、リストア時は初回分データと差分データの2つのファイルだけで復元が可能です。
- 増分バックアップ
増分バックアップでは、前回のバックアップ以降に変更されたデータのみを取得します。容量が少ないため短時間でバックアップ取得が可能ですが、リストア時には複数のデータをつなぎ合わせるため時間が掛かります。
バックアップスケジュール
バックアップを取得するスケジュールについても計画が必要です。
- 定期バックアップ
定期バックアップは毎週●曜日・毎日夜10時など、予定された間隔で自動でバックアップを取得する方法です。毎日データが追加されるシステムの場合は毎日、月に1回程度しか更新されないシステムは月に1度など、システムの特性に合わせて取得スケジュールを調整しましょう。一般的に、サーバーのバックアップ中はCPU・メモリなどに負荷が掛かるため、利用者の少ない夜間に実施をします。また、夜間にバッチ処理などをしている場合は、その時間を避けてバックアップタイムを設けておくと取得不可などのトラブルが少なくなります。
- 不定期バックアップ
不定期バックアップは、サーバー設定作業前やコンテンツ更新後などのイベントに合わせて取得するバックアップです。定期バックアップだけでは、取得時間とサーバー設定作業の間に数時間空いてしまい、その時間のデータ分を保護できないため、このように作業前後でバックアップを取得することがあります。
ファイル保管
バックアップしたファイルの保管先も重要です。
バックアップデータを同じサーバーに保管している場合、サーバー障害時にデータを取り出せなくなってしまいます。総務省「情報管理担当者の情報セキュリティ対策」で推奨されているように、ファイルの物理的な隔離・暗号化・ネットワーク上の隔離を行いましょう。最近では災害発生時にもデータを安全に保つために、AWSなどのクラウドサービスにバックアップファイルを保管する企業も増えています。
サーバーのリストア
次にサーバーのリストアについて解説します。
リストア対象の確認
リストア時、バックアップデータの特性(いつのデータか、どの対象のデータか)を把握し、リストア後サーバーやシステムがどのような状態になるかを把握することが重要です。誤ったデータをリストアしてしまうと、サービス復旧時間が伸びてしまうだけでなく、IPアドレスやURLの重複が発生し別システムへ被害が出る可能性があります。
復旧時間
リストアプロセスには、復旧時間であるRTO(Recovery Time Objective)が重要な要素として考慮されます。この時間は、サービスの断時間を最小限に抑えるために短いほど望ましいです。RTOを設定し、それに基づいたリストア計画を策定しましょう。
リストア手順の確立
バックアップやリストアの計画が十分でも、実際の復旧作業手順がないと意味がありません。バックアップファイルの保管場所からサーバーまでどのようにファイルを移行させるか、移行後のビルドやセットアップ作業は必要か、正常性確認の方法があるかチェックしましょう。サーバー間の場合、FTPファイル転送やrsyncのような同期コマンドによってファイルを転送します。
AWSやWindowsサーバーの場合はGUIでの操作も可能な場合もありますので、チームのスキルに適したやり方を選択しましょう。また、リストア手順の確立後は定期的な訓練が必要です。定期的に予備機やテスト機でバックアップ・リストアの実施を行い、非常時に備えて作業手順を確認しておきましょう。
サーバー管理は専門の外部委託業者へ
ここまで、サーバーのバックアップ・リストアについて解説しました。
バックアップには複数の方式があり、それぞれを組み合わせることでシステムの断時間を短くすることが可能です。また、リストアにおいても対象ファイルの確認や手順の確立がシステム復旧においては非常に重要です。しかし冒頭にも紹介したように、バックアップ・リストアは普段の業務ではあまり触れる機会のない作業です。そのため担当者もバックアップ・リストアまで手が回らず、実際の障害時に手間取ってしまいサービス断が長期化するケースが多くあります。
このようなサーバー管理は専門の技術と経験を持つ専門業者に任せた方が安心です。
「クロジカサーバー管理」では、お客様サーバーの24時間監視運用をはじめ、バックアップの取得からリストアまでトータルでサポートしています。
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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