WordPressをクラウドへサーバー移行する際の落とし穴とは?

こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。

WordPressは国内で8割以上のシェアを誇るCMS(コンテンツ管理システム)です。商用利用が可能でコーポレートサイトやWEBメディア・ニュースサイトなどに用いられています。また、近年のクラウド分野の発展に伴い、オンプレミス環境やレンタルサーバーで運用していたWordPressをクラウド環境に移行して運用する企業も増えてきました。例えば、株式会社アツミ電子計算センターでは、短い開発期間で事業継続計画対策(BCP)や災害対策(DR)の強化を実現しています。

しかし、WordPressウェブサイトのクラウド環境へのサーバー移行は、移行に伴う様々な課題があります。本記事では、WordPressのクラウドへのサーバー移行において遭遇するであろう落とし穴と、それらへの対策について解説します。

プランニングとバックアップ

クラウド環境へ移行する場合、プランニングとバックアップが重要です。
それぞれ見ていきましょう。

移行計画の策定

移行プロジェクトのスコープと目的を明確に設定しましょう。移行するWebサイト・システム対象を決めておく必要があります。さらに、移行対象のWebサイトを構成しているサーバーを漏れなく洗い出すことが重要です。例えば、Webサイトに関するプログラムファイルはクラウドに移行できたが、データベースサーバやDNSの設定などの移行が漏れていた場合、Webサイトは正常に動作しなくなってしまいます。

また、クラウド移行を始める場合にしっかりとした目的を定めましょう。「Webサイトのクラウド化」を目的に移行を始めてしまうと、完成品が既存環境よりも性能が劣ったり、時間とコストを浪費しただけという結果になってしまうかもしれません。

・コストの最適化
・耐障害性の向上
・今後AI・IoT分野等の先端分野への足がかりとしたい

など、目標を明確にするとクラウド環境にどのような機能が必要かが見えてきます。このようにしっかりとしたスコープ・目標を定めておくことで、失敗しない移行計画を策定することができます。

バックアップのテスト

クラウド移行をする前に、既存環境でバックアップの復旧テストを実施しておきましょう。どれだけ綿密に計画を建てていても、データ移行や環境の移行にはエラーやミスがつきものです。例えば、サーバーのデータを誤って削除してしまった、クラウドにデータを移行したがWebサイトが正常に動作しないなど、想定外事象が発生してしまいます。そのような場合はクラウド環境への移行を一時的に中止し、エラーやミスの原因解明・解決策を考えます。

その際、移行を中止したままだとWebサイトも停止したままとなるため、既存環境に切り戻し(元に戻す)をしてサービスを継続させる必要があります。その場合、既存環境でバックアップの復旧テストを実施しておくと、切り戻しを速やかに実施することができ、Webサイトの長時間ダウンという最悪の事態を避けることができます。

プログラム移行の複雑さ

プランニングやバックアップが完了し移行フェーズとなった場合にも、まだ落とし穴が待ち構えています。それぞれ見ていきましょう。

データ整合性の確保

例えば、データベースの移行の際などにデータ整合性の関係で移行が上手くいかない場合があります。データベースの基本的な移行方法は、旧データベースから情報を出力して、そのデータを新しいクラウドサーバーにデータベース情報を入力します。

しかし、旧データベースの情報出力から新データベースへの入力の間に旧データベース側に新たなデータが挿入されてしまうと、新データベースにその情報が記載されない事態となります。これをデータの不整合と呼びます。古いデータベースと新しいデータベースのスキーマ(構造)を比較して、データの整合性を維持しましょう。これにより、データ移行時のエラーと不整合に対処が可能となります。

プラグインとテーマの互換性

WordPressで利用しているプラグインやテーマによっては移行先のクラウド環境で正常に動作しない場合があります。これは既存サーバーとクラウドサーバーのOSやバージョンが異なる場合に発生します。

また、一部のプラグインやテーマはクラウド環境に対応していない(サポート対象外)の場合もあります。そのため、使用中のプラグインとテーマがクラウド環境で正常に動作するか事前に確認する必要があります。また、互換性のないプラグインとテーマを特定した場合は、代替解決策を検討しましょう。

ドメインとリダイレクトの取り扱い

クラウドサーバー移行時はWebサイトのドメインに関する取り扱いにも注意が必要です。

トラフィックの監視と最適化

ドメインのDNS設定をクラウド環境に合わせて変更し、サイトの正確な運用を確保しましょう。既存環境からクラウドサーバーへ移行するということはサーバーのIPアドレスが変わるということになります。その場合、DNSの設定変更が必要になるため適切な対処が必要です。また、TTL(Time To Live)設定を適切に調整し、ドメインの変更が迅速に反映されるように注意しましょう。

TTLとはパケットの生存時間の値を指します。TTLが短いとパケットの寿命が短くなり、より短い頻度でパケットを送信することとなります。このTTLを利用することで、旧サーバーから新サーバーへの切替を行う際に、切り替わったという情報のパケットをより速く世界中のDNSサーバーに伝達・浸透することが可能となります。

トラフィックの監視と最適化

クラウド環境でトラフィックを監視し、スケーリングやパフォーマンスの最適化を実施しましょう。オンプレミス環境やレンタルサーバーと比較するとトラフィックの経路やパフォーマンスに変化がある可能性があります。また、クラウドではスケーリングやスケールアップ・スケールダウン(パフォーマンスの変更)が簡単に可能というメリットがあります。クラウドの機能としてトラフィック監視もカスタマイズが可能なため積極的に利用しましょう。

加えて、CDN(Content Delivery Network)の活用などで、Webサイトの高可用性・高速化も実現可能です。導入も迅速にできるため、適宜調整・最適化していきましょう。

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【Web担当者が知っておくべき】CDNとは?概要やメリットを解説!

パフォーマンスとセキュリティの調整

既存環境で問題なく動作していた場合も、クラウド移行後のパフォーマンスとセキュリティの再度調整が必要です。詳しく見ていきましょう。

セキュリティ対策の実施

クラウドセキュリティベストプラクティスに従って、サイトのセキュリティを強化しましょう。ベストプラクティスとはクラウド事業者が提供する「最も優れている」と評価される手法のことです。具体的にはファイアウォール、セキュリティプラグイン、SSL証明書設定などそれぞれにおいて適切な設定が記載されています。

▼AWS(Amazon Web Service)のベストプラクティス集はコチラ
AWS セキュリティのベストプラクティス

また、経済産業省が出している「クラウドセキュリティガイドライン 活用ガイドブック」等を活用してこれからクラウドを扱う企業としての対応・対策を実施しておくと良いでしょう。

パフォーマンスの最適化

サーバーリソースを最適化し、サイトの応答速度とパフォーマンスを向上させます。クラウドサービスの中には選定したサーバーリソース(CPUやメモリーなど)が適切であるか、機械学習によって助言をするサービスも存在します。クラウドのサービスを上手く活用して、お客様へより良いサービスを提供できるように努力しましょう。

まとめ

WordPressを利用しているWebサイトのクラウド移行には、計画策定・バックアップ・データ整合性・プラグイン等の互換性・ドメイン管理・トラフィック最適化・セキュリティ・パフォーマンスなど、様々な事項の検討が必要です。これらのポイントを踏まえて円滑にクラウド環境へサーバー移行を行いましょう。

しかし、企業やプロジェクト担当部署によってはクラウド移行に関するスキルや時間がない場合もあるかもしれません。自社での対策を講じることが難しい場合は、専門業者にご相談の上で進めてみることはいかがでしょうか。

「クロジカサーバー管理」ではクラウドシェアNo.1であるAWSへのサーバー移行サービスを提供しています。既存サーバーの仕様書も不要で弊社担当者がお客様のサーバーの情報を調査し、安全にクラウド移行を行うことが可能です。また、移行だけでなくトラフィック監視やセキュリティ対策の実施、移行後の24時間監視などサーバー管理のトータルサポートを実施しております。クラウドサーバーへWordPressを移行したいとお考えの企業・ご担当者の皆さまは是非お気軽に「クロジカサーバー管理」へご相談ください。

ライター:kait78

元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。

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