こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
今回はサーバーの乗り換えやシステム構築、ホームページ制作をアウトソースする際などに活用されるRFPについて作成手順から注意点まで解説いたします。
※本記事では、下記のように定義しています。
依頼元企業:システム開発やサーバー乗り換え先を探すため、RFPを作成する企業
提案企業:RFPを元に提案するシステム開発受託企業
委託先企業:提案企業群の中から外注を決定した企業
RFPとは
RFPとは、Request for Proposal(提案依頼書)の略称であり、システム・サーバー導入やホームページ制作などのプロジェクトを外部企業に委託する場合に用いられる書類の一つです。この書類は、依頼元企業から提案企業に対して、提案書を提出してもらうための依頼書です。
RFPの役割
RFPの役割は、依頼元企業が必要とするシステムやサービスを外部企業に対して、提案書を出してもらうことで、最適な委託先を選定することや、最適な提案を得ることです。
提案書には、依頼元企業の要求事項や要件が明記され、それに対して外部企業が最適なシステムやサービスの提案を行います。複数の外部企業が提出したRFPの内容を比較・評価して、委託先企業を決定します。
RFPの必要性
RFPの作成が必要となる理由は、以下の通りです。
- システムやサービスに求めている機能に対して的確な提案を得られる
- 複数の企業から提案を受けることができ、競争を促進することで、最適な提案を得られる
- 文書で受けることにより、内容が明確になり双方でトラブルを未然に防ぐことができる
- 依頼元企業と提案企業間でのコミュニケーションを円滑にすることができる
RFPの基本的な構成要素
RFPは基本的に以下のような要素で構成されます。サービスやシステムの特性により追加で必要な項目があります。
案件概要
案件概要では、依頼元企業の背景やプロジェクトの目的、スケジュール、予算などの情報が記載されます。概要であるため簡潔に書きます。
要求事項
要求事項には、以下のような内容が含まれます。
業務要求事項
業務要求事項とは、依頼元企業が必要とする業務の要件に関する情報が記載されます。
営業部門を例にすると、営業支援ツールの開発などを開発する場合には、現状の業務プロセスの問題点や改善点、業務遂行に必要な機能や性能を記載します。
プロセスのフロー図の現状と実現したいフローなど、図などを利用して具体的に書きます。
システム要求事項
システム要求事項とは、システムやサービスの開発・導入に必要な要件に関する情報が記載されます。
たとえば、下記のようになります。
- システムの稼働時間:平日日中帯、24時間稼働など
- システムの利用環境:WindowsやMACなどのOS、外出先のタブレット利用、一般エンドユーザーの利用有無
- セキュリティ対策:IPアドレス制限やログイン失敗時のアカウントロック機能
- データの取り扱い方法:パスワードの設定方法や暗号化の有無
システム要求事項は、業務要求事項と密接に関係しており、依頼元企業が求める業務プロセスの実現に必要な機能や性能が明確に示されていることが重要です。
運用要求事項
運用要求事項とは、システムやサービスの運用に必要な要件に関する情報が記載されます。
たとえば、下記のようになります。
- 運用保守体制:コールセンターの設置有無
- 手順:依頼元企業が操作するために必要なマニュアル類
- システムの障害発生時:システム障害発生時の対応策とフロー
- 障害復旧までの時間:何分までの障害を許容できるか、冗長構成が必要であるか
運用要求事項は、納品後のシステムやサービスの提供後に問題が発生する場合が多いため、しっかりと定義しておく内容です。
開発や運用時に2次請けや3次請けなどの再委託を許容するかの記載も必要です。提案企業が実際に開発や運営をしない場合は間に挟んでいる再委託先の分だけレスポンスや品質に影響します。
契約事項
契約事項では、納期や価格、契約形態、支払い条件などの情報が記載されます。また、サービス提供後の保証内容やサポート体制、契約解除に関する事項なども含まれます。契約事項は、依頼元企業と提案企業の間で合意された内容が明確に示されるため、トラブルを未然に防ぐためにも重要な役割を果たします。
提案事項
提案事項では、提案企業が提案するシステムやサービスの内容が記載されます。依頼元のシステム導入担当者はプログラミングやシステムに対する専門的な知識が無い場合が多いため、実現可否の判別が付きづらい部分があると思います。
依頼元企業が求める業務プロセスの改善や課題解決を実現するための具体的な提案が含まれる構成とします。
RFP作成手順
RFPの作成手順についてご紹介します。
RFPを作成する前に
RFPを作成する前に、依頼元企業が求める業務プロセスの現状や課題点を明確にすることが重要です。また、RFP作成に関わるステークホルダー(利害関係者)の意見を各署から集約し、共通の理解を確認することも必要です。
また、RFP公開後には各提案企業から提案書が提出されます。提案書の保管方法や評価方法、提案書の書類不備が知得できるように準備を整えておきます。
RFP作成
上記の「RFPの基本的な構成要素」を参考に漏れなく項目を記載します。導入したいサービスやシステムの特性によって項目の追加が必要です。
RFPは基本的にドキュメントで1ファイルにまとめることが重要です。別紙が必要な場合はドキュメント内に記載し、漏れなく公開しましょう。
RFP提出後
RFP提出後は提案企業からの提案書が送付されてきます。
審査
提案企業からの回答が集まったら、依頼元企業側で審査を行います。審査では、提案企業が依頼元企業の求める要件を満たしているかどうかを評価し、複数の提案から最適な提案を選定します。
必要であれば1次審査を書類審査、2次審査をWEBや対面によるプレゼンテーション審査を行います。
それぞれの提案でメリット・デメリットがある場合、他の提案企業の良かった点をその企業側で実現できるかを再提案します。より良いシステムを開発できるようこの段階から調整します。
契約交渉
選定された提案企業との契約交渉が行われます。契約交渉では、価格や納期、保証内容などの条件について合意を図ります。また、契約書の内容について確認を行い、トラブルを未然に防ぐためにも注意が必要です。
契約には両企業ともの法務部門などのリーガルチェックが入るため時間を要します。
RFPの注意点
RFPにあたって、以下の点に留意する必要があります。
- 提案企業でしっかりとした提案ができるように、提案書の提出期限は余裕をもったスケジュールを組みましょう。
- RFPに不備があった場合には、なるべく早く関係先に周知、修正版を共有しましょう。品質の良いシステム開発に繋がります。
- 契約する観点として、コストだけでなく実績や会社の規模もしっかりとチェックしましょう。提案書では同じ内容でも、実際にプロジェクトが開始するとスケジュールに遅れが出始めたり、粗悪で品質の悪いシステムが導入される場合があります。
- 契約後もRFP、提案書は保管しておきましょう。システム開発には数か月単位の時間が掛かります。委託先企業のシステム開発に漏れが出る場合があるため、随時、提案書通りにシステム開発が行われているかチェックする必要があります。
さいごに
RFPは、企業の業務プロセスの改善や課題解決を実現するための重要な手段です。依頼元企業が求める要件を満たす提案企業を選定し、契約を結ぶことで、効率的なシステムやサーバー、自社ホームページの導入を実現することができます。
RFPの作成には、多くの時間や労力が必要ですが、品質の良いシステムを導入するためには重要な資料となります。RFPについての基本的な知識を把握し、適切な手続きを行うことで、サービスやシステム導入の成功につなげることができます。
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今回はRFPについてお伝えいたしました。本記事では依頼元企業の視点で解説してまいりましたが、依頼元から提出されたRFPで、サーバー要件などの領域に触れられており、どう対応していいか分からないというWeb制作会社様もお気軽にお問い合わせください。
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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