
こんにちは。「クロジカサーバー管理」コンサルティングチームの西原です。
サーバーの安定稼働は、ビジネスの継続性と効率性に直結します。そのため、適切なサーバーの監視は非常に重要です。本記事では、サーバーの監視について、その目的から具体的な監視項目、効率的な実施方法まで詳しく解説します。
この記事でわかること
① サーバーを監視する目的
② サーバー監視で対応すべき項目
③ サーバー監視を効率的に行う方法
④ クラウド(AWS)でのサーバー監視方法
サーバーの監視とは?
サーバーの監視とは、企業や組織が使用するサーバーの健全性と性能を常時チェックする業務を指します。これには、サーバーが正常に動作しているか、リソースの使用状況、セキュリティの状態などを24時間365日監視することが含まれます。
サーバー監視の目的や重要性
サーバー監視の主な目的は、障害の早期発見と迅速な対応です。ハードウェアやソフトウェアに問題が発生しそうな兆候を監視で検知することで、重大障害を未然に防ぎ、復旧時間を短縮できます。具体的には、ハードディスクや電源故障の前兆やメモリ異常などを検知して事前に対応したり、アプリケーションやOSのエラーを監視して問題の拡大を防ぎます。
サーバー監視を行わなければ、大規模な障害の予防や迅速な障害対応が難しくなり、サービス提供の安定性が損なわれるリスクがあります。そのため、システム運用担当者は監視ツールを利用して24時間365日の監視体制を構築し、問題発生時にすぐに検知・対応できるようにしておくことが求められます。
サーバー監視の種類
サーバー監視には大きく分けて正常監視と異常監視の2種類があります。それぞれ役割が異なり、両者を組み合わせることで監視の網羅性を高めます。以下ではそれぞれについて見ていきましょう。
正常監視
正常監視は、サーバーやその構成要素(CPU、メモリ、ディスク、サービスなど)が想定どおり稼働している状態を常時チェックする監視手法です。例えば、CPU使用率やメモリ使用率、ディスク使用量、ネットワークトラフィックといった主要なパフォーマンス指標が設定したしきい値内に収まっているかを確認します。
正常監視により、システムが安定して稼働しているかをリアルタイムで把握でき、リソースが効率的に利用されているかもチェックできます。定期的な正常監視とレビューを行うことで、負荷が高まる前の対策や容量計画を立てるための重要な情報が得られます。
異常監視
異常監視は、サーバーに異常な状態が発生した際の兆候を検出する監視手法です。具体例としては、サーバーの応答時間が急増したり、特定のサービスやプロセスが停止したりした場合に設定した異常パターンやしきい値を超えた時点でアラートを発生させます。
異常監視により、管理者は問題をリアルタイムで把握できるため、ダウンタイムや障害影響を最小限に抑えるための初動対応を迅速に行えます。異常監視の目的は、運用中のサービスに発生する不具合や障害を早期に検知し、迅速に復旧作業へと移すことにあります。
サーバー監視の項目
続いてはサーバー監視において多岐にわたる監視対象となる項目を解説してまいります。
基本的な稼働状況の監視
死活監視
死活監視とは、サーバーが正常に稼働しているかどうかを監視する作業です。例えば、お店が開いているかを確認するように、サーバーが「生きている」か「死んでいる」かを確認します。具体的には、サーバーに定期的に信号を送り、返事があるか確認したり、ウェブサイトが表示されるかテストしたりします。これにより、問題が起きたときにすぐに気づき、対応することができるので、サービスの安定した提供につながります。
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外形監視
外形監視とは、実際のユーザーの目線でサービスの状態を確認する作業です。例えば、お店の外観や入り口からの様子を確認するように、ウェブサイトやアプリが正しく表示され、機能しているかをチェックします。具体的には、外部からウェブサイトにアクセスしてページが正常に表示されるか、ログインや検索などの主要機能が問題なく動作するかを定期的にテストします。これにより、サーバー自体は正常でも、ユーザーが実際に使用する際の問題を早期に発見し、対応することができます。

パフォーマンスとリソースの監視
パフォーマンス監視
パフォーマンス監視とは、サーバーの動作の質や効率を確認する作業です。こちらも例えると、レストランの料理の提供時間や品質をチェックするように、ウェブページの表示速度やデータベースの処理時間などを測定します。これにより、システムの遅延や非効率な部分を特定し、ユーザー体験の向上や処理の最適化につなげることができます。サービスの快適さを維持するための重要な監視です。
リソース監視
リソース監視とは、サーバーが持っている資源の使用状況を確認する作業です。お店の在庫管理のように、サーバーのストレージ容量(データを保存できる量)や、ネットワーク帯域(データを送受信できる量)などをチェックします。これにより、容量不足や通信量の制限に達する前に対策を取り、サービスの中断を防ぐことができます。
トラフィック監視
トラフィック監視は、ネットワーク上のデータの流れを観察する作業です。これにより、異常な通信パターンや不正アクセスを素早く発見できます。例えば、急激なデータ量の増加は、サイバー攻撃の兆候かもしれません。また、特定のサービスへのアクセス集中も把握でき、必要に応じて対策を講じることができます。これはネットワークの安全性と効率性を保つために重要な役割を果たします。

セキュリティとログの監視
セキュリティ監視
セキュリティ監視は、システムやネットワークを外部の脅威から守るための継続的な監視活動を指します。具体的には、不審なアクセスパターンや未知のプログラムの動作を検知し、マルウェアやハッキングの試みを早期に発見します。また、重要データへの不正アクセスや情報漏洩の兆候も監視します。これにより、サイバー攻撃や内部不正を防ぎ、組織の情報資産を守ります。
ログ監視
ログ監視は、サーバーやアプリケーションが記録する活動の履歴を定期的にチェックする作業です。これにより、システムの健康状態や問題の早期発見が可能になります。例えば、エラーメッセージの頻発はシステムの不具合を示唆するかもしれません。また、ユーザーの利用パターンを分析し、サービス改善のヒントを得ることもできます。ログ監視は、システムの安定運用と効率化に役立つ重要な業務です。

アプリケーションとジョブの監視
アプリケーション監視
アプリケーション監視は、ウェブサイトやソフトウェアの動作状況を常時確認する作業です。ユーザーの体験に直結する応答速度や機能の正常性を監視し、問題が発生した際には迅速に対応します。例えば、ログイン機能の不具合やページ表示の遅延などを検知し改善します。また、アプリケーションの利用状況を分析し、パフォーマンス向上や機能改善の判断材料とします。これにより、サービスの品質と顧客満足度を維持向上させます。
ジョブ監視
ジョブ監視は、コンピューターシステムで定期的に実行される自動処理(ジョブ)の状況を確認する作業です。例えば、毎日深夜に行われるデータバックアップや、月末の請求書作成処理などが対象です。これらのジョブが予定通りに開始し、正常に完了したかを監視します。失敗や遅延があった場合、迅速に対応して業務への影響を最小限に抑えます。また、ジョブの実行時間や頻度を分析し、システムの効率化にも役立てます。

ハードウェアとネットワークの監視
ハードウェア監視
ハードウェア監視は、サーバーやストレージなどの物理的な機器の状態を常時確認する作業です。CPUの温度、ファンの回転数、ディスクの空き容量などを監視し、異常を早期に発見します。例えば、ハードディスクの故障予兆を検知して、データ損失を防ぐことができます。また、機器の稼働時間を記録し、適切なタイミングでの部品交換や機器更新を計画します。これにより、システムの安定稼働と長寿命化を実現し、突発的な障害を予防します。
ネットワーク監視
ネットワーク監視は、コンピューター同士の通信経路の状態を確認する作業です。インターネット接続やサーバー間の通信が正常に機能しているかを常時チェックします。例えば、通信速度の低下や接続の切断を検知し迅速に対応します。また、ネットワーク機器(ルーターやスイッチなど)の稼働状況も監視し、障害の予兆を把握します。これにより、安定したネットワーク環境を維持し、業務やサービスの中断を防ぎます。

バックアップの監視
バックアップ監視は、サーバーのデータが定期的にバックアップされているかどうかを監視し、データ消失のリスクを軽減することを目的としています。バックアップの成功・失敗、バックアップファイルのサイズ、バックアップの頻度などを監視することで、バックアップが正常に実行されていることを確認し、万が一のデータ消失に備えることができます。
サーバー監視を効率的に実施する方法
サーバー監視ツールの活用
サーバー監視ツールは、サーバーの様々な情報を収集・分析し、可視化することで、監視を効率化するためのツールです。様々な種類のツールが存在し、監視対象や機能、価格帯も様々です。サーバー監視ツールを利用することで、以下のメリットがあります。
- 複数サーバーの一元管理
- 監視結果をグラフやチャートで可視化
- 問題発生時にアラート通知の受け取り
- 過去の監視データから傾向分析

主要なサーバー監視ツール
以下では効率的なサーバー監視を支援するツールをご紹介します。
Zabbix
多様なシステムの健康状態を一元的に監視できる無料のツールです。パソコンやサーバー、ネットワーク機器など、様々な機器の動作状況を24時間見守ります。問題が発生すると、即座にメールで通知できます。SMS通知を行う場合は、外部SMSゲートウェイを別途設定する必要があります。
また、グラフや図を使って分かりやすく情報を表示するため、専門知識がなくても状況を把握しやすいです。カスタマイズも容易で、企業の規模や需要に合わせて柔軟に設定できます。
参考:https://www.zabbix.com/jp
Nagios
ITシステムの健康状態を常時監視する老舗の無料ツールです。サーバーやネットワーク機器、サービスの稼働状況を24時間チェックし、問題が発生すると即座に管理者に通知します。交通信号のように、緑・黄・赤の色で状態を表示するため、専門知識がなくても直感的に理解できます。また、豊富なプラグインが用意されており、様々な環境に対応可能です。長年の実績があり、多くの企業で信頼されている監視ツールです。
参考:https://www.nagios.org/
Datadog
クラウドサービスやサーバーの状態を簡単に監視できるツールです。複雑な設定が不要で、サーバーの動作状況やエラーをリアルタイムで確認できます。また分かりやすいグラフや通知機能により、システムの問題を素早く発見し対応できるため、ITに詳しくない方でも安心してサーバー管理ができます。
参考:https://www.datadoghq.com/ja/
外部委託業者の活用
サーバー監視を外部委託業者に依頼することで、専門的な知識や経験を持つ人材を活用し、効率的な監視を実現することができます。外部委託業者には、様々なサービスを提供している企業があり、ニーズに合わせて最適な業者を選ぶことが重要です。
外部委託業者を利用することで、以下のメリットがあります。
- 専門的な知識や経験を持つ人材にサーバー監視の基本業務を一任できる
- 24時間365日の監視体制を構築できる
- 運用コスト(人件費)を削減できる
- 最新の技術やセキュリティ対策に対応できる
サーバー監視を委託する際の費用相場などを解説
クラウド(AWS)でのサーバー監視方法
AWS などクラウド環境でサーバー(インスタンス)を運用する場合も、基本的な監視項目はオンプレミスと同様ですが、クラウドならではの特徴を生かした監視手法があります。
SaaS型の監視ツールを活用するケース
クラウド利用時には、前述したDatadogやNew Relic、Site24x7などのSaaS型監視ツールを利用するケースがあります。これらのツールはクラウドサービスと簡単に連携でき、多種多様なサーバーやコンテナ、クラウドサービスのメトリクスを一括監視・可視化できます。
例えば Site24x7は数分で設定が完了し、Windows/Linuxサーバーの稼働状況やアプリケーション性能などをクラウド上で確認できます。SaaS型であれば、初期導入が容易でスケーラビリティも高く、需要変動の大きい環境でも柔軟に監視対象を増減できる点がメリットです。ただし、監視データが外部クラウドに保管されるため、セキュリティ要件や費用対効果を考慮した上で利用する必要があります。
Amazon CloudWatchを活用するケース
AWSで提供されているAmazon CloudWatchを活用する方法があります。CloudWatchはAmazon EC2などのAWSリソースやAWS上で稼働するアプリケーションの監視・管理サービスで、CPU使用率やネットワークI/Oなどの各種メトリクスやログを自動収集できます。
サーバー監視として活用例として、あらかじめ設定した条件に合致した場合にアラートを通知したり、AWS Lambdaなどによる自動復旧アクションを実行したりできます。また多数のAWSサービスと連携可能なため、例えばメトリクスデータをAmazon S3に蓄積して長期分析を行うといった拡張も容易です。
クロジカのサーバー監視事例

課題
お客様は社内にサーバー管理やセキュリティ専門の担当者がおらず、夜間や休日の死活監視が不可能という状況でした。その結果、障害発生時の検知・復旧に時間を要し、サイトダウンによるビジネス機会の損失を懸念されていました。
解決策
- 24時間365日自動監視
死活監視、ポート監視、サービス監視、リソース監視をクロジカの監視システムが常時実行し、異常を即時検知 - 一次復旧対応サービス
仮に障害が発生した時にはクロジカが即座に一次復旧を行い、お客様へ詳細なレポートを提供 - 社内リソースとコストの最適化
人手をかけずに専門家による監視体制を構築し、専任人材不在の課題を解消するとともに人件費も削減 - 初期診断と移行サポートの無料提供
現行環境のフォルダ構成・ソフトウェア稼働状況を無料で診断し、移行費用ゼロで監視環境をセットアップしました
よくある質問(FAQ)

Q:オンプレミスとクラウドで監視設計はどのように変わりますか?

A:オンプレミス環境では、自社内にサーバーを所有しているため、ハードウェア管理や監視インフラを自前で構築・運用する必要があります。そのため、専用の監視ツールをサーバーにエージェントとして導入したり、SNMPを利用して機器情報を取得したりするなど、細かいチューニングが求められます。
一方、クラウド環境では本記事で触れたようなAWSやAzureが提供する監視サービス(CloudWatchやAzure Monitorなど)を利用できるメリットがあります。
イメージしやすい違いを具体例で挙げると、オンプレミスではハードウェア固有の監視項目(電源、RAIDなど)が追加される一方、クラウドではクラウドサービス固有のメトリクス(Auto Scaling、ロードバランサーなど)を監視対象に含める設計にする必要があります。

Q:外部にサーバー監視を委託するときの費用感とチェックポイントは?

A:対応範囲にもよりますが、サーバー監視・保守の委託サービスでは初期設定費用と運用月額が発生し、月額数万円から10万円程度が一般的です。
ただし、監視対象サーバー数やサービスレベルにより増減するため、契約前に見積もりを確認しましょう。外注先選びでは、料金体系が明確か、サポート範囲に漏れがないか、対応実績やスキルレベルが十分かをチェックします。
このような注意事項や選定方法については下記記事で解説しております。
サーバー管理の委託費用は?委託業者の選び方も紹介!
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
コーポレートサイトをクラウドでセキュアに

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クロジカガイドブック
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