
こんにちは。「クロジカサーバー管理」コンサルティングチームの西原です。
「Amazon Relational Database Service (通称:RDS)」はAmazonの提供する、リレーショナルデータベース構築サービスです。MySQLやPostgreSQL、Oracle、SQL Serverなど多くのデータベースを管理画面から設定するだけで利用できます。
この記事では、Amazon RDSの基本的な特徴を解説し、料金例としてMySQLのT3・M5インスタンスのオンデマンド料金を紹介しています。他のデータベースエンジン(PostgreSQL、Oracle等)やインスタンスタイプ、リザーブドインスタンスの料金については、AWS公式料金ページをご確認ください。
※ 当記事の内容は2025年6月現在のAmazon RDSの仕様・公開情報に準じます。
目次
Amazon RDSの特徴・メリット
Amazon RDSはDBサーバーの構築・運用をサポートしてくれる以下のような特徴があります。
低コスト
Amazon RDSは初期費用は必要なく、稼働させた分だけ料金が発生する従量課金のため、短期間の利用でも最低限の料金で利用できます。利用データベースやサーバースペックによって時間ごとの料金が変わります。詳しくは後述します。
6種類のデータベースから選べる
- Amazon Aurora
- PostgreSQL
- MySQL
- MariaDB
- Oracle
- Microsoft SQL Server
上記6種類からシステムやスキルに合ったものを選択できます。
データベース | 主な用途 |
---|---|
Amazon Aurora | MySQL/PostgreSQL 互換のフルマネージドDB。自動スケーリング・フェイルオーバーを備え、大規模トラフィックや高可用性が求められるクラウドアプリ向け |
PostgreSQL | オープンソースのオブジェクトリレーショナルDB。複雑クエリ・JSON/GIS 拡張に強く、BI・分析用途や地理空間アプリ、カスタム拡張が必要な業務システムに最適 |
MySQL | 最も普及したオープンソースRDBMS。LAMP 環境でのWebサイト・CMS・ECサイトのバックエンドとして定番で、手軽に導入・運用が可能 |
MariaDB | MySQL コミュニティフォーク。MySQL 互換性を維持しつつ、高速ストレージエンジンや強化暗号化を追加。エンタープライズ用途やコンプライアンス重視環境に適している |
Oracle Database | 大規模基幹システム向けのエンタープライズRDBMS。高度なトランザクション性能・セキュリティ機能を備え、金融・通信・製造業のミッションクリティカルな用途に適している |
Microsoft SQL Server | Windows との互換性が高いエンタープライズRDBMS。SSRS/SSAS/SSIS といったBIツール連携が充実し、社内システムや.NET アプリ、大規模データ分析基盤に用いられる |
DBサーバーの管理が不要
自前でDBサーバーを構築すると、サーバーOSやミドルウェアの管理が必要です。Amazon RDSではそうした管理をAWS側が自動で行うため、DBサーバー管理の手間が無くなります。
Multi-AZ機能で高可用性を簡単に実現
Amazon RDSにはSingle-AZ配置とMulti-AZ配置の2種類があります。Multi-AZを利用すると自動で複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にマスターDB、スレーブDBが分散配置されます。通常、大きな作業コストのかかるDBの同期環境構築(レプリケーション)が省け、非常時のマスターからスレーブへの切り替え(フェイルオーバー)もAmazon RDSに任せることができます。
Amazon RDSの料金
Amazon RDSの料金はDB本体の利用料に加え、データを蓄積するストレージ料金、通信料金が発生します。
利用料金
Amazon RDSの料金は 支払い方法 ☓ DBの種類 ☓ インスタンスのスペック で料金が変わります。支払い方法はAmazon EC2と同様に、従量課金の「オンデマンドインスタンス」と、定額制の「リザーブドインスタンス」の料金体系があります。
例としてMySQLを利用した際のオンデマンドインスタンスの料金を挙げます。
2025年6月時点の東京リージョン公式価格です。
配置方法 | インスタンス | 時間料金 (USD) | 月額概算 (USD) |
Single-AZ | db.t3.medium | 0.104 USD | 75.92 USD |
db.t3.large | 0.208 USD | 151.84 USD | |
db.t3.xlarge | 0.416 USD | 303.68 USD | |
Multi-AZ | db.t3.medium | 0.208 USD | 151.84 USD |
db.t3.large | 0.416 USD | 303.68 USD | |
db.t3.xlarge | 0.832 USD | 607.36 USD |
配置方法 | インスタンス | 時間料金 (USD) | 月額概算 (USD) |
Single-AZ | db.m5.large | 0.235 USD | 171.55 USD |
db.m5.xlarge | 0.47 USD | 343.10 USD | |
Multi-AZ | db.m5.large | 0.47 USD | 343.10 USD |
db.m5.xlarge | 0.94 USD | 686.20 USD |
Multi-AZ構成は単純に倍額になります。
データベース | 料金倍率 | 特徴 |
---|---|---|
MySQL/PostgreSQL/MariaDB | 1.0x | 基準料金 |
Oracle | 約2-3x | ライセンス費用込み |
SQL Server | 約1.5-2x | ライセンス費用込み |
ストレージ料金
ストレージは3種類あり、それぞれ料金が異なります。

MagneticストレージはHDDのことで、SSDにくらべI/Oスピードに差があります。
通信料金
Amazon EC2と同額のデータ送信料金が発生します。なお、外部からのデータ受信は無料です。

今回は Amazon RDS の特徴から料金についてご紹介しました。Amazon RDSの魅力をまとめると以下になります。
- DBサーバーの運用コスト削減
- 可用性を高めるための実装コスト削減
- 導入までの期間短縮
シンプルなWebサイトの場合は、Amazon EC2にWebサーバーとDBサーバーを同居させる方がコストメリットが良い場合もあります。個人情報を取り扱うためセキュリティを高めたり、サーバーへの負荷を分散させるためにWebサーバーとDBサーバーを分離させたい場合などはAmazon RDSが有力な候補となります。参考になりましたら幸いです。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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