【2025年版】建設業向け 廃棄物処理書類管理の法改正ポイントと対応策

2018年に環境省が廃棄物処理法施行規則を施行して以来、建設現場の書類管理ルールは、電子マニフェストの登録期限短縮や建設リサイクル法の電子届出義務化など、急速に変化を続けています。

本記事では、これらの法改正の時系列を整理し、電子化を軸とした「今すぐ着手すべき具体的な対応策」を解説します。さらに、個人情報不要・無料でダウンロードできるPowerPoint形式のスライドもご用意しました。法改正への対応を効率よく前進させるために、ぜひご活用ください。

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なぜ今、廃棄物処理書類管理の法改正を押さえるべきなのか?

建設業界において、産業廃棄物の適切な処理と管理は、法令遵守(コンプライアンス)だけでなく、取引先からの信頼や企業イメージにも大きく影響します。近年、法改正が相次いでおり、従来の紙ベースの管理では対応しきれない状況が生まれています。

2020年には電子マニフェストの義務化対象が拡大され、2024年4月にはe文書規則が改正されました。さらに、2025年以降はマニフェストの入力項目が大幅に追加される予定です。

だからこそ、法改正の流れを「時系列」で俯瞰し、これらの変化を正しく理解した上で、法令遵守はもちろん、業務効率化も同時に進めていく必要があります。

廃棄物処理法とは?

廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は、建設企業などの排出事業者に対し、産業廃棄物の適切な処理と管理責任を求める法律です。違反した場合、罰則や行政指導だけでなく、取引停止や企業イメージの低下につながるリスクがあります。

環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)https://www.env.go.jp/recycle/waste/laws.html

最新(2024年度)の法改正ポイント

電子マニフェストの義務化対象拡大

2024年4月の改正により、一定規模以上の事業者には電子マニフェスト(JWNET)の導入が事実上必須となりました。紙マニフェストとの併用は、業務負荷とリスクを高めるため、早期の電子マニフェストへの移行が対策となります。

情報管理の厳格化(SDGs・ESGの影響)

SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)の影響により、廃棄物処理データの透明性・追跡性が重視され、排出事業者の説明責任が強まっています。環境配慮をPRする大手ゼネコンでは、取引先の管理体制もチェックされる時代です。そのため、デジタル管理による可視化と報告体制の整備が重要となります。

契約書・委託書類の電子化ニーズ

コロナ禍以降、紙契約から電子契約へのシフトが進み、廃棄物処理の委託契約書やマニフェスト、管理台帳の電子化が加速しています。電子契約サービスやクラウド管理の活用が対策として挙げられます。

法改正の流れと書類管理実務への影響

これまでの廃棄物処理法に関わる法改正の流れを時系列で俯瞰し、書類管理の実務への影響を整理してみましょう。

時期法改正のポイント実務で必要になることや影響
1993年マニフェスト制度がスタート!
特に注意が必要な「特別管理産業廃棄物」については、紙のマニフェストの使用が義務付けられました。
紙のマニフェストを5年間保管することが義務化されました。
1998年電子マニフェスト制度が導入される!
すべての種類の産業廃棄物がマニフェスト制度の対象となり、電子マニフェスト(JWNET)の利用も始まりました(当時はまだ任意)。
JWNET(電子マニフェストのシステム)が使えるようになり、管理の選択肢が増えました。
2001年最終処分が終わったかの確認が義務化!
廃棄物が最終的に正しく処分されたかを、排出事業者が確認する責任が加わりました。
廃棄物の処分が「完了した」という報告書が業者からきちんと回収できないと、大きな問題になるリスクが表面化しました。
2005年違反時の罰則が厳しくなる!
マニフェストに関する違反(虚偽記載や紛失など)に対する罰則が、懲役刑を含む、より重いものになりました。

廃棄物処理法一部改正法(平成16年 第159回国会提出)
マニフェストの記載漏れや嘘の記載に対して、以前よりも厳しい罰則が適用されるようになりました。書類の紛失も重い罰則の対象です。
2010年委託契約書の保管がより重要に!
産業廃棄物の処理を外部に委託する際の契約書について、保管の義務が強化されました。

平成22年改正廃棄物処理法について
契約書や管理台帳の管理・保存が必須となり、紙だけでなくPDFなどの電子データでの保管も必要になりました。
2018年虚偽記載などへの罰則がさらに強化!
マニフェストへのわずかな記載漏れであっても、厳しく罰せられるようになりました。

平成29年改正廃棄物処理法について
ちょっとした記載漏れでも厳罰の対象となり、より正確な書類作成が求められるようになりました。
2020年4月年間50トン以上の事業者は電子マニフェストが義務化!
特にリスクの高い「特別管理産業廃棄物」を年間50トン以上排出する事業者は、電子マニフェスト(JWNET)の使用が義務付けられました。

特別管理産業廃棄物を多量に排出す
る事業者のみなさまへ
JWNETを導入していない場合、法律違反のリスクが高まりました。紙のマニフェストだけでは対応できず、JWNETの利用が必須となりました。
2024年4月「e文書規則」改正で電子管理票が正式にOKに!
電子的な方法でマニフェストを管理することが、法律で正式に認められました。

電子管理票システムに関する手引き
マニフェストの完全な電子化が可能になり、紙での保存からクラウドでの保存へと移行できるようになりました。
2025年4月公布(2027年施行)電子マニフェストの入力項目が大幅に追加!
JWNETで入力する処分に関する詳細な項目が、新たに国の省令で定められる予定です。

電子マニフェストの項目追加について
廃棄物の詳細なデータを入力し、それに基づいたレポート作成が求められるようになります。

建設業の現場で抱えがちな "3つのギャップ"

法改正が進み、対策が叫ばれる中で、建設業界の現場では以下の3つのギャップが発生しています。こうしたギャップを放置すると、業務負荷が増えるだけでなく、取引停止やコンプライアンス違反のリスクも高まります。

  1. 紙と電子の二重管理によるコスト増
  2. 現場⇔本社間の情報共有遅延
  3. 元請け・自治体監査対応の証跡不足(元請けや自治体監査への対応力不足)

いますぐ始める4ステップ対応策

これらの課題に対応するため、今すぐ対策を始めるべき4つのステップをご紹介します。

  1. 現状棚卸:紙・Excel・JWNETのデータを一覧にして、現状を把握します。これにより、漏れや重複を可視化できます。
  2. 100%電子化:全現場で電子マニフェスト(JWNET)を導入し、入力フローを統一します。これにより、二重転記を削減できます。
  3. 契約書・台帳のクラウド管理:電子契約サービスやAI-OCRを活用し、書類の一元管理を実現します。これにより、承認スピードが向上します。
  4. KPI設定と改善:電子登録率や入力遅延時間を可視化し、継続的な改善を図ります。回収率/入力遅延時間を指標化することで、継続的な改善と監査対応力を強化できます。

計量票の電子化は必要か?

法改正への対策の一つとして、電子マニフェスト(JWNET)の導入があります。電子マニフェストを導入しても、計量票(廃棄物の重量証明書)は引き続き紙での発行・保管が可能です。しかし、以下の理由から計量票も電子化することが強く推奨されます。

計量票電子化のメリット:

  • 紙からの転記ミス防止
  • JWNET入力作業の効率化
  • 契約書・マニフェスト・計量票の一元管理
  • 照合・監査対応の迅速化

計量票も電子化するならAI-OCRを活用

電子マニフェスト(JWNET)への移行時には、既存の紙マニフェストや契約書、管理台帳を電子化する必要があります。その際に有効なのが、AI-OCR(光学文字認識)サービスです。

AI-OCR導入のメリット:

  • 紙書類をスピーディーかつ正確にデジタル化
  • 手入力ミスの防止
  • 大量データも一括変換
  • JWNET入力へのスムーズな連携

特に、建設現場から日々上がってくる多岐にわたる紙の書類に対し、AI-OCRの導入は、移行初期の手間を大幅に削減し、業務スピードを向上させます。

さいごに

本記事では、法改正の時系列を整理し、電子化を軸とした「今すぐ着手すべき具体的な対応策」を紹介しました。これらの具体的な対応策で、法改正への対応を効率よく前進できる可能性があります。

また、2025年は「電子マニフェスト追加項目」と「建設リサイクル法(建リ法)の電子届出」が同時に本格始動します。早期に継続的なシステム対策を行うことで、電子化とガバナンスを同時に整備できます。

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一方、AIを利用した対応策にはある程度の経験や知識が求められます。最速で対応を前進させたい方は、AIの活用に精通した専門家のアドバイスを受けることも検討してみましょう。

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この記事の著者

古森 貞
古森 貞
TOWN株式会社
取締役 クロジカ技術責任者

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