介護業界において、ミニマルにDX化に踏み出す方法とは?|よくある失敗例とあわせて紹介

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの千葉です。

アナログで行われていた業務をデジタルに変えることを意味する「デジタル化」。現在の日本では、このデジタル化が急速に推進されています。産業界においても、デジタル技術の導入・運用が各業界で推奨されており、介護業界も例外ではありません。そのような時代の流れの中、自社の介護施設へDXの導入を検討する方も多いでしょう。

今回は、より良い施設作りのためにDXの導入を検討している施設長や法人代表の方に向けて、介護施設がDX化を進める方法や具体的なツールについて解説します。

介護業界におけるDXの現状と課題

はじめに介護業界におけるDXの概要と現状、そして課題についてみていきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)について、経済産業省は以下のように定義しています。

“DXの定義は次の通りとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」”引用:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

デジタル技術を活用して、既存の組織体制やサービスなどを変革すること。最終的に、利用者や取引先に喜ばれる商品・サービスを提供して、競争上の優位を保つことがDXの主な目的といえます。

自社に合ったデジタル技術を導入・運用することで、企業は「業務の生産性向上」「コスト削減」「管理システムの改善」といったメリットを受けられるでしょう。DXは経済産業省やデジタル庁、総務省などが中心となって、さまざまな業界へ導入・運用が推進されています。

デジタル技術の導入状況と課題

介護業界においても、デジタル技術の導入は進行中です。その導入状況について、厚生労働省の公式ウェブサイトで公表されている資料「介護現場の生産性向上の推進(改定の方向性)」を参考に、介護ロボットの導入状況についてみてみましょう。同資料では、介護ロボットの導入概況について、介護ロボットの種類と「導入済」「未導入」「無回答」で回答した介護施設の割合が記載されています。

<介護ロボットの導入概況(1段階抽出のみ)>

介護ロボットの種類   導入済みと回答した入所・泊まり・居住系の介護施設の割合導入済と回答した通所系の介護施設の割合
見守り支援機器30.0%
入浴支援機器11.1%8.7%
介護業務支援機器10.2%5.1%
移乗支援機器9.7%1.4%
参考:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料3介護現場の生産性向上の推進(改定の方向性)図表1 介護ロボットの導入概況(1段階抽出のみ)

介護ロボットの導入概況をみても、介護施設全体にデジタル技術の導入が浸透しているかといえば、まだ不十分な段階といえるでしょう。介護サービスには、入所サービス、通所サービス、訪問サービスなど複数の種類が存在しているため、各サービスの特徴に合わせて適切な介護ロボットを導入・運用するためには、まだ一定の期間が必要なのかもしれません。

また、こうした介護ロボットを導入する際は、金銭的コストや教育コストが発生します。「介護ロボットを導入することに抵抗がある」という現場の職員もいるかもしれません。

一方で、介護ロボットの導入によって、介護職員の負担軽減や見守り体制の強化による利用者の安全確保なども実現可能です。先ほどの資料「介護現場の生産性向上の推進(改定の方向性)」には「見守り機器の導入により夜勤時の訪室回数が減少した」という調査結果も記載されています。また、介護業務支援機器の導入により、記録業務の負担軽減などの効果もみられたとのことです。DX化は、介護現場にさまざまなメリットをもたらしているといえるでしょう。

ミニマルなDXへの取り組み

DXの導入コストについてふれましたが、介護現場ではコストを最小限に抑えたミニマルな導入も可能です。ここでは、比較的安価な費用でDX化を推進できるツールを3つ紹介します。

介護ソフト

介護ソフトとは、主に介護報酬請求業務を支援するソフトウェアのことです。近年は、請求業務だけではなく、介護サービス提供記録の管理や勤怠管理といった介護事務を幅広くサポートしてくれるソフトも増えてきました。

これらは、介護ロボットでいうところの介護業務支援機器にあたり、この後に紹介する「クラウド型」の介護ソフトの場合、月額数千円ほどの比較的低額な費用で導入・運用が可能です。インストール型の場合は、2万円から3万円ほどの購入費用が発生するでしょう。

介護ソフトには、パソコンにインストールして使用する「インストール型」、法人が独自のサーバーを構築して使用する「サーバー型」、オンライン上のサーバーで提供される「クラウド型」など複数の提供形態が存在します。そのため、介護施設の運営企業は、予算や利用体制を考慮しながら自社に適切なタイプを選択できるでしょう。

ビジネスチャットツール

ビジネス用に開発されたチャットツールも、ミニマルなDX化に役立つツールです。多くのビジネスチャットツールには高いレベルのセキュリティ対策が施されているため、個人情報のやり取りも安心して実施できるでしょう。また、グループチャット機能を活用したミーティングや、ビデオ通話による迅速なやり取りなども、情報の伝達ミス防止に役立ちます。

ビジネス用のチャットツールは、月額1,000円前後で利用できます。ツールの種類にもよりますが、オプションの追加によってビデオ通話可能な人数の上限を増やしたりすることも可能です。一方で、容量の大きいファイルを共有したい場合は、クラウドストレージなどの別のツールが必要となります。

クラウドストレージ

クラウドストレージとは、インターネットを利用して特定のファイルを職員間で共有できるサービスのことです。クラウドストレージを利用すると、インターネット上にファイルの保管場所を確保できるようになるため、パソコン、スマートフォン、タブレット端末といった複数のIT機器を活用して、ファイルを閲覧したりダウンロードしたりできるようになります。

ミニマルなDXを促進するクラウドストレージとは

クラウドストレージは、介護施設のDX化促進に役立ちます。クラウドストレージを導入することで、職員・関係者間で特定のファイルをスムーズに共有できるようになるからです。

さらに、クラウドストレージでは、高いセキュリティ体制の構築も可能です。インターネット上でファイルをやり取りする際は、暗号化された通信機能が活用されています。そのため、USBメモリーやCDなどを用いて情報を外部に持ち出したり、メールに鍵付きのファイルを添付して送信したりする必要もありません。

参考:パスワード付きZIPファイルは暗号化強度が低い?|ZIPファイルの課題について解説!
参考:介護現場で発生する情報共有を効率化する方法とは?|業務改善による従業員の負担軽減

クラウドストレージの導入によって、介護施設はセキュアな情報管理と効率的な業務体制を実現できるでしょう。あくまで一例ですが、利用者のフェイスシートをクラウドストレージにアップロードすることで、現場の介護職員は、既往歴やかかりつけの病院名などをパソコンやスマートフォンなどから確認できるようになります。利用者ファイルを取りに行くための移動時間が必要なくなるわけです。

まとめ

介護業界におけるDXの推進は、今後も続いていくと予想されます。DX化による導入コストや運用コストを抑えたい場合は、本記事で紹介したようなツールを活用していただき、ミニマルにDX化を進める方法がよいでしょう。この機会にDXツールの導入や運用を検討してみてはいかがでしょうか。

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簡単に導入でき、安心安全で利便性の高い機能を備えています。
ファイル管理でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

ライター:千葉 拓未

高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護・福祉施設に約13年間従事。
相談員として5年間の勤務実績もあり。介護業界における労務環境・情報管理・
はたらきやすい職場づくりなど、様々な分野で専門性の高い記事を作成している。
国家資格「介護福祉士」「社会福祉士」所持。

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