社会インフラを支える建設会社のBCP|具体的な取り組み方も解説

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」建設業ライターの東海林です。
今回は災害大国である日本の建設会社様にとって欠かせない“BCP”について要約・解説し
“BCP”実行のための具体的なアクションプランご紹介させていただきます。

BCPが注目され始めたキッカケ

BCPを知っていますか?Business Continuity Planの頭文字で、「事業継続計画」と呼ばれる非常事態を想定した企業の計画のことです。大規模災害やテロ、致命的なヒューマンエラーなどの危機に遭遇した際、コア事業を中断することなく継続させるための計画であり、不測の事態に備えた危機管理対策の一つでもあります。

これまでのところ努力目標に過ぎないBCP策定ですが、介護事業者に対しては2024年度から法令で義務化されます。

BCPが盛んに叫ばれるようになったのは、2001年に米国で発生した9.11同時多発テロがきっかけです。日本にも即座に輸入され、当時は活発な論議が見られました。その後、日本ではテロが身近でないことなどから一旦は下火となりましたが、3.11東日本大震災を契機に見直されるようになりました。 いまでは大企業を中心にBCPの策定や考え方がかなり浸透しています。

なかでも社会インフラを支える建設業は、ほかの産業よりも早急な事業再開を期待される分野です。建設会社は自社の事業継続を通じて社会全体の復旧・復興に向けた計画が必要と言えます。

災害大国に欠かせない建設会社のBCP策定

建設会社のBCPは現場保全から
建設会社をひとつの営利企業として捉える場合、BCPにより目指すことは人員の安全と建設現場の保全です。建設会社にとって事業継続とは、司令塔である本社機能もさることながら、工事現場の継続に他なりません。

堅牢なビルの中に構える本社機能よりも、野ざらしである建設現場の方が混乱は大きいはずです。人員の安全を確保し、現場の保全や資機材の調達を確保することが建設会社のBCPにおける優先課題となります。

具体的には、事前の避難計画や人員の安全確保、設備や機材のメンテナンスや危険物の保管、災害後のサプライチェーンの確保、関係機関との連係など検討課題は数多くあります。これらを計画に盛り込み、早急に現場再開に漕ぎつけることを目標とします。

巨大地震に備える建設会社
BCPと聞いて日本人の誰もが頭に浮かべるのは巨大地震でしょう。日本はこれまでも巨大地震に幾度となく襲われました。首都圏直下型や南海トラフに代表される大災害に備えた対策は政府や民間を問わず常に見直されており、あらゆる事態を排除せずに先進技術を積極的に取り入れる必要があります。

まだ記憶に新しいところでは、3.11時の福島原発1号機における冷却水システムのダウンがあります。巨大地震から津波発生までの危険予知は出来ていても、津波の二次被害により壊滅的な被害に至るとの予測は本流ではありませんでした。多くの技術者が絶対神話など存在しないことを肝に銘じたはずです。

一方、災害大国である日本の建設業界は、災害対策における豊富なノウハウを蓄積しています。この分野のBCP策定においては、日本の建設業界がトップランナーとして世界に貢献することも視野に入ります。

建設会社のBCP事情
建設会社を一つの営利企業としてではなく、社会全体を支えるインフラ整備産業の一部として評価する場合、建設業は他の産業よりもひと足早く事業活動を再開する必要があります。被害を受けた通信や交通などのインフラの早期復旧は、復興を進める上で最優先される案件だからです。災害時においては、建設業の再開なくして社会全体の復旧はありません。

この点において建設会社は、自社だけでなく、自社の属する地域全体を視野に入れたBCPを策定する必要があります。自社の再起動が困難な場合に備え、離れたエリアにある同業者との連携について検討すべきとの声もあります。

BCPにおける中小建設会社の役割

災害復興は中小建設業がカギ
建設業界のBCPは大手ゼネコンを筆頭に既に策定を終えている会社が多くあります。大手は関連する取引先にも同様の策定を促し、BCPは徐々に業界の裾野へと拡がりを見せています。

なぜなら、建設会社においては周辺の関連企業を巻き込むことが必要だからです。大手ゼネコンのみでBCPを策定しても、取引先が活動を中断していれば全体の身動きがとれなくなります。

ここで自然災害を例として具体的に検証してみましょう。

災害発生後、大手ゼネコンは予め策定していたBCPに則り、本社機能や建設現場の保全をいち早く取り戻します。一方、BCPを策定していなかった建設会社は長期間の事業停止に追い込まれます。最悪はそのまま廃業に追い込まれるケースもあるでしょう。

ピラミッド型の構成で成り立っている日本の建設業界では、大手ゼネコンが速やかに再起動できたとしても、取引先から提供されるべき資材や労務がストップしたままでは工事現場を動かせません。現場に監督だけがいても工事は進まないからです。災害復旧においても同様です。

ここでカギを握るのが現場ピラミッドの下部構造を担っている中小企業です。

中小建設業のBCP
建設業界に限ったことではなく、中小企業のBCP策定率は政府の期待を下回って推移しています。建設業全体でのBCP策定率が全産業平均を上回っているとはいえ、中小零細のBCP策定はいまだ十分ではありません。特にピラミッド構造である建設業においては、策定率に比例したBCP効果が期待できるとは限りません。

建設業界では、取引を通じて大手から中小へ、中小から末端企業へとBCPを連鎖させるのが自然発生的な流れですが、ピラミッドの下部になるほど財務面や人的資源が乏しく、これがBCP策定を妨げる原因の一つになっていることも事実です。

仮に策定に漕ぎつけた場合でも、BCPを機能させるために脆弱な財務面を改善しなければならないという皮肉な結論に至るケースもあります。

BCP情報は平常時から広く共有すべき

共通している現場のリスク評価
建設会社のBCP策定において重要な検討課題に現場リスクの評価があります。建設現場に潜在するリスクを洗い出し、その強度を検討する作業です。

この点に限っては、同じ現場であれば会社の規模に関係なく同等のリスクが潜在し、例え異なる現場であっても潜在リスクはそれほど変わりません。

また、建設作業では日頃の安全管理が行われていますから、大規模な自然災害などを想定した潜在リスクの洗い出しにも難なく対応できるはずです。

ピラミッド階層で異なる現場対策
現場のリスク評価の次に考えるのは対策です。BCPの根幹となる部分ですが、いかに現場を保全し速やかに再開させるかを検討します。この場合の現場保全とは、建設中の工作物だけでなく人員や現場機材などのすべてを対象とします。いかなる条件下でも最優先されるのは人命です。

例えば、災害時に人員の安全を確保するための避難経路や避難設備、施工中の工作物による二次被害を防ぐための緊急処置、再開までの資機材のメンテナンス、スケジュールや資金管理など、すべてBCPで検討される課題です。全体を統合するための指揮系統の確立も優先事項となります。

実際の現場においてはどうでしょうか。多くの会社で混成されている現場では、ピラミッドの階層によって求められる対策が異なります。現場全体の指示系統と自社の系統を融合させる必要もあります。いずれにしろ、現場が一体となって対策に当たります。

情報の共有化は平常時から
複数の組織が入り組んでいる建設現場でBCPを機能させるためには、平常時からの情報の共有が欠かせません。全体のBCPリテラシーを高めるためにも、リスク評価や具体的な対策についての情報を末端まで共有する必要があります。いざという場合に各個人が担う役割を把握しておくためです。

更に、共有された情報はピラミッド頂点からの上意下達ではなく、双方向でアップデートできる仕組みにすることが大切です。BCPは策定して終わりではなく、常に新しい情報に上書きされなければなりません。

クラウドによる情報共有
建設現場における情報共有にはいくつかの方法があります。現場事務所にサーバーを設置して現場主導で管理、協力会社も参加できる大手ゼネコンのシステムで共有、クラウドを利用する案などです。

現場管理を目的とするのであれば閉鎖されたシステムで問題ありませんが、災害発生時の周辺住民や行政機関などを含めた広範囲での情報共有をめざす場合、BCPに関連する情報は可能な限りフリーアクセスできる体制にしておく必要があります。

災害による情報の消失リスクやバックアップなども考慮するならば、開放されたクラウドによる情報共有がもっとも有効との結論が見えてきます。

まとめ

災害時にダメージを受けた社会インフラを取り戻すためには、建設業のいち早い復旧が至上命題です。このために建設会社のBCP策定においては、自社だけでなく社会全体を見渡した公益面からの検討が必要となります。

また、策定したBCPを速やかに実行に移すためには、平常時から広く情報を共有し、個々のリテラシー向上を図ることが大切です。クラウドによる開放された情報共有は、BCPの機能をより高めることを可能とします。

建設業でのファイル管理に「クロジカ大容量ファイル管理」

今回は、建設業と密接に関連する BCPの解説や策定方法・具体的なアクションについて解説してまいりました。非常事態を想定したデータ管理の必要性が今後、以前にも増して高まってくることがご理解いただけたかと思います。

「クロジカ大容量ファイル管理」は、広範囲において膨大なデータや情報を扱う建設業において、データ管理の"はじめの一歩" となるサービスです。

「クロジカ大容量ファイル管理」は初期構築費用を無料でスタートすることができます。
さらにマルチデバイス対応なので、タブレットからスマートフォン、PCからスマートフォンなどデバイスをまたいでデータ交換が可能です。また、プロジェクト単位でフォルダ分けして、代表者のみならず従業員の方々など、利用者数に合わせたプラン選択ができます。

簡単に導入でき、安心安全で利便性の高い機能を備えています。
ファイル管理でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

参考:【国土交通省】建設会社における災害時の事業継続力認定の申請に向けたガイドライン

ライター:東海林

取材記者として約10年、建設会社の経営者及びコンサルタントとして約20年の経験を活かしてライターや企業コンサルとして活動中。幅広い分野への知見を持ち、特に建設業界に関する深い理解や洞察力により実用的な記事執筆を得意とする。

大容量ファイル管理クラウドでかんたんに

大容量ファイルをクラウドでセキュアに クロジカガイドブック

無料ではじめる大容量ファイル管理
クロジカガイドブック

「クロジカ大容量ファイル管理」の詳しい内容がわかる資料をご用意しました。
  • 大容量ファイル管理の課題を解決
    • 大容量のクラウド移行
    • 大容量のデータ共有
    • データ保護
  • クロジカ大容量ファイル管理の主な機能

詳しい資料をご覧いただけます

クロジカ大容量ファイル管理のサービス内容を記載した資料をダウンロードできます。
クロジカの機能や事例が分かる
資料ダウンロード