こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの若山です。
サイバー攻撃が介護施設に及ぼす影響と、その対策法を知ることは介護施設を安全に運営する上で避けては通れない問題です。
この記事では、サイバー攻撃の基本を理解し、現実的な被害事例を認識した上で、技術的・物理的・人的対策の3つの観点から対策法を解説します。その上で、介護施設における具体的な進め方についても詳しく説明します。
この記事を読むことで、介護施設におけるサイバー攻撃対策の全体像を把握し、具体的な行動を起こすための指針が得られます。サイバー攻撃から大切な情報を守るための第一歩を踏み出しましょう。
Contents
サイバー攻撃とは?
サイバー攻撃とは、一般的にネットワークを通じてサーバーやパソコンといった情報端末に対し、システムの破壊やデータの窃取、改ざんなどを目的とした攻撃のことを指します。サイバー攻撃の目的が多岐にわたるため、規模や業種に関わらず全ての組織がターゲットになります。
それでは、具体的にどのような攻撃があるのか、そしてサイバー攻撃を受けてしまうとどうなるのかをみていきましょう。
サイバー攻撃の代表的なものは?
サイバー攻撃にはさまざまな手法が存在します。その中でも特に知られているものとして以下が挙げられます。
- マルウェア
- 標的型攻撃
- パスワードリスト攻撃
- DoS攻撃
- ゼロデイ攻撃
- セッションハイジャック
- サプライチェーン攻撃
これらの攻撃手法はそれぞれ異なる危険性と影響を持っていますが、共通しているのは情報端末への深刻なダメージを与える可能性があるという点です。
サイバー攻撃を受けるとどうなるか?
サイバー攻撃を受けると、組織の業績や信用に大きな打撃を与える可能性があります。その具体的な影響として、個人情報の漏えいやWebサービスの停止などが挙げられます。これらの影響は施設の社会的信用や、ビジネスの遂行に大きく影響するでしょう。
また、サイバー攻撃の影響は復旧コストも含みます。攻撃を受けたシステムの修復、データの復元、セキュリティ強化など、これらは時間と費用がかかります。サイバー攻撃は組織にとって深刻な問題となるため、早急に予防策を講じることが重要です。
病院・介護施設における被害事例
サイバー攻撃は全ての業界に影響を及ぼす可能性がありますが、医療・介護業界においても、そのリスクは例外ではありません。病院や介護施設におけるサイバー攻撃の被害は、患者や入所者の生命に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
以下では、具体的な事例を元に、医療・介護業界でのサイバー攻撃のリアルな影響について考察していきましょう。
ランサムウェアによる影響:電子カルテが使用不能に
地方のある病院では、X線の画像や投薬の記録、8万人以上の患者の電子カルテが失われるという事態が発生しました。病院の受付から診察、会計まで、すべての電子システムが停止し、病院は混乱に陥りました。病院の責任者は、「どうしてこんな小さな病院を狙うのか」と驚きを隠せなかったそうです。
ここで注意すべきは、バックアップサーバーも攻撃から免れなかったという事実です。このサーバーは地震や水害からデータを守るために設置されていましたが、サイバー攻撃からは守ることができませんでした。この事例から、病院におけるサイバーセキュリティの重要性が改めて認識されました。
個人情報漏えい:介護施設でのUSBメモリ盗難
オンラインによるサイバー攻撃ではありませんが、介護施設において入所者の個人情報が保存されたUSBメモリが紛失した事例があります。職員が机の引き出しに保管していたUSBメモリがなくなり、職員総出で施設内を捜索しましたが、結果的には発見に至りませんでした。
この事例では、情報管理の重要性が問われます。特に、病院や介護施設のように、患者や入所者、その家族などが頻繁に出入りする場所では、管理ルールの徹底が必要です。また、バックアップの重要性も再確認する機会となりました。医療・介護業界において、サイバーセキュリティ対策は避けては通れない課題と言えるでしょう。
サイバー攻撃対策の基本:3つの観点
サイバー攻撃から組織を守るためには、技術的対策、物理的対策、そして人的対策の3つの観点が必要です。これらの対策は相互に関連し合い、一方だけが進んでも十分な効果を発揮しないという特徴があります。
以下で、それぞれの対策について具体的な例を挙げながら解説していきます。
技術的対策:ファイアウォールとウイルス対策
技術的対策とは、コンピューターシステム自体に対する保護策のことです。具体的には、ウイルス対策ソフトを導入したり、アクセス管理の仕組みを設けたりすることで、サイバー攻撃からシステムを防衛します。また、不審なアクセスを検知するログ監視ツールの利用も一つの手段です。
ただし、新たな攻撃手法が日々生まれるため、導入した対策が常に有効であるとは限りません。そのため、定期的なセキュリティの見直しが必要です。
物理的対策:入退館管理の強化
物理的対策とは、物理的なセキュリティリスクから情報を守るための対策です。具体的には、スマートロックの導入や、生体認証を利用した入退室管理、監視カメラの設置などが含まれます。
これらの対策は相応の費用がかかる一方で、物理的な脅威から組織の重要な資産を保護する重要な役割を果たします。
人的対策:スタッフ教育と組織体制の見直し
最後に、人的対策です。これは、スタッフ自身の行動によって生じるリスクを防ぐための対策です。具体的には、情報セキュリティに関する教育を行ったり、セキュリティに関するルールを明確にしたりします。
特に重要なのは、教育対象を正社員だけでなく、パートやアルバイトを含めた全職員に広げることです。人的ミスは技術的対策や物理的対策だけでは防ぐことが難しく、組織全体の意識改革が求められます。
以上の3つの観点を押さえ、総合的なセキュリティ対策を進めることが、サイバー攻撃から組織を守る上で重要と言えます。
介護施設におけるサイバー攻撃対策の進め方
介護施設においても、サイバー攻撃対策は避けて通れない重要な課題となっています。しかし、対策を進めるには、施設の特性やスタッフの年齢層などを考慮に入れた、独自のアプローチが必要となる場合があります。
以下では、クラウドストレージを活用したデータ管理、スタッフ向けのセキュリティ教育、そして定期的なシステムのチェックとアップデートという3つの観点から、介護施設におけるサイバー攻撃対策を考えてみましょう。
クラウドストレージを活用したデータ管理
クラウドストレージの活用は、介護施設におけるデータ管理において有効な方法といえます。通信の暗号化、二要素認証機能、24時間365日の自動監視など、クラウドストレージは強固なセキュリティを提供します。
これらは、外部からの攻撃を防ぐだけでなく、内部からの不正アクセスにも対応します。それぞれの機能が協調し、介護施設に必要な情報保護を実現します。
セキュリティ教育:スタッフによる事前予防策
令和3年度の介護労働実態調査によると、介護業界で働く人々の平均年齢は47.7歳という結果が出ています。このように介護業界では中高年のスタッフが多いため、情報の取り扱いに対する危機感の共有が重要なポイントです。
定期的に研修を実施し、人的ミスの種類や、漏えい発生時の損害を伝えることで、情報保護の意識を高めることが求められます。さらに、情報漏えいが起きた際の具体的な報告手順や対策を周知することで、スタッフ一人ひとりが情報保護に責任を持つ体制を構築できます。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター『令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について』
定期的なチェックとアップデート
サイバー攻撃で使用されるウイルスは日々進化しています。そのため、一度対策を決めても安心できません。システムの状態を定期的にチェックし、必要に応じてセキュリティ対策のアップデートが求められます。これにより、最新の脅威に対しても対応可能な体制を維持できます。
以上の3つの観点から進めるサイバー攻撃対策は、介護施設が情報セキュリティを確保する上で極めて重要です。
まとめ
では、今回のまとめです。
サイバー攻撃とは、システムの破壊やデータの窃取、改ざんなどの行為で、地方の病院や介護施設でもその被害が出ています。その対策として、技術的、物理的、人的な観点からの対策が重要です。
また、特に介護施設では、スタッフのセキュリティ意識の向上や定期的なシステムチェックなどが求められます。これらの知識をもとに、皆さんも施設における対策を進めていきましょう。
参考記事:病院がサイバー攻撃を受けたとき消えた電子カルテの衝撃
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ライター:若山
介護福祉士として従事している傍ら、介護歴10年の経験を活かし、介護/福祉に特化した記事を執筆。介護現場のIT・デジタル化にまつわる課題や悩みに対して現場に即した、有益なアイデアを提供します。
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