こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの若山です。
2015年6月に厚生労働省から保険医療2035が提言されてから早8年。介護・医療業界を取り巻く環境はどのように変わったのでしょうか。
リーンヘルスケア、ライフ・デザイン、グローバル・ヘルス・リーダーという大きく3つの展望が掲げられた保険医療2035の中でも、保健医療福祉業界では「IT・ICT化による生産性の向上や業務改善について詳しく知りたい」とお考えの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、厚生労働省の保健医療2035の方針や、IT・ICTの導入の重要性と活用方法について解説していきます。
この記事が皆さまにとって、保健医療福祉とIT・ICTを上手く活用するヒントになりますと幸いです。
Contents
治療から予防へ - 厚生労働省の保健医療2035
日本の医療の未来が変わります。そのきっかけとなるのが、厚生労働省の新たな取り組み保健医療2035です。
これまでの医療は、病気が発覚してからの治療が中心でした。しかし、保健医療2035では、病気にならないように予防することが重視されています。これからの10年間で、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
参考:厚生労働省『保健医療2035提言書』
厚生労働省の保健医療2035とは?
保健医療2035は、厚生労働省が2015年に提唱した、予防に焦点を当てた新しい医療の指針です。主な目標は、自分自身の健康管理をし、健康的な生活を送れる社会を実現すること。
それに向けて、厚生労働省は健康情報の提供強化や、生活習慣病の予防に取り組むなどの施策を推進しています。これらの取り組みは、病気の早期発見や医療費の削減につながります。保健医療2035が実現されれば、日本の医療や介護に大きなメリットをもたらすでしょう。
予防に重きを置く方針の重要性
医療の予防重視方針の重要性は、主に2つの点で顕著です。
- 医療費の削減: 多くの病気の治療は予防措置よりも費用がかかります。疾病を未然に防ぐことにより、医療費が大幅に削減されます。
- 健康寿命の伸長: 病気を予防し、健康を維持することで、健康寿命が延びます。これは高齢化社会の介護問題の軽減にも寄与します。
これらの点を考慮し、厚生労働省は保健医療2035の推進により、予防主体の医療方針を提唱しています。
保健医療福祉とは?簡単に解説
保健医療福祉とは、人々の健康と生活の質を高めるための活動を指します。具体的には健康の保持、病気の予防、生活の支援など、様々な側面が含まれます。
以下で詳しく見ていきましょう。
保健医療福祉の基本的な概念
保健医療福祉の基本的な目指すところは「人々の健康と福祉の向上」です。その達成には、次の3つの重要な要素が関わります。
- 保健:個々の健康維持と病気予防の活動。健康診断や予防接種などが該当します。
- 医療:病気や怪我の治療をする活動。診療、薬の使用、手術などがこれに含まれます。
- 福祉:生活の質を高め、困難な状況を支援する活動。高齢者や障害者の生活支援、子どもの保護などが福祉に関わります。
これらの3つの分野は、単独で機能するだけでなく、相互に連携し社会全体の健康と福祉の向上を実現します。
保健医療システムの現状と課題
保健医療システムは、国民の健康を守り、病気やケガに対して適切な治療や介護を提供する仕組みを指す言葉です。
現代社会において、保健医療システムは私たちの健康を守るための大切な役割を果たしています。しかし、保健医療システムの課題が指摘されているのも事実です。
ただし、これらの課題はIT・ICTの活用により解決できると期待されています。以下で詳しく解説していきましょう。
保健医療システムの現状
日本の保健医療システムは、世界的に見ても高い水準にありますが、現在さまざまな課題に直面しています。
一つは、高齢化社会に伴う医療費の増加です。日本は、世界でもっとも高齢化が進んだ国の一つであり、高齢者の割合は2022年には29.1%と過去最高を記録しました。
もう一つは、医療従事者の不足です。日本では、医師・看護師・介護職などの医療従事者が不足しており、特に地方や僻地では深刻な問題となっています。
これらの課題に対処するためには、政府や関係機関が協力して、保健医療システムの改革に取り組む必要があります。
参考:総務局統計局『高齢者の人口』
IT・ICTが解決可能な課題
IT・ICT(情報技術・情報通信技術)は、保健医療システムの課題を解決するための有効な手段となると期待されています。IT・ICTを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 医療費の削減:遠隔診療やAI診断などにより、医療サービスの効率化や質の向上が可能になる
- 医療従事者の確保:オンラインでの研修やシミュレーションなどにより、人材の育成やスキルアップを促進する
- 地域間の医療格差の解消:インターネットやスマートフォンなどにより、地域や時間に関係なく医療サービスを受けられる
- 医療情報の共有や活用:電子カルテやクラウドなどにより、医療情報の収集や分析、共有が容易になる
以上のように、IT・ICTは保健医療システムにおける多くの課題を解決する可能性を持っています。
IT・ICTを導入への具体的なステップ
現在、日本は人手不足や高齢化社会の課題に直面していますが、IT・ICTの導入によって医療・介護の質と効率が向上し、同時に職員の負担軽減も可能です。
以下では、IT・ICTを用いた具体的なステップを紹介します。
IT・ICTの導入の必要性
IT・ICTの導入が医療・介護分野の問題解決に重要な理由は、主に以下の2点です。
- 労働力不足の解消:医療・介護業界はしばしば人材不足に悩まされ、人件費も高くなります。IT・ICTの導入は、これらの問題を緩和し、作業効率を高めます。
- 高品質な医療サービスの提供:ICTを利用した健康情報の管理は、必要な情報の即時取得を実現し、適切な医療サービスを提供できるようにします。
以上の理由から、IT・ICTの導入は医療・介護現場にとって重要と言えるでしょう。
具体的なIT・ICTの活用方法
上記のとおり、今後の医療・介護業界ではIT・ICTの活用が必要不可欠です。ここでは、具体的なIT・ICTの活用方法を3つ紹介します。
1. ワークフローの確立
医療・介護現場では、多くの業務や情報があります。それらを効率的に管理するためには、ワークフローを確立することが重要です。
ワークフローとは、業務の流れや利用者または患者のスケジュールなどを明確にすることです。ワークフローを確立することで、業務の進捗や状況を把握しやすくなります。
また、業務の改善や問題解決にも役立ちます。例えば、クラウドサービスやタスク管理ツールの使用により、業務の共有や連携が実現できるでしょう。
2. イノベーション環境の構築
医療・介護業界では、利用者の状態は刻々と変化しています。それらに対応するためには、イノベーション環境を構築することが必要です。
イノベーション環境とは、新しいアイデアや提案を生み出しやすい環境のことです。「今、患者様が必要としている対応は何か?」「ADLを向上する最適な方法は?」など医療・介護の現場では常にアイデアが求められています。
例えば、オンライン会議やチャットツールなどを使えば、スタッフや関係者とのコミュニケーションや意見交換がスムーズになります。
3. 情報基盤の整備と活用
医療・介護業界では、さまざまな情報を取り扱っています。それらを有効に活用するためには、情報基盤の整備と活用が必要です。
情報基盤とは、情報の収集・分析・提供を実施するための基盤のことです。情報基盤の整備と活用をすることで、サービスの質や効率を向上できます。
また、介護現場における事故防止にも役立ちます。例えば、ヒヤリハットや事故報告のデータベースを作って、情報の分析や可視化も可能です。
これらのようにIT・ICTの活用が進むと、介護現場でのサービス提供や業務遂行が大きく改善されるでしょう。
まとめ
厚生労働省の保健医療2035では、病気の治療から予防に重きを置く新たな方針が示されています。しかし、現在の保健医療システムは、さまざまな課題を抱えています。
課題解決のポイントになるのは、保健医療2035でも推奨されているIT・ICTの導入です。IT化・ICT活用にはクラウドストレージが重要になります。
また、IT・ICTの介護向けの活用方法として、ワークフローの確立、イノベーション環境の構築、情報基盤の整備と活用が挙げられます。
今回の情報を活かして、IT化・ICT活用による医療・介護現場の業務効率化に取り組みましょう。
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ライター:若山
介護福祉士として従事している傍ら、介護歴10年の経験を活かし、介護/福祉に特化した記事を執筆。介護現場のIT・デジタル化にまつわる課題や悩みに対して現場に即した、有益なアイデアを提供します。