【失敗しない!】サーバーの冗長化とは?|メリットやケース別のおすすめ構成まで解説

サーバーの冗長化は、*システムの信頼性と可用性を高めるために非常に重要です。ただ、当然ですが冗長化には一定のコストがかかります。そこで本記事では、初めての冗長化対策を失敗しないようにメリットデメリットなどの基本的な解説はもちろん、「冗長化」に対する解像度を上げていただけるように要点を絞って紹介します。

*「システムの信頼性」とは:システムが正しく動作し続ける能力のこと。例えば、お気に入りのスマートフォンアプリが、使いたいときにいつでも正常に動くような状態。
*「可用性」とは:システムがユーザーにとって利用可能な状態にある時間の割合。例えば、オンラインショッピングサイトが24時間365日いつでも利用できる状態を“高可用性”と呼びます。

この記事でわかること

① サーバーを冗長化する意味とは?
② サーバーを冗長化をメリット・デメリット
③ 冗長化の基本的な構成
④ 【ケース別】おすすめの冗長構成
⑤ 冗長化におすすめのクラウドサーバーとは

サーバーを冗長化するとは?

冗長化の解説

サーバーの冗長化とは、システムの可用性や信頼性を高めるために、サーバーやネットワークなどの重要なシステム構成要素を複数用意し、互いに連携させることで、1つの要素が故障した場合でもシステム全体が停止しないようにする仕組みです。具体的には、同じ機能を持つサーバーを複数台用意し、1台が故障した場合には、他のサーバーが自動的にその役割を引き継ぐことで、システムの稼働を継続できるようにします。

冗長化の種類

サーバー冗長化には、大きく分けて以下の3つの種類があります。

  • アクティブ/スタンバイ構成
  • アクティブ/アクティブ構成
  • マスター/スレーブ構成

それぞれの構成方法によって、冗長化のレベルやコスト、運用方法などが異なります。これらの構成方法の詳細については本記事後半にて後述いたします。ここまでで「冗長化とは?」という基本的な概念をご理解いただいたところで、以下ではサーバーを冗長化することのメリット/デメリットを解説いたします。

サーバー冗長化のメリット

システムダウンの防止(可用性向上)

サーバー冗長化を行うことで、1台のサーバーが故障した場合でも、他のサーバーが自動的にその役割を引き継ぐため、システム全体が停止してしまうことを防ぐことができます。これは、特にWebサイトやオンラインサービスなど、常に稼働している必要があるシステムにとって非常に重要なメリットです。

信頼性の向上

サーバー冗長化によって、システムの信頼性を向上させることができます。1台のサーバーが故障した場合でも、他のサーバーがその役割を引き継ぐことで、システム全体の安定性を維持することができます。また、冗長化を行うことでデータのバックアップや災害対策など、信頼性を高めるための様々な対策を講じることが容易になります。

BCP対策

BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などの緊急事態が発生した場合でも、事業を継続するための計画のことです。サーバー冗長化は、BCP対策として有効な手段の一つです。災害や事故によってサーバーが損壊した場合でも、他のサーバーがその役割を引き継ぐことで、事業の継続を可能にすることができます。BCP対策は医療・福祉業界などで特に重要視されている内容となります。

サーバー冗長化のデメリット

構築/運用コストの増加

サーバーの冗長化には、オンプレミスサーバーの場合は複数のサーバーやネットワーク機器などの追加費用が必要になります。またレンタルサーバーやクラウドサーバーの場合は既存で運用していたサーバー料金に加えて新たに、冗長化したサーバーの費用がかかります。

運用保守の工数の増加

サーバーの冗長化を行う場合、複数のサーバーを管理する必要があり、運用保守の工数が増加します。また、冗長化システムの構築や運用には、専門的な知識や技術が必要となるため、人材確保の面でも課題が生じる可能性があります。

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Webサーバーの「冗長化」は必要?種類・メリット・注意点を解説

冗長化の基本的な構成

アクティブ/スタンバイ構成

アクティブ/スタンバイ構成は、常に1台のサーバーが稼働(アクティブ)し、もう1台のサーバーは待機(スタンバイ)状態にある構成です。稼働中のサーバーが故障した場合、待機中のサーバーが自動的に稼働を開始し、システムの稼働を継続します。この構成は、比較的シンプルで、コストを抑えることができますが、待機中のサーバーは稼働していないため、処理能力を最大限に活用することは期待できません。

アクティブ/アクティブ構成

アクティブ/アクティブ構成は、複数のサーバーが同時に稼働し、負荷を分散する構成です。1台のサーバーが故障した場合でも、他のサーバーがその役割を引き継ぐため、システムの稼働を継続することができます。この構成は、高可用性を実現できる反面、常に2台(以上)のサーバーを稼働させる必要があるため、構築コストや運用コストが高くなる傾向があります。

マスター/スレーブ構成

マスター/スレーブ構成は、1台のサーバーがマスターとしてデータの更新や処理を行い、他のサーバーがスレーブとしてマスターのデータを複製する構成です。マスターサーバーが故障した場合、スレーブサーバーがマスターに昇格し、システムの稼働を継続します。この構成は、データの整合性を保つことができる反面、マスターサーバーの負荷が大きくなる傾向があります。

※マスターサーバーの負荷がスレーブサーバーよりも大きくなる理由:マスターサーバーがデータベースへのすべての書き込み操作(INSERT、UPDATE、DELETE)を処理するのに対して、スレーブサーバーは主に読み取り操作(SELECT)のみを処理するため。

マルチマスター構成

マルチマスター構成は、複数のサーバーが同時にマスターとして機能し、それぞれがデータの更新や処理を行える構成です。各マスターサーバー間でデータの同期を行い、整合性を維持します。この構成では、どのサーバーに対しても読み書きが可能なため、負荷分散とシステムの可用性が向上します。

あるマスターサーバーが故障しても、他のマスターサーバーが処理を継続できるため、高可用性を実現できます。ただし、データの同期や競合解決の仕組みが複雑になるため、適切な設計と管理が必要です。

【ケース別】おすすめの冗長構成

安定したWebサイト運営の目的

安定したWebサイト運営を目的とする場合は、アクティブ/アクティブ構成がおすすめです。なぜなら負荷分散により各サーバーの処理負荷を軽減でき、同時に多数のリクエストを処理できるためです。また、1台のサーバーが故障した場合でも、他のサーバーがその役割を引き継ぐため、Webサイトのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

さらに、*CDNを活用することでトラフィックを効率的に分散させ、オリジンサーバー(アクティブ/アクティブ構成のサーバー)の負荷をスムーズに軽減することが期待できます。

*CDNとは:ウェブサイトやアプリのコンテンツ(画像、動画、テキストなど)を高速かつ効率的に配信するための仕組み

アクティブ/スタンバイ構成:待機系サーバーがアイドル状態となり、リソースを効率的に活用できないため、アクティブ/アクティブ構成ほど安定したWebサイト運営目的には適していません。

マスター/スレーブ構成:読み取り処理の負荷分散は可能ですが、書き込み処理がマスターサーバーに集中するため、高負荷時の安定性に課題があり、アクティブ/アクティブ構成ほど安定したWebサイト運営目的には適していません。

マルチマスター構成:データの同期や競合解決の複雑さがWebサイトのパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、アクティブ/アクティブ構成ほど安定したWebサイト運営目的には適していません。

災害対策(BCP対策)の目的

災害対策(BCP対策)を目的とする場合は、アクティブ/スタンバイ構成がおすすめです。なぜなら地理的に離れた場所にスタンバイサーバーを設置できるためです。また、メインサイトが完全に機能停止しても、スタンバイサイトに切り替えることで業務を継続できることも災害対策に適しているためです。

アクティブ/アクティブ構成:常時両方のサイトが稼働しているため、同時に被災するリスクが高く、災害対策目的には適していません。

マスター/スレーブ構成:データの同期に主眼を置いており、システム全体の冗長性が低いため、災害対策目的には適していません。

マルチマスター構成:複雑なデータ同期メカニズムが災害時の迅速な復旧を妨げる可能性があり、また、全サイトが常にアクティブなため、アクティブ/スタンバイ構成ほど災害対策目的には適していません。

補足ですが、通常オンプレミスサーバーを運用している企業が災害対策目的で冗長化を行う場合は、AWS、Azure、GCPなどのクラウドサービスを利用することがおすすめです。これはオンプレミスとクラウドを併用して活用していることからハイブリッドクラウドと呼ばれます。

ハイブリットクラウドは*DR対策に非常に適しています。災害対策の場合は通常運用サーバーと復旧用の予備となるサーバーを地理的に離れた環境に設ける必要があります。仮に災害発生後に、早急にオンプレミスで冗長化を行おうとしても、ハードウェアの調達や設定に時間がかかってしまいます。

しかし、災害復旧用のサーバーをクラウド上に設ける際は、AWSやAzureなどそれぞれのクラウドサービスの管理画面上で“簡単”に“オンプレミスサーバーと地理的に離れた場所にサーバーを設ける”ことが可能になります。

*DR対策とは:会社のシステムやデータが壊れたり、使えなくなったりしたときに、すぐに復旧できるようにするための「保険」や「準備」のこと。

失敗しないサーバーの冗長化ならクロジカへ

ここまでで、サーバーの冗長化について詳細に解説してまいりました。上記の内容からご理解いただけるように、冗長化はシステムの可用性や信頼性を高めるための重要な対策ですが、適切な設計や構築を行うためには専門的な知識や技能が求められます。

クロジカサーバー管理では、サーバー冗長化の設計・構築・運用・保守まで、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。サーバー冗長化の導入を検討されている方は、要件が詳細に固まっていない段階でも構いませんので、ぜひ一度クロジカにご相談くださいませ!

監修者:クロジカサーバー管理編集部

コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。

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