こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
AWS(Amazon Web Service)の代表的なLinuxOSである、Amazon Linux2(AL2)。本ディストリビューションのサポート終了(EOL)が2025年6月30日に迫っています。安定的なサーバー運営を行うためには、AL2のサポート終了までに早期の対応が必要です。
本記事では、Amazon Linux2のサポート終了に伴う影響とその対応策について解説します。
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この記事でわかること
① Amazon Linux2 サポート終了の理由
② サポート終了の影響とおすすめのOS移行先
③ Amazon Linux2の移行方法と注意点
目次
Amazon Linux2はなぜサポート終了するの?
Amazon Linux2は無料Linuxディストリビューションとして、多くの人に利用されてきました。
また、EC2の構築時はデフォルトがAL2となっているため、個人利用や検証の際によく利用されている方もいるのではないでしょうか。ここでは、AL2がサポート終了となる理由について解説します。
サポート終了の理由
Amazon Linux2のサポート終了の主な理由は、技術の最新化とセキュリティの強化です。
最新の技術やセキュリティ標準に対応するため、定期的に新しいバージョンのOSをリリースしています。AL2に限らず、ソフトウェアやプログラミング言語など幅広い分野において、サポート期限(EOL)が設定されています。
サポート期限はリリース時から決められており、製品によって異なりますが、おおよそ3年〜10年ほどのサイクルでサポートが提供されます。AL2は当初2023年6月30日までのサポート期限とされていましたが、延長サポートが発表され、2025年6月30日までのサポートとなりました。
ユーザー側で必要な対応は?
Amazon Linux2のサポート終了(EOL)に伴い、ユーザー側で実施しなければいけない対応があります。
それは、AL2から別OSへの移行対応です。OSの移行は、古くなったサーバーの入れ替えや、障害による機器交換と比べると、多くの時間とコストが発生することに注意しましょう。OSは、サーバーの根幹・基盤となる重要な部分です。
そのため、OSの移行はそこにインストールされているミドルウェアやアプリケーションにも影響を及ぼします。十分な検証をせずにOS移行を行うと、移行後のアプリケーションやシステムの動作のパフォーマンスの低下や不具合が発生する恐れがあります。AL2を利用している企業・個人の方は、EOLとなるまでに、OSの移行計画を綿密に立てておきましょう。
サポート終了の影響とおすすめのOS移行先は?
Amazon Linux2のサポートが終了すると、どのような影響があるのでしょうか。また、AL2の移行先はどのように選定すればよいのでしょうか。ここでは、サポート終了に伴う影響とおすすめの移行先について解説します。
サポート終了による影響
Amazon Linux2のサポート終了により、まず考えられる影響はセキュリティリスクの増大です。
サポートが終了すると、セキュリティパッチやバグフィックスが提供されなくなるため、システムが脆弱な状態になる可能性があります。これにより、サイバー攻撃のリスクが高まり、システムの安全性が損なわれる恐れがあります。総務省のサイバーセキュリティサイトにおいても、OSを含むソフトウェアのEOLについての注意喚起がなされています。
さらに、技術的なサポートが受けられなくなるという問題もあります。問題が発生した際に公式のサポートを受けられないため、トラブルシューティングや問題解決が難しくなります。
OS移行によるメリットも
一方、OS移行には多くのメリットがあります。
まず、新しいOSに移行することで、最新のセキュリティパッチや機能を利用できるようになります。これにより、システムの安全性が向上し、セキュリティリスクを大幅に低減することができます。
また、パフォーマンス部分の向上も期待できます。最新の技術や最適化が施されているため、システム全体のパフォーマンスが向上します。例えば、サーバーの起動時間の短縮や、最新のアプリケーションやプログラミング言語への対応も随時行われていきます。
おすすめの移行先OS
AL2から移行する先のOSとしては、以下のような選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、最適なOSを選択しましょう。
- Amazon Linux 2023
Amazon Linux2(AL2)の後継となるOSです。現行のAL2で問題がない場合は、本OSへの移行をおすすめします。Amazon Linux 2023は、Fedoraベースの最新のLinuxディストリビューションであり、AL2と比べてセキュリティやパフォーマンスが強化されています。
AWS独自のディストリビューションのため、Amazon Inspectorなどの各種AWSサービスとの統合・連携がスムーズにできる点が魅力です。AL2023のサポート期限は2028年3月15日となっています。
- AlmaLinux
OS移行のこの機会に、別のLinuxディストリビューションに移行する選択肢もあります。
例えば AlmaLinuxは、Red Hat Enterprise Linux (RHEL)と互換性のある、無料でオープンソースのエンタープライズ向けLinuxディストリビューションです。CentOSの後継として開発されており、安定性とセキュリティを重視したサーバー向けOSとして注目されています。
AlmaLinux OS 8.xは、2029年5月まで標準サポート、2031年5月まで延長サポートが提供されます。標準サポート期間中は、最新のパッチやセキュリティアップデートが提供されます。
このように、ディストリビューションによって性能が異なるため、自社にあったディストリビューションを選んでみても良いでしょう。ただし、AL2と設計・内部構造が大きく異なる場合があるため、移行の検証・開発には余裕を持ったスケジュールで対応する必要があります。
- サーバーレス構成
AL2の移行先として、OSを管理しないサーバーレス構成という選択肢もあります。AWSでは、AWS LambdaやFargateなど数多くのサーバーレスサービスを提供しています。サーバーレス構成では、インフラ管理の手間を大幅に削減し、コスト効率も高いです。スケーラビリティや高可用性が求められる環境に最適です。ただし、アプリケーションの特性によっては費用が高額になる場合や、高度なスキルが求められる場合があります。
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Amazon Linux2の移行方法は?
最後に、Amazon Linux2から別OSへ移行する方法について解説します。
移行方法
Amazon Linux2から新しいOSへの移行には、いくつかのステップがあります。以下の手順に従って、計画的に移行を進めましょう。
1. バックアップの取得
現環境のバックアップを取得しておきましょう。OSの移行はデータの消失や移行先での不具合発生のリスクがあります。データの復元やサービス復旧のためのバックアップ取得は重要です。
2. OSの選定と準備
移行先OSを選定し、インストール方法や設定手順を確認します。
3. テスト・検証
移行先OSで構築したサーバーに、現行のアプリケーションやサービスを動作させ、挙動に問題がないか確認します。互換性の問題やパフォーマンスの変動に注意しましょう。
4. 移行計画の策定
移行計画の具体的な日程や時間、メンバーのアサイン、ユーザーへの通知方法、異常時の対応手順など、移行計画を策定しましょう。
5. 構築・データ移行
新OS環境でのデータ移行・構築を行います。データの整合性に注意し、必要に応じてマイグレーションツールなどを活用するとよいでしょう。サーバー環境だけでなく、監視や運用システムの更新も忘れずに行いましょう。
6. 本番環境への切替
ドメインの切替やブルーグリーンデプロイメント等で、本番環境への切替を行います。不具合が発生した際は、移行計画書を基に旧サーバーへの切り戻しができるような体制を整えておきましょう。
移行する際の注意点
OSの移行には以下に注意しましょう。
互換性の確認
移行先OSと現行のアプリケーションやサービスとの互換性を事前に確認します。特に、プラグインやサードパーティ製ツールの互換性に注意が必要です。
パフォーマンスの検証
新しいOSに移行することでパフォーマンスが向上することが期待されますが、相性等の問題で逆にパフォーマンスが低下するリスクもあります。テスト環境で十分に検証し、本番環境への影響を最小限に抑えましょう。
セキュリティ対策
新しいOSに移行する際には、セキュリティ設定の確認と強化が重要です。ファイアウォール設定やアクセス制御リスト(ACL)の見直しを行いましょう。
運用手順の整備
OS移行により、サーバーのコマンド体系やディレクトリ構造などが変わる場合があります。テストの段階で現行の運用手順書に変更がないか確認しておきましょう。
まとめ
Amazon Linux2のサポート終了(EOL)は、多くの企業にとって避けることができない重要なタスクとなります。適切な対応を行うことで、セキュリティリスクを回避し、業務の継続性を確保することが可能です。本記事で紹介した移行先OSや移行方法を参考に、計画的に準備を進めましょう。
しかし、OSの移行には技術的なスキルと時間が必要です。移行計画を立て、必要であればアウトソーシングを行いシステム・アプリケーションの安全な移行を行いましょう。
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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