こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
ICTをはじめとする情報通信分野の発展により、自社専用のアプリやホームページを持つ企業が増えてきました。総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、ソフトウェア(受託開発及びパッケージソフト)への民間企業設備投資は9.1兆円となり、ソフトウェア開発の市場規模は年々拡大傾向にあります。
これはアプリ制作などのシステム開発を受注する企業にとって、売上の伸びに繋がる大きなチャンスとなるでしょう。しかし一方で、開発後の運用・保守業務も担当するとなると、次の開発案件に着手できず売上の拡大ができなくなってしまうケースが存在します。本記事では、システム開発業務と運用保守業務のそれぞれの特性について紹介し、最適な業務体制について解説します。
目次
システム開発業務の特性
はじめに、システム開発業務の特性について紹介します。システム開発業務はクライアントから要望された要求仕様通りにアプリやシステムを開発する業務です。
チーム開発における制約
システム開発業務は、プロジェクトチームを組んで行われます。
プロジェクト全体を取り仕切るPM(プロジェクトマネージャー)、各分野のリーダーの役割を持つPL、その他デザイナーやフロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニア・インフラエンジニアなどで構成されています。プロジェクトの規模にもよりますが、各部門の担当数名程度で構成されており、それぞれにタスクが割り振られて1つのアプリを製作することが一般的です。
そのため、特定のチームの開発に遅れが出てしまうと、他のチーム開発に影響が発生しプロジェクト全体に遅れが出てしまう可能性があります。
コミュニケーションが必要
システム開発にはコミュニケーションが必要不可欠です。
クライアントとの定期的な打合せ、チームメンバーとの内部打合せなどが必要となります。クライアントとの打合せではシステムの仕様や進捗の報告・顧客折衝を、チームメンバーとは開発進捗・方針の決定や技術相談などを行います。定期的なコミュニケーションを行うことで、より高品質なシステムをスケジュール通りに開発することが可能です。
必要なスキル
システム開発業務には、開発業務に特化した様々な技術的なスキルが必要です。
例えば、経済産業省「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」では、ECサイトの構築時にはバックアップの設定や二要素認証の導入、ログ設定等のスキルが必要となります。また、技術的なスキルだけでなく、プロジェクト管理能力も求められます。プログラミング言語やフレームワークの知識は基本ですが、それに加えて、要件定義、設計、テスト、デバッグなどの工程を理解し管理する能力も重要です。
▼経済産業省の「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」についての解説はコチラ
【Web担当者編】経済産業省のECサイトセキュリティガイドライン|注目ポイントなど要約解説
運用保守業務の特性
次に運用保守業務の特性について紹介します。運用保守業務とは、構築後のシステムに対してセキュリティ対策やサーバーなどのリソース監視、障害対応業務などを行う業務です。
本番環境への影響
運用保守業務の最大の特徴は、実際に稼働しているシステム(本番環境)を扱うところにあります。障害発生時の迅速な対応、定期的なバックアップの実施、セキュリティの更新など、継続的な監視とメンテナンスが求められます。これらの作業はシステムの稼働に直結するため、責任感と緊急時の対応能力が必要とされます。
休日・夜間対応
運用保守業務では、休日や夜間でも対応が必要な場合があります。
システム障害やセキュリティインシデントは予告なく発生し、休日・夜間に限らず即時の対応が求められることも少なくありません。また平日の別作業中の場合でも、優先的に障害対応をする必要があります。
必要なスキル
運用保守業務では、運用に特化した様々な技術的なスキルが必要です。例えば、経済産業省「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」では、運用業務として設定ファイルの差分チェック、ログ解析、セキュリティパッチの適用などの業務が必要とされています。
▼サーバー管理に必要なスキルについての解説記事はコチラ
【Web担当者向け】サーバー管理に必要なスキルとは?|一般業務に必要なスキルを徹底解説!
システム開発と運用保守業務は分けるべきか
ここまで解説したように、開発業務と運用保守業務は業務特性や必要なスキルが異なります。ここからは、システム開発と運用保守業務の兼務について解説します。
開発と運用保守を兼務した場合
開発と運用保守業務を兼務した場合、下記のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- アプリケーションへの理解がある
開発者はシステムの内部構造を熟知しているため、障害発生時の対応が迅速かつ的確に行える可能性が高まります。 - 社員のスキル向上
開発中に運用保守の観点を取り入れることで社員のスキルが向上し、よりセキュアなシステム設計が可能になります。
ただし、開発と運用の2つの知識を同時に習得するため「広く浅いスキル」になってしまう可能性があるため注意しましょう。
デリット
- 他業務・プロジェクトへ支障が出る
他業務やプロジェクトへの支障が出る可能性があります。
例えば、開発業務のミーティング中に障害が発生した場合には運用保守を優先しなくてはいけません。これによりプロジェクトの進捗が滞るだけでなく、クライアント側の信頼損失に繋がる可能性もあります。 - 社員のワークライフバランスの低下
運用保守業務は夜間休日問わず発生します。日中帯がメインとなる開発業務と兼務すると社員のワークライフバランスが低下する場合があります。
開発と運用保守を分けた場合
開発と運用保守業務を分けた場合、下記のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- それぞれの業務スキルをより深く追求できる
開発と運用の業務に専念し、深いスキルを身に着けることが可能です。上述した通り、開発にはSDKやフレームワークの知識、運用保守にはセキュリティパッチ適用やバックアップのリストアなどの深い知識が必要となります。
- 他業務・プロジェクトへの影響が出ない
業務を明確に分離することで、他のプロジェクトへの影響を最小限に抑え、全体の業務効率を向上させることができます。例えば、運用保守業務の人員をシフト勤務として、開発担当の社員は通常の日中帯業務に従事させることでより業務に集中することが可能です。
- 人員・コストが必要
開発・運用保守業務を分ける場合には、追加の人員とコストが必要です。運用保守のシフト体制業務を回すには、体制にもよりますが5人~10人程度の人材が必要となります。加えて、経済産業省「IT人材育成の状況等について」によると、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、将来的には40~80万人の規模でIT人材が不足するとされています。そのため予算が十分にあったとしても、IT人材の確保自体が大きな課題となります。
運用保守業務はアウトソーシングがおすすめ
ここまで、システム開発とサーバーの運用保守業務の兼務について解説しました。システム開発と運用保守業務は、プロジェクトの影響や社員の健康を考慮すると分けた方が良いと言えます。しかし、業務の分離は予算や人材の確保が困難となります。
そこで、開発と運用を分けた上で運用業務をアウトソーシングする方法がおすすめです。「クロジカサーバー管理」 では、お客様サーバーの運用・保守の代行サービスを提供しています。例えば、サーバーダウン時の障害復旧やバックアップ・リストア、ソフトウェアパッチ適用作業などトータルで承っております。
他にも、事業会社様のウェブサイトをデザインされるWeb制作会社様でクライアント様から「サーバー管理まで対応してほしい」というお声がある場合、Web制作会社様向けのパートナープログラムもご用意しておりますので、詳細のご質問などについてお気軽にお問い合わせください。
▼パートナープログラムについて
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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