サーバーのクラウド化が向いている会社と向かない会社の違いは?

こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。

近年は海外情勢やインフレなどにより物価高が上昇し、企業としても賃上げやベースアップ・働き方改革を求められる時代となってきました。

企業は最新技術を駆使したITツールの導入やサーバーのクラウド化によりコスト削減や業務の自動化・効率化を行っています。総務省の「情報通信白書」によると、クラウドサービスを導入する企業は年々増加傾向にあり、その8割近くが「効果があった」としています。

しかし一方で、クラウド導入をしていない企業が令和4年時点で3割程度あることも事実です。では、なぜクラウド導入を見合わせている企業があるのでしょうか。本記事では、クラウド導入に適している企業・適していない企業について解説します。

クラウド化に適している企業

はじめに、自社のシステムやアプリサーバーのクラウド化に適している企業・特性について解説します。

スタートアップ企業・新規開発事業

スタートアップ企業や新規開発事業を進める会社にとって、クラウド化は最適なソリューションです。

数十万・数百万円するようなサーバーを購入することなく、クラウドプロバイダーが提供するサーバーを利用することで初期投資を抑えて事業をスタートできます。また、クラウドサービスを利用することで、最新の技術を低価格で利用することができます。

例えば、AWSの「Amazon SageMaker」は1時間当たり0.065USDから機械学習サービスの利用が可能です。リソースの調達も迅速で、物理サーバーの購入には通常数か月を要する場合も、クラウドの場合は数分・数クリックでサーバーを稼働させることができます。限られた資源を効率的に使用し、ビジネスの機敏な成長を支援するクラウド化は、特にスタートアップ企業にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。

季節性ビジネス

年間を通して需要が変動するビジネスや、イベントプランナーなどの業種においてもクラウドサービスは有効です。クラウドサービスは利用する分だけ課金をする「従量課金」制度のため、需要の高い繁忙期のみサーバーを増設、閑散期にはサーバーを停止しコストを抑えることができます。

例えば、AWSの仮想サーバーサービスである「EC2」の場合、サーバー停止時はサーバー本体の料金は課金されずに、付随するストレージと固定IPアドレスのみの課金となります。また、サーバー内のプログラムやデータはそのままであるため、サーバーを再び起動すると停止時の状態をそのまま再現することが可能です。

テレワークや外勤が多い企業

従来のオフィスワークでは、全員が一箇所に集まって業務を行っていたため、システム利用やデータの受け渡しは社内サーバーで対応できていました。

しかし、働き方改革によりテレワークを導入している企業も多くあることでしょう。また、営業や作業現場など社員が常に同じ場所で仕事をするとも限りません。従来のオンプレミス環境であれば、ファイアウォールの設定を行い社外から社内へアクセスする経路を空けなくてはいけません。

また、開発会社や運用会社へ業務を委託している場合は、社外の人間を社内ネットワークへ入れる必要があります。これにはセキュリティリスクやネットワーク帯域の問題が発生する恐れがあります。クラウドであれば、インターネット経由で利用することが前提であるためテレワークや作業現場からでも簡単にアクセスすることができます。加えて、ファイアウォールやVPNも導入が可能でオンプレミス環境以上のセキュリティ対策をすることも可能です。

クラウド化が不向きな企業

ここまで、クラウドのメリットや導入に適した企業の特徴を解説してきました。しかし、クラウド化が全ての企業に適しているわけではありません。ここからは、クラウド化が不向きな企業の特徴をご紹介します。

規制・コンプライアンス要件

特定の業界では、厳格な規制やコンプライアンス要件がクラウド化の障壁となることがあります。

例えば、個人情報や機微情報を扱う金融や医療業界などです。しかし、現在においてはクラウドサービス事業者側がその規制・要件を満たしている場合があります。AWSでは、金融機関の自主基準として策定された「FISC」や厚生労働省の「医療情報ガイドライン」に対応したクラウドサービスを構築することが可能です。

他にも、ISOやSOCなど国際規格にも対応しています。ただし、自社の規格に適合していたとしても社内規則として「クラウドサービスの禁止」を制定している企業も存在します。その場合は情報委員会や役員会議などで社内規則の改正から行う必要があるため注意が必要です。

技術的要件

一部の企業では、技術的要件によりクラウドを導入できない場合があります。

レガシーシステムやクラウド未対応のソフトウェアを利用している企業は、これらをクラウド環境に移行することは困難となります。また、クラウドサービスの種類によっても対応・未対応のプログラミング言語があります。

例えばAWSの「Lambda」では、PythonやRuby・C#・Java等の言語は対応していますが、C++やSwiftなどの言語には対応していません。このように、自社の所有するスキルとクラウドサービスがマッチしない場合もあるため注意が必要です。

帯域制限などのローカリティによる制限

地理的な位置やインフラの制約によっては、クラウドサーバーの利用ができない場合があります。特に中山間地域の場合は、インターネットプロバイダー側が10Gbpsや100Gbpsといった設備を敷設できないため、大量のデータを送受信するようなシステムには不向きとなります。

IT人材が不足している企業

クラウドサービスの管理と運用には専門的な知識が必要です。IT人材が不足している企業では、クラウド環境の構築や維持、セキュリティの管理が困難になることがあります。また、構築だけでなく障害対応やメンテナンスなどの運用フェーズでも専門的なスキルが必要となります。クラウドサービスの導入を検討する際は、人材育成や外部リソースの活用も含めた総合的な計画を行いましょう。

クラウド化への移行プランは?

ここまで、クラウド化に適した企業・適していない企業について解説しました。

自社の業種やシステム、Webサイトをクラウドに移行する際、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。最後にクラウド化の移行プランについてご紹介します。

移行計画の立案

クラウドへの移行はサービスの選定や要件定義・開発手法の決定を行いましょう。開発をアウトソーシングする場合は、RFP(提案依頼書)を作成します。一般的に現行システムの移行や新規開発には数か月を要するため、余裕を持った計画を行いましょう。

▼RFPについての解説記事はコチラ
RFPって何?システム導入担当者が知っておきたい提案依頼書の基礎知識を解説

自社にクラウドについてのナレッジ・スキルがない場合は、フレームワークを利用することで安定したクラウドシステムを展開することが可能です。

AWSの場合、AWS CAFAWS Well-Architected Frameworkなどがあります。

ただし、フレームワーク内には、従業員のトレーニングや資格取得・組織や企業文化についてのベストプラクティスも記載されています。企業によっては一朝一夕で導入することができない企業もあるため注意が必要です。

移行・メンテナンスは「クロジカサーバー管理」へお任せ!

クラウドへの移行やメンテナンスにはクラウドに対する専門知識や経験が必要です。自社にIT人材がいない場合や人員が不足している場合は、アウトソーシングすることをおすすめします。

クロジカサーバー管理」では、オンプレミスからクラウドサービスへの移行、運用をトータルサポートしています。現行システムの仕様書などは不要で、弊社エンジニアがサーバーを調査した上で安全に移行・運用を行います。

他にも、事業会社様のウェブサイトをデザインされるWeb制作会社様でクライアント様から「サーバー管理まで対応してほしい」というお声がある場合、Web制作会社様向けのパートナープログラムもご用意しておりますので、詳細のご質問などについてお気軽にお問い合わせください。

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ライター:kait78

元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。

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