【病院の業務改善】業務を効率化する方法を事例とともに紹介

こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。

2024年に医療業界にも、「働き方改革」による労働時間の時間外規制が適応されます。さらに、2025年に「団塊の世代」が後期高齢者になり、医療を必要とする患者が増加し、病院の人手不足が問題になると予想されています。

このような状況で病院は業務改善を実施し、職員の負担を軽減する必要に迫られています。業務改善に一番効果的な方法は「病院の業務をデジタル化すること」です。

この記事では、病院の業務改善が必要な理由とその改善方法を解説していきます。実際に改善に成功した病院の事例もあわせてご紹介します。

病院の業務改善が必要な理由

病院内には医師による診察、患者への看護業務、検査業務、事務作業など多くの業務があるのです。特に患者に対する業務は、専門的な知識を持ったスタッフが対応しなければなりません。そのような業務を少ない人員で行うと、職員の負担が増加しミスも発生するでしょう。

職員が多くいる病院であれば、一人ひとりの業務の負担を分散できます。しかし、職員が不足している病院であれば、少ない人数で日々の業務をこなさなければなりません。

以下に、病院で業務改善が必要な理由を解説していきます。

人員不足による職員の負担増加

近年の病院は慢性的な人手不足に悩んでいます。コロナ禍においては看護師などの医療従事者にかかる負担が増加し、多くの離職者が出てしまいました。

日本は「人口1000人あたりの医師の数」が2.49人で、OECD(経済協力開発機構)の中で27位と、平均を下回っています。その反面「人口あたりの病院数」は3位になるなど、少ない医師を多くの病院が奪い合っている状態です。

*参考 医療・ヘルスケア業界における人手不足の状況|fundbook

人員不足により職員一人にかかる負担が増え、それが職員の離職につながっています。病院の業務改善をすることで職員の負担を減らし、この悪循環を断ち切りましょう。

紙文書の多さによる事務作業の増加

病院の電子カルテの普及率は年々向上していて、2020年の調査では一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%の導入率でした。しかし、病院内の書類に関しては紙文書で記録されていることが多いです。これは院内文書をスキャンしたり、電子カルテへ転記したりする手間がかかり、入力ミスなどの人的ミスの原因になります。

特に大きな病院になると書類の数も増えて、事務作業をする職員の負担も増加します。院内のペーパーレス化を実現すると、職員の負担の軽減、人的ミスを減らすことが可能です。

*参考 電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省

検査結果の転記ミスなどの人的ミスの予防

病院では日々、さまざまな検査が行われています。その測定値は患者の治療方針に影響を与えるので、正確に医師へ伝えることが重要です。

従来の方法では、検査を実施して結果を手書きで記録、その後にPCにデータ入力というように手間がかかります。これは、入力漏れや測定してから結果が反映されるまでのタイムラグ、入力ミスによる測定値の異常などの人的ミスを引き起こしやすいでしょう。

報告の遅れや未入力、数値のミスがあると医師の診断や症状の把握が遅れ、余計な確認作業などが発生してしまいます。検査の結果を効率的に伝達するための、システムの構築が必要です。

看護師などの離職者の増加

非効率な業務や人員不足は職員の業務負担を増加させます。過度な負担は職員の離職を増やし、さらに人員不足で負担が増加するという悪循環につながるでしょう。

また職員の入れ替わりが激しいと、新たに入った職員の教育にも時間がかかります。指導にあたる職員の負担が増加し、さらに指導した職員が短期で離職してしまった場合には、その労力が無駄になってしまいます。職員が安心して、長期間働ける環境を作ることが重要です。

病院の業務を改善する方法

病院の業務を効率的に改善する方法は、院内業務にITツールやシステムを導入することです。近年叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル化の導入率が低い医療業界全体の課題でもあります。ぜひ病院の業務をデジタル化して、効率的に業務改善をしていきましょう。

院内のペーパーレス化

病院内には、問診表や診断書、カルテや誓約書、手術同意書など多くの紙文書が存在します。これを手作業で管理するのは非効率ですし、紛失するなどのリスクもあります。

院内の文書をペーパーレス化して、PDFファイルなどの電子データで保管しましょう。紙文書の場合は、端末で文書を確認する際に、文書を一度スキャンして取り込むという手間が発生していました。最初から電子データで書類を作成すると、そのような手間を減らせます。

ペーパーレス化でITシステムを導入する際には「電子カルテとデータの連携が可能なシステム」を選ぶことが重要です。電子カルテとデータ連携ができないと、文書の内容を電子カルテに転記するという手間につながり、職員の負担軽減になりません。なるべく職員の手間を減らして、効率的に業務を行えるようにしましょう。

事務作業の削減による職員の負担軽減

院内の問診や予約などをシステム化しましょう。タブレット端末を利用した問診システムでは、問診にかかる時間の短縮が可能です。入力された患者の情報は電子カルテと連携されるので、職員がわざわざ入力する必要もありません。

インターネットで来院予約が可能になれば、予約の受付業務に携わるスタッフの負担を軽減できます。業務を効率化することで、患者へのサポートを手厚くできるでしょう。受付業務などを効率化することは、病院と利用者の双方にとってメリットがあります。

スマホなどを用いた効率的な看護記録の実施

患者のバイタルを病室で紙に記録して、ナースステーションで電子カルテに入力するなどの手間を省略できます。看護師が病院内にあるスマホで、患者のバイタルなどを記録すれば、電子カルテとデータの連携ができるので、職員がパソコンでデータ入力をする必要がありません。

また音声入力の利用や画像の共有も可能です。看護記録の入力時間の短縮や、患者の症状を画像で共有できるようになります。そして入力された情報をどこでも確認できるようになるので、医師や看護師間の情報共有も容易になるでしょう。

チャットツールを使用した業務連絡の効率化

病院の業務は院内だけではなく、訪問看護など院外での業務もあります。そのような業務で有効なのが、チャットツールを使用した業務連絡などの情報共有です。

職員が離れた場所で業務を行うと、情報共有が難しくなります。ツールの利用で職員への情報共有が容易になり、職員が訪問先の業務に集中できるでしょう。

またアプリによって職員の勤怠管理も可能です。訪問先からの直行直帰が可能になるので、移動時間を削減して職員の負担を軽減できます。

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病院の業務改善事例

実際に業務のデジタル化に成功して、業務改善をした病院の事例をみてみましょう。

社会医療法人柏葉会 柏葉脳神経外科病院

北海道札幌市にある社会医療法人柏葉会 柏葉脳神経外科病院では、スマホの利用によって看護記録の効率化に成功しました。従来の方法は、看護帳票(紙)を印刷、そこに患者の情報や観察記録を記入して、最後に電子カルテに入力するというやり方でした。

2020年1月にスマホを用いた音声入力システムの試験導入を実施しました。しかし、その際は職員の「紙文書への慣れ」「患者の前での音声入力への抵抗感」などが原因であまり浸透しませんでした。状況が変わったのは2021年5月に新型コロナウイルスの院内感染が発生してからです。

隔離病棟からの看護帳票の持ち出しが不可能になり、看護師が記憶を頼りにナースステーションで入力するという状況でした。記録の確認のために病棟に行くなど隔離病棟への往来が増え、防護服の着脱の手間や、職員の感染リスクの増大などの問題が発生していました。そこで行ったのは「病棟内のスマホで看護記録を入力する」という方法です。

スマホで看護記録を入力することにより以下のメリットがあります。

  • 看護記録の時間短縮
  • 防護服の着脱などの職員の負担軽減
  • 感染リスクの最小化

スマホの音声入力を利用すると、入力時間の短縮が可能です。状況に応じて画像の添付もできます。入力されたデータは電子カルテに転送できるので、看護師がパソコンへ向かう時間を削減できます。

この方法を導入したことで、看護師の時間外業務の削減、看護記録の電子化による印刷物の削減を実現しました。これにより職員の労働時間削減や有給消化率の向上、コスト削減につながっています。

*参考 看護業務の効率化先進事例アワード|公益社団法人日本看護協会

社会福祉法人 恩賜財団 済生会松阪総合病院

三重県松阪市の社会福祉法人恩賜財団済生会松阪総合病院では、医療機器と電子カルテのデータ共有を実施し、看護業務の効率化に成功しています。従来の検査記録の入力方法は、測定値を手書きでメモし、その後に電子カルテに数値を入力するという流れで行われていました。入力漏れや誤入力、測定から入力までのタイムラグなどの問題が発生していました。

その対策として導入したのが検査機器へのNFC(近距離無線通信連携)の活用です。検査終了後に端末を読み取るだけで、自動的に電子カルテに測定値が反映されます。タイムラグがなくカルテへのデータの反映が可能になり、人が手入力をしないので入力ミスもなくなります。

この方法を取り入れた結果、職員の業務時間の削減、検査記録をタイムラグなく正確に共有することが可能になりました。医師の診断や治療方針の決定には、患者の正確な情報が欠かせません。この事例では、業務の効率化と正確な情報共有を実現しています。

*参考 医療機器と電子カルテのデータ共有による看護業務の効率化|公益社団法人日本看護協会

まとめ|成功事例を参考に病院の業務を改善しよう

病院の業務改善をするために重要なことは「人がやらなくてもいい業務を削減していくこと」です。紙文書からパソコンへの入力や、病棟から移動してナースステーションでの記録などの、余計な手間を減らしましょう。人の手が入る過程を削減できると、ミスも減り職員の労働時間を削減できます。

そのためには院内の文書をデータ化したり、スマホなどの端末を適切に活用していきましょう。院内のデジタル化をすることで、離れた場所にいても情報共有が可能です。職員の病院内での移動を減らしたり、検査結果などを早期に共有できるようになるので、病院の業務を効率化できます。

人手不足が叫ばれている医療業界は、デジタル化に関しては他の業界に後れをとっています。このような現状を改善するために、成功事例を参考にしながら院内のデジタル化を進めていきましょう。

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