こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」製造業ライターの藤原です。
近年「スマートファクトリー」や「スマート工場」という言葉を聞く機会が多くなりました。世の中で関心が高まっているキーワードであると考えられますが、実際にスマートファクトリーとはどのような工場を指し、具体的に生産現場におけるどの課題を解決するのでしょうか。
この記事では、スマートファクトリー実現の目的や問題点も交えながら、詳しく解説しますので、ご参考にしてください。
Contents
スマートファクトリーとは何?6つ目的とロードマップ
スマートファクトリーとは、デジタル技術の活用により生産性を高め、効率的に稼働する工場のことを指します。デジタル技術の発展により、高品質・高付加価値の製品を低コストかつ短期間での製造が可能です。
それらを実現するためにロードマップを用いて現状を段階的に把握します。
ロードマップの使用は、付加価値を創出するための基本的なステップです。
具体的にはデータ活用を切り口にレベル1〜3で表示し、
- レベル1はデータの収集・蓄積
- レベル2はデータによる分析・予測、
- レベル3はデータによる制御・最適化
スマートファクトリーの目的と実現によって何に貢献できるか解説します。
品質の向上
人が関わる工程の作業手順や検査結果などのデータを随時収集し分析します。過去のミスを分析して、ミスの発生しやすい作業工程を事前に把握し、分析結果をもとにした人材育成や設計変更にも活用させることが重要です。
また、収集したデータから品質のムラが生じる原因を特定し、改善できる作業や加工の条件をモデル化します。設備誤差の改善や作業の均一化により、品質の安定化につなげることが可能です。
データ活用レベル | 概要 |
レベル1 | 各従業員の作業をセンシングして、作業データを収集する。 |
レベル2 | 収集したデータを分析して、バラつきが発生する要因を特定。 |
レベル3 | 品質改善を行い、その知見により現状の作業状況を見直す。 |
コストの削減
設備の稼働状況や材料在庫、需給予測、従業員の負荷などをリアルタイムで把握します。生産計画やプロセスの最適化を行うことにより、コストの削減に期待が持てるでしょう。なぜなら、製造に配置する設備や材料、人などのリソースの最適化ができれば、同じ品質、同じ量の製品を製造したときよりコストが下がるからです。
データ活用レベル | 概要 |
レベル1 | 過去の設計事例を集めてデータベースを作成。 |
レベル2 | 過去の設計事例を分析・解析して、材料使用量をまとめる。 |
レベル3 | レベル2で明らかになった内容をもとに製品を設計する。 |
⽣産性の向上
設備・材料・人など、製造工程全体のリソースを効率化します。生産管理システムのデータを活用して、作業プロセスやリソースを把握し、将来の投入予定量・予定生産量の予測を立てることによって、生産のコントロールが可能です。
生産の変動に伴う稼働計画の対策や最適化にも期待されています。
データ活用レベル | 概要 |
レベル1 | 工場内に生産管理システムを利用するなど、人の作業状況を可視化。 |
レベル2 | レベル1で集めたデータをシステムにインプット。 |
レベル3 | 人の作業効率を上げることで、人の負担を軽減できる。 |
製品化・量産化の期間短縮
設計、量産に至るまで多くの製造に関するデータが蓄積されます。これらを分析し改善することで、今後の量産化に向けた工程の短縮が可能です。過去の設計や開発事例を分析し、改善モデルを作成します。似たような製品設計を行う際、開発・設計におけるプロセスの一部を自動化する取り組みも重要です。
データ活用レベル | 概要 |
レベル1 | ツールを使用して、デジタル空間に生産ラインを設計する。 |
レベル2 | デジタル空間に設けた生産ラインで、製造工程・生産能力・物流などを評価・検証する。 |
レベル3 | レベル2の検証結果をもとに、現実空間における生産ラインを最適化。 |
⼈材不⾜・育成への対応
工場で働く従業員が習得する知識や技術、経験などを体系化します。マニュアルとして全社的に共有を行うことにより、効率的な人材育成が可能です。プロセスを多言語化して海外の工場で展開できれば、海外人材の育成ハードルが低減されます。
データ活用レベル | 概要 |
レベル1 | 継承したい技術をセンシングしてデータベースとして蓄積。 |
レベル2 | 蓄積したデータを分析し、他作業者との違いを明らかにする。 |
レベル3 | 明らかになった違いを、作業者と共有する。 |
新たな付加価値の提供・ 提供価値の向上
新たな付加価値の提供を行うために、どの製品にも共通する部材などを明確化することにより、効率的な生産体制の構築が可能です。社内の各部門ごとのデータを連携して計画情報の共有を行います。
生産体制の最適化により個別のニーズに応じた迅速な対応や生産計画の変更などの提供価値の向上も見込まれるでしょう。また、各サプライチェーンの需要を予測し、生産計画の最適化が実現できれば、顧客の要求に対応できる製品の提供が可能になります。
データ活用レベル | 概要 |
レベル1 | ユーザー同意のもと、製品の使用環境や制御に関するデータを収集する。 |
レベル2 | 収集したデータを分析することで、想定していた使用方法と実際の使用方法の違いを把握する。 |
レベル3 | 製品の最適化、性能の最大化などを図る。 |
スマートファクトリー実現への問題点
スマートファクトリー実現にむけて、さまざまな問題点があります。
中でも、多く挙げられるのは
- 多様な機器間でのネットワーク構築
- データ活用を行うための仕組みづくり
- セキュリティ問題
上記の3点についてです。それぞれ解説していきます。
多様な機器間でのネットワーク構築
まずは設備とネットワークをつないでデータ収集・蓄積を行う必要があります。古い機器や設備はデジタルデータの取得を前提としていない仕様のものが多いです。
そのため、自社で適切なネットワークを構築するまでのハードルが高く、資金力のない中小企業は導入に遅れが生じてしまいます。まずは、着手しやすいとこから始めるといった柔軟性を持つことも大切です。
データ活用を行うための仕組みづくり
データを活用するためには、仕組みづくりに関するノウハウがなければ価値が創出されません。データを活用するために重要な、加工・編集という仕組みづくりが疎かになるケースも見受けられます。
業務状況などを日々管理し、さまざまなデータを蓄積することで最適化が図れるでしょう。データは活用してこそ意味がなされ、どのデータを取得して事業にフィードバックしていくのかなど、目的を明確にしたうえで最適なネットワーク環境を構築していくことが必要です。
セキュリティ問題
製造工場では防犯セキュリティの対策は十分ですが、サイバーセキュリティは手薄になってしまうことが多いです。近年はランサムウェアなどによるサイバー攻撃がしばしば発生し、工場が一時的に稼働停止の状態へ追い込まれる事態に発展しました。
セキュリティ問題をどのようにして解決するのかが最大の課題となります。
スマートファクトリー実現までの4ステップ
スマートファクトリーを実現するにはどう始めれば良いかを以下の4つのステップで解説していきます。
- 【STEP1】目的・ゴールを明確にする
- 【STEP2】関係部署と連携し合意を取る
- 【STEP3】システムを選定しスモールスタート
- 【STEP4】トライアルを繰り返し、他工程へ横展開
【STEP1】目的・ゴールを明確にする
どのような目的を持ってゴールを目指すのか検討していくことが大切です。工場で生産している製品や事業戦略などによって目的とゴールが変わることも、しばしば起こります。
工場内の設備状態や稼働状況がブラックボックス化している工場などでは、見える化による生産性の向上をゴールにおきましょう。目的とゴールは工場や事業方針と連動するため、定期的に合意を取りながら設計をすすめる必要があります。
【STEP2】関係部署と連携し合意を取る
スマートファクトリー化を推進するには、様々な部署と綿密な連携を取りながら進めていくことが重要です。自社にとってビジネスモデルの変革に繋がる規模であれば、経営層や開発・設計部門・営業部門などと連携しなければなりません。
製造工程の再編による生産LTの大幅な短縮やセキュリティ周りで大きい変更がある場合、顧客にも早い段階で周知・調整が必要でしょう。効率化によるコスト削減を狙う場合、人件費の削減も視野に入れている場合などは人事と連携します。
企業全体で取り組むことにより、実現性を帯びますので、リアルタイムで情報の共有が行えるクラウドストレージなどを導入すると効率的です。
【STEP3】システムを選定しスモールスタート
最初はスモールスタートで計画を立てたほうが、無理なく実施ができます。例えば、工場の見える化を実現するためにクラウドストレージの導入を行う場合は、初めから工場全体で取り組み行うのは避けたほうが良いです。
まずはCAD部門のみでクラウドストレージのトライアルプランから始めることで、導入が比較的スムーズに行えます。後にクラウドストレージの導入を、社内の他部門へ横展開をするための事例ができるでしょう。エラーは出る前提で実施し、検証ができたらクラウドストレージの機能を強化・拡張していくというやり方がおすすめです。
【STEP4】トライアルを繰り返し、他工程へ横展開
導⼊効果が見込めるところから優先的な取り組みにより、早期に効果を実感しやすく、周りの関係者から協力も得やすくなります。各工程でスモールスタートし、徐々に他の工程にも展開しましょう。範囲を徐々に広げていけば最終的には全行程でデジタル化が導入でき、効率化、品質向上が実現します。
まとめ
2020年5月に経済産業省・厚生労働省・文部科学省がまとめた「2020年版ものづくり白書」によると、工場内のフロア内で「見える化」を実現することにより、作業が省人化され付加価値の高い生産管理などの間接的な仕事に就くとされています。多様な顧客要求に対応するために、クラウドストレージなどを活用し、効率的な作業を創造することが必要です。
この点が「人間の仕事」としての価値が発揮され、まさにスマートファクトリーとして目指す姿ではないでしょうか。
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ライター:藤原 アロー
製造業界での豊富な経験から、製造業界の「データ管理」「ファイル共有」に
まつわる課題や悩みを“現場のリアルな声”に照らし合わせ情報提供します。