WordPressを活用し、ビジネスを加速

WordPressとCRM(顧客関係管理)システムを連携することで、業務改善に直結する仕組みづくりが可能になります。

HPやブログといったWebサイトの制作・管理に使用されるWordPress(以下、WP)。世界のWebサイトの4割以上がWPで作られていると言われており、CMS(コンテンツ管理システム)市場でのシェアは6.5割を超えています。しかし、このWPの本領を存分に発揮できている企業は、意外と少ないのではないでしょうか。そしてWPを起点として、DXの実現も可能なことをご存知だったでしょうか。

そんなWPでのWeb制作に特化した会社があります。それが株式会社インタクティス(以下、インタクティス)です。この会社はWPを用いたWebサイト制作をはじめ、システムソリューションの企画・制作、デジタルマーケティングを行っています。

「WebとCRMを最大限活用し、ビジネスを加速する」を理念に掲げるインタクティス。実はあまり知られていないWPの活用方法とはどのようなものなのか。そしてWebとCRMを連携することで、どんな機能が実現可能なのでしょうか。今回のクロジカサーバー管理のパートナーインタビューでは、代表取締役社長の伊井野さんにお話を伺いました。

WordPressに可能性を感じ、独立へ

── まずは、伊井野さんのこれまでの経歴についてお聞かせください。

20代の頃はIT業界にはまったく関わっていなくて、証券会社で営業をしていました。その後、30歳の時に転職したのがインターネット広告会社です。当時はまだガラケーが主流で、スマートフォンがこれから出てくるというタイミングでしたね。

その広告会社ではWebサイト制作も行っていましたが、その頃の私は営業だったので、制作には携わっておらず企画を出すところまででした。本格的にサイト制作に関わるようになったのは、その広告会社が、上場企業のグループ会社の合併を経てからです。その後、制作の経験を経て、約12年前にWebサイト制作会社を独立させ、現在に至ります。

── インタクティスを立ち上げたきっかけについて教えてください。

まず、私がいた広告会社がサイト制作をやめるという動きがありました。原因は、広告とサイト制作では専門性が違ったことです。しかし、当時はサイト制作に関わっていたお客様が多くいたため、この機会に独立しようと決めました。もちろんお客様や前職の会社にも了解を得て、事業をスタートさせました。

── 当時、会社を始めるにあたって不安は感じましたか?

当時は若かったので、不安もありましたし苦労もしました。しかし前社での経験もあり、WPに可能性を感じていたのです。確か、その時代はまだWPの業界シェアがまだ15〜16%程度だったと思います。ただ、調べていくうちにWPの自由度や機能性に大きな可能性を感じて、WPを用いた中小企業向けのWebサイト制作に注力することにしました。

当時、大企業では予算をかけてサイトを作っているなか、中小企業向けに予算を抑えて、自由で使いやすいサイト制作ができるなと感じたのが、独立のきっかけでしたね。

​​── 次に、貴社の事業内容について教えてください。

当社はWebサイト制作がメインの会社です。特にWPを使ったWebサイト制作が95%を占めています。CRMとのデータ連携もこの割合に含まれています。

後は、サブスクリプションサービスのクレジット決済なども手掛けていますね。月額制サービスやオンラインレッスンの受講決済、一般社団法人の会員費徴収など、幅広いニーズに対応しています。

お客様は主にWPベースのWebサイトを求めていて、コーポレートサイトやオウンドメディア、メンバー制サイト、大企業の社内ポータル、不動産や人材サービスなど、さまざまな分野に対応しています。

特徴は、WordPressに特化したサイト制作

​── では、貴社の強みや魅力について教えていただけますか?

強みはWPに特化していることです。12年前からずっとWPを使って開発してきたので、その分野での深い知識と経験があります。一般的にWPは単なるブログ等のコンテンツの管理システムとして認識されています。しかしWPはもっと奥深くて、まだまだ先があるなという印象です。

また、開発履歴や顧客データを社内wikiで蓄積しており、これが多様な要望に応える強みになっています。カスタマイズの需要がある場合、私たちはWPのルールに則って対応し、必要な機能拡張を行っています。

開発の中でWP自体を改変してしまう企業もなかにはあるのですが、それをしてしまうとその後のアップデートができず、WPから便利な機能が更新されてもそのメリットが得られなくなってしまう可能性があります。弊社は長くWPを用いてきたからこその知見で、その辺りの問題を考慮しながら、WPに関する多くの需要に対応できるのも強みですね。

── Webディレクションをする際、どのような点に特に注意していますか?

ディレクションでは機能面も大事ですが、一番重視するのは利用者の視点です。サイトを管理・更新する人とエンドユーザー、両者にとって使いやすいサイトを目指しています。特にWPの管理画面は経験者でないと使いにくい部分があるため、利用者にとって使いやすいサイト作りにも注力しています。

また、情報設計の段階から細かく取り組み、すべてをデザイナー任せにしないこともポイントです。デザインは訪問者が必要とする情報を、見やすく整理されたレイアウトに反映させることにこだわっています。

── エンドユーザーと管理者双方にとっての使いやすさは重要ですよね。

そうですね。あとは、情報を発信する側とエンドユーザーの間で必要とする情報に差が生じることがよくあります。このように双方の意見が折り合わないときは、ABテストなどを行い、データに基づいて慎重に対応しています。

WordPressを用いてDX化を進め、ビジネスを加速

── 「WebとCRMを最大限活用し、ビジネスを加速する」という言葉に込められた想いを教えていただけますか?

このキャッチコピーには、WebサイトとCRMシステムの組み合わせによるビジネス効率化への強い信念が込められています。Webサイトは顧客との最初の接点であり、CRMと連携することで効率的な顧客管理や見込み顧客の育成が可能です。

最近だと、CRMからWebサイトへのデータの双方向同期を実装する機会が増えています。例えば不動産業界であれば、CRMで管理された物件情報をWebサイトに一元的に反映させることで、情報の一貫性と効率化を実現できます。Webサイトの構築だけでなく、業務効率化と売上向上の両面で顧客に価値を提供することを意識しています。

── WebサイトとCRMの連携したことで、お客様から喜ばれたエピソードがあれば教えてください。

先ほどお話した不動産会社の事例で言えば、その会社はWebサイトに物件情報を掲載していました。お客様からサイトや電話経由でお問合せがあり物件情報が変更したら、それをエクセルで管理し、手動でWebサイトを更新していました。そこでCRMと連携させ、物件データの一元管理をしたことでサイトの更新作業が大幅に削減しました。

また、問い合わせの顧客データがデータベースに自動的に登録され、営業活動の大幅な効率化に成功しました。結果的にCRMを導入した支店の売上が顕著に伸びています。

不動産会社の事例の他にも、例えば英会話教室など、Webサイト上でセミナーやイベントの受付を行う企業の場合、サイト上で参加者データとイベント情報の一元管理が可能になり、業務プロセスが自動化されました。結果的に運営や企画に専念できるようになって、ビジネス規模の拡大と効率化を実現しましたね。

── 次に、伊井野さんの考える「良いWebサイト」とはどのようなものでしょうか?

良いWebサイトとは「ユーザーが求める情報を簡単に見つけられるサイト」だと思います。エンドユーザーの使いやすさはもちろん重要ですが、管理者側の更新のしやすさも必要です。デザインの視点からは情報を見やすく、探しやすくするための工夫が求められます。

究極的にはユーザーが求める情報を提供し、継続的に更新できるサイトが良いサイトですね。継続的に更新するためには、ユーザーだけでなく、サイトを管理する側の使いやすさにも考慮することが重要です。

── 最後の質問です。今後、インタクティスをどのような会社にしていきたいですか?

今後は、お客様の個別の要望に応えられるようカスタマイズ重視のアプローチを継続しながら、時代の変化に適応していくことを目指しています。特に業務効率化やデータ連携など、新たな技術領域への対応能力を強化し、技術的な面でもさらに発展した会社にしていきたいです。

また、WPコミュニティへの貢献と、それに関連する人材の輩出も個人的にはできたらいいなと思ってます。会社の姿勢としては挑戦的な会社であり続けたいです。変化するニーズに対応しながらお客様と一緒に挑戦し続ける会社を目指していきます。

── WordPressとCRMの双方向同期することで、大幅な業務効率化が可能になるというお話が印象的でした。また、貴社の一社一社にしっかりと向き合ってサイトを起点にDX化をサポートする姿勢も心に響きました。本日はありがとうございました。