DXの第一歩を、サイトを起点にサポート

世の中の会社がどんどんとDX化していくなか、何から始めていいかわからない中小企業の経営者やWeb担当者、マーケターの方は意外と多いのではないでしょうか?

そのような中小企業を中心にDX化のサポートを行っているのが、株式会社カンポスラルゴスムンディアレス(以下、カンポスラルゴスムンディアレス)です。WebサイトやWebサービス構築/運用、中小企業の業務システムや社内システム構築/運用、ITシステムやソーシャルメディアの導入支援を行っている会社です。

DXの始めの一歩を踏み出すためには、企業はどのように行動すればいいのでしょうか?

今回のクロジカサーバー管理のパートナーインタビューでは、代表取締役 長谷さんに、企業に合わせたDXの形や、DXの進め方について聞きました。

多彩な経歴を歩む中でも揺るがなかった、作ることへの興味

── まずは、これまでのご経歴について教えてください。

私は大学卒業後は土木関係の会社に入社し、2年間営業として働いていました。当時、会社としてデジタル化を少しずつ進めていたものの、見積もりを作る積算システムはありませんでした。

そこで、なぜか普通の営業マンだった私にシステム作成の仕事が回ってきて、営業後に残業してシステムを作っていました。次第に営業よりもシステムを作るほうがおもしろいな、と感じるようになっていきました。

その後、元サッカー選手のヨハン・クライフがスペインにスポーツマネジメントの大学を作ることを偶然新聞で目にして、「ちょっと行ってみるか」という感じでスペインに行くことにしました。

── 素晴らしいフットワークですね。

フットワークが軽いというか、当時からノリで行動するところがあったんです。スペイン行きを決めたのも、本当にノリです。

スペインには約4年いましたが、メディア関係の仕事やコーディネーターの仕事をしていました。2003年の世界水泳では、テレビ局の現地コーディーネートチームの編成も行いました。メディア関係者とのパイプもあり現地の情報にも詳しくて、コーディネーターとしては、我ながら非常に優秀だったと思います。

しかし、自分の仕事に違和感を覚えることもあり、時間を見つけてWeb関連のプログラミングを独学で勉強していました。そこで、プログラミング関係の仕事が自分には向いているなと気づきました。

── 作ることがお好きなんですね。

好きなんですけど、時間を忘れて没頭しすぎて体を壊しかねないので、なるべく避けてきたんです。帰国後はWeb制作会社に入社し、プログラマーかデザイナーとして働くという話もあったのですが、ディレクターの道を選びました。

そして、3年後に独立をして、現在の会社の前身となる「ハセ企画合同会社」を設⽴しました。企業規模を問わず、企画、Web、システム、プロジェクトマネジメント、マーケティング、印刷、販促物、広告、取材、撮影、イベントなど、幅広く事業を展開していました。

その後、中⼩企業をより手厚く⽀援するため、事業の軸を開発・制作にシフトして設立したのが、カンポスラルゴスムンディアレスです。システムの開発をメインに、新規でのWeb関係の立ち上げやリニューアル、バックエンドのシステムの開発なども行っています。

中小企業の「IT部門」として頼られる存在に

── カンポスラルゴスムンディアレスの設立にあたり、ターゲットを中小企業に絞ったのはなぜでしょうか。

仕事をするなかで中小企業の方がお困りのケースが多くて、どうにかしないといけないと感じていました。それと、経営層の方と直接やり取りできるのは、大きなメリットだと思ったからです。

当時は大手企業さん相手の企画もの案件も結構多かったのですが、考案していた企画の趣旨が複雑な決裁過程でねじ曲がって最後には無くなるということがザラにありました。

企画が変化する分には全然いいのですが、白紙になってしまうことにストレスを感じることも正直ありました。こうした経験を通して、中小企業さんと一緒に仕事をした方が面白いなと思ったんです。

── 貴社の強みや魅力を教えてください。

Web関係をベースに多彩な案件に携わってきましたし、大手企業さんとも数多く取引の経験があり、優秀な人材が揃っています。起業前からの付き合いで私の仕事の方針を理解してくれているメンバーも多く、彼らは単価が少し下がっても一緒に仕事をしてくれます。

そのような優秀なメンバーが、デザインも含めた開発をサポートできるのが弊社の強みだと思います。また、業界歴が長く日々研究もしているので、技術的な相談をしてもらえることも多いです。顧問契約を結んで、IT部門として頼っていただけることもあります。

── 具体的には、どのような相談を受けるのでしょうか?

例えば、つい最近はWeb関係のオンライン請求システムを利用されているお客様から、メールがまったく届かないとの相談を受け、設定を確認したうえで対処法をお伝えしました。中小企業、特に小規模事業者になってくると、社内に技術的なことに詳しい人間がいないことも多いです。知りたいことはたくさんあって調べるのも大変なので、弊社を頼っていただくこともよくあります。



── 貴社のお客様には、どのような課題をお持ちの方が多いですか?

「新しいことにチャレンジしたい」「会社や事業の問題を解決したい」というときにご相談いただくケースが多いです。結構難しい要望を出されることもありますが、できる限り叶えてあげたいというのが弊社のスタンスです。そのためにはアイデアが大事です。

現在はシステム関係の仕事を軸にしていますが、クリエイティブなことを期待されることも多々あります。システムを開発するときも使いやすい仕様にしたり新しい機能をつけたりするわけですが、これもすべてクライアント様の課題感や希望から生まれるアイディアが基になっています。

── フォーマットに沿ったシステムを作るのではなく、お客様に合わせてアイデアを形にされているんですね。

システムとは、本来そういうものだと思います。大手企業は予算もあり人材もいるので、細かいシステムをたくさん導入してアイデアを実現することができます。しかし中小企業には、それはなかなか難しい面もあります。そこを弊社が助けていきたいと考えています。

ですから、できる限り低コストでやりたいことを実現してあげられるように、例えばJavaでシステム作ることはせずに、 Webベースで早く始められるものを採用しています。「フットワークよく中小企業さんのやりたいことを実現する」ようなイメージですね。

DXで大事なのは、会社全体で取り組むこと

── では、長谷様の思う「良いWebサイト」とはどのようなものですか?

ビジネスアイデアや仕組みを、Webに反映することが大事だと考えています。弊社が目指すのは、広告物ではなく仕組みとして機能しているサイトです。つまり、明確な役割をもって何かしらのサービスが提供されているサイトです。

例えば、会社がコーポレートサイトを作りたいとなった時に、ビジネスモデルを転換するのか、売り上げを大きくするのかといった目標を設定し、どのようにサイトを会社の中で仕組みとして機能させるかが重要なんです。そして、サイトを使っている社員や経営者の方が、会社として必要な物だと認識できるサイトであることが大事だと考えています。

── DXに関してもお聞きしたいのですが、Webサイトやマーケティングの領域においてもDXを進めていくべきだと思いますか?

いわゆるDXというのは、企業の競争優位性を確保したり、会社の未来を作るということだと思います。つまり、現代社会で事業を進めていく上でデジタルの力が必要ですよねという話です。そのためにはもう少し広義で物事を捉えていかないといけなくて。

Webサイトやマーケティングは、売り上げ主体で進むものでもあるので、ただDXをするというだけではなく、そもそもの価値観を少し変えていく必要があると思います。

── どのような価値観の変化が必要なのでしょうか?

DXは1つの部署の仕事として思われがちですが、そうではなく会社全体ををどのように良くしていきたいかを考えることが重要なのです。例えば、デジタルに詳しい人間や社内にいるSEとかに「ちょっとDX進めて」って言っても進まないものなんですね。

今の世の中の現状や、会社の競合がどのようにデジタル化を進めているかを知りながら、会社をどのように世の中で機能させていくかを考えられる人間がいないと、DXはうまく行かないのです。一部署で片付けられる仕事ではないため、会社全体を動かしてDXをしないといけません。

──  何か機能別にDX化するわけではなく、会社全体を把握しながら周りを巻き込みながら進めていく熱量のある人が必要なのですね。

それが理想ですね。本当に経営に近い話なので、経営のなかにデジタルが入っているというイメージです。DXには経営者も入って一緒に進めていくことが一番良いと思います。ただ情報システム系の人たちは意外と、会社のいろんなデータを見てるので、実は経営目線を意外と持っているんですよ。

ただ、それをうまく会社で動かすことができなかったりとか、情報システム人間と他の部署の人間の技術的な理解の格差が大きすぎて、大事なことが伝わらなかったりとか、そういう現象もよくありますね。それを解決するために、まずは会社全体でどのようにDXをしていくかを策定することが大事です。

──  どんな会社でも「この順番でDXすればいい」というマニュアルがあるわけではなく、会社ごとの状況に合わせて方法や順序を考えていくことが大事なのでしょうか?

そう思います。特に中小企業はそうだと思いますね。大きい企業だと業界的な流れとして「今これやらなければいけない」みたいなことがありますが、中小企業はそうではないので、会社の状況と照らし合わせて一歩ずつDXをしていくことが大事になると思います。

現在、デジタル人材が徐々に増えてきているので、中小企業にも今の20代とか30代とかデジタルネイティブみたいな、デジタルに関しての親和性も高い世代が入社してきていると思います。そういった、彼らの力を利用しながら少しずつ会社を変えていくことが重要だと思います。

激しい変化のなか、お客様を前向きにさせられる事業を

── これまでにお客様から言われて嬉しかったことはありますか?

お客様の前進しようとする意志が強く、追加要望をいただくことが嬉しいです。世の中もテクノロジーも、日々変化を遂げています。変化についていかなければいけないのか考える中で、デジタルに敷居を感じてしまってマイナスな方向に動いてしまう会社や担当の方も多いんです。しかし、変化する中で、常に前向きでいることは非常に大事なことです。そして、前向きな企業からはたくさん追加要望がきます。

弊社は小さく始めて少しずつ大きくしていく形で開発を考えるので、追加要望する余地はいっぱいあります。どこに追加要望が入るのか、楽しみにしてるところはありますね。だからこそ、お客様には前向きでいてほしいと思っています。

── 最後に、貴社を今後どのような会社にしていきたいか教えてください。

3つあるのですが、まず1つ目はプロフェッショナルであり続けることです。プロフェッショナルとして、できる限りお客様の要望にはお応えしたいですし、応えられるだけの技術は持っておきたいと思っています。

2つ目は、失敗し続けることです。チャレンジをしていくと、どこかで必ず失敗することもあります。しかし、お客様のためにチャレンジし続けることは大事だと考えています。

3つ目は、何者か分からないと言われ続けることです。私は本当に色々なことに挑戦しており、結局何をしているのか周囲の人からあまり理解されません。だったらいっそのこと、基本的に何をやってるかわからない会社にしておこうと思ったんです。ある意味、私なりのブランディングです。

── フットワーク軽く新たなことに挑戦し続ける長谷さんの姿勢は、非常に素晴らしいと思いました。「何者か分からないと言われ続ける」というのも印象的で、非常に面白いなと思いました。本日はありがとうございました。