ガラス加工、その先も。99年続く挑戦

事業内容や売り上げなどビジネスにはさまざまな重要なことがありますが、そのなかでも最も培うことが難しく、時間がかかるのが「信用」そして「信頼」ではないでしょうか。特に、老舗の企業にとってはこの2つを継承しつつ、新しいことにチャレンジするのは至難の業と言えるでしょう。

今回はクロジカスケジュール管理のカスタマーインタビューです。旭平硝子加工株式会社 代表取締役社長の高山さんにお話を伺いました。

旭平硝子加工は2023年で創立99年を迎え、来年100年を迎える老舗企業。ガラス加工をはじめ、ガラス搬送ケースの設計・製作・洗浄・メンテナンス(リユース)やグループ企業連携にて特殊加工品の製造、国内外から各種部材の調達・販売などの事業を行っています。

社長の高山さんは、大学卒業後にIT企業に入社し、営業マネジメントとしてアカウント営業やソリューション営業を行なったバリバリのセールスマン。その後、異業種である旭平硝子加工に入社したという、稀有な経歴をお持ちです。

そんな高山さんに、信用と信頼の継続のさせ方、そして、一般的に変化が難しいといわれる老舗企業にて自主性とチャレンジ精神を持ち続けること、この2つについてインタビューを行いました。

創立99年。老舗企業の強みとは?

── はじめに、貴社の事業内容について教えてください

当社は大正13年に創業し、すり板硝子加工の会社としてスタートして以来、旭硝子(現、AGC)の協力会社として、建築ガラス・自動車ガラス・ディスプレイ用ガラスといった各種ガラス加工業に従事しています。現在は、建築ガラスや車載用ガラスの製造、各種ガラス搬送ケースの設計・製作・洗浄・メンテナンスやガラス搬送パレット整備業務などを実施しています。

これまでに携わっている具体的な製品で言えば、住居の窓ガラスや自動車のフロントガラス、テレビやパソコン、スマートフォンやタブレットのガラスなどが代表的です。


弊社は2004年に新規事業部門を別会社化し、株式会社ディー・アール・エス(以下、DRS)を創業しました。現在は国内外のパートナー企業様とともに各種ガラス加工や搬送ケース事業、そして新たな部材調達やサービス提供を目的としたイノベーション事業を進めています。

── すごく歴史のある会社なのですね!

2023年で創立99年を迎えますね。ですが、私たちは弊社を歴史のあるベンチャー企業と捉えています。その理由は、これまで培ってきた信頼を大切にしながら新しいことに挑戦する会社だからです。新しい事柄を始めるためには、メンバー各位の発想力や突破力が必ず必要となります。

そこで弊社ではメンバーとのオフサイトミーティングを行ったり、各種イベントを開催してお酒を飲んだり食事をともにしたりして、積極的にコミュニケーションを取るようにしています。皆で目標をかかげたり、夢を語ったりして新しい事業につなげていくための取り組みをしています。

── 貴社はもともとすり板硝子加工から始まり、現在ではさまざまな分野の製品を作られていますが、どのようにして事業を広げられたのですか。

旭硝子(現AGC)様とともに事業に携わらせていただくなかで、新たなニーズや要望をいただいています。AGC社様やパートナー会社の皆様と仕事に取り組むことによって、事業の幅が広がっていきました。

海外展開や自動化などの事業環境の変化に伴い、弊社が事業を縮小することとなった時期もありました。ですが、お客様からテーマをいただき、各メンバーが真摯に対応することで評価につながり、徐々にできることが広がっていきました。

── では、次に貴社の強みを教えてください。

現メンバーはもとより多くのOB・OGの方々の重ねてきた歴史によって、あらゆるステークホルダーから高い評価をいただいている点が強みのひとつですね。弊社は、長い歴史に裏打ちされた信用と信頼、そしてチャレンジを忘れないベンチャー精神を持った企業だと思います。

そして、弊社は生まれも育ちも違う多くの「人財」とともに、国内外のパートナー企業の皆様とOne Teamになって事業を進められることが、もうひとつの大きな強みだと思います。

── 創立99年の経歴が最大の強みとなっているのですね!また、貴社の魅力を教えてください。

世界NO.1の硝子メーカーであるAGC社とともに、高い品質を体現できることです。また、DRSを通じて、国内外のさまざまな企業様とのモノづくりやサービス提供を実施しています。新しい取り組みを積極的に実施できる点が、もうひとつの魅力ですね。

また、事業活動においてお客様から「旭平さんの品質・生産性が高い」、「あいさつが素晴らしい」、「旭平に頼んで良かった」といった嬉しいお声もたくさんいただきます。この辺りも弊社の誇るべき魅力です。

お父様より引き継いだ経営の精神

── これまでの高山様の経歴を教えてください。

私は、大学卒業後にIT産業のリーディングカンパニーだった、株式会社CSK(現、SCSK株式会社)に入社しました。この会社では営業マネジメント職としてサービス業や製薬業界を担当し、アカウント営業やソリューション営業を経験しました。

当時は、CSKのグループ企業やパートナー企業と連携して、コンサルティングから設計、開発、運用、システム保守、BPO(業務を外部に委託するアウトソージング)といったフルラインサービスの提供を進めていました。

── IT企業でさまざまな業務を経験されたのですね。どのような理由で貴社に入社されたのですか?


2011年の東日本大震災の年に、病を患い余命宣告をされた父から「旭平硝子加工は中小企業だけれども夢がある」という強い想いを聞かされ、異業種である弊社に入社しました。父が病気になり、1年間ほど病院に送り迎えをしていたのですが、そのような状態のなか、車の中でいろいろな話をしました。父の会社に対する想いをたくさん聞かせていただいたことで、今の会社における私の想いの根底が出来たのだと思います。

実は、もともと父のことは好きではありませんでした。ガミガミとうるさかったですし、学生時代までは勉強しろだのなんだのばかり言われていましたから(笑)。ですが、社会人になってから尊敬の想いが強くなりました。私が会社で取り組んでいる話をすると、それを非常に喜んでいましたね。父は本当に私利私欲ではなく、仕事に対して真摯に対峙して、常にお客様の利益や従業員の生活を第一に考える人でした。そんな父の作り上げたカルチャーを引き継ぐことが会社にとって大事だと考えています。

そして、2016年1月から代表取締役社長として、メンバーとともに事業再生を実施し、事業成長に向けて事業や業務の可視化、共有化、共通化、武器化、ハンズオン(経営や業務に参画し、現場の業務に深く関与すること)、PDCAサイクルにR(レビュー)をいれたPRDCAのサイクルによるコミュニケーション改善などといった各種取り組みを進めています。

── お父様の熱い思いを引き継いで、事業をされているのですね。

そうですね。私は入社してまだ12年です。弊社が今でも存続しているのは、「信義・信頼・信用」といったことを創業当時から大切にしてきたからだと思います。

私は、すべての事業活動には目的があり、メンバー各位には役割があると考えています。私は社長としてハンズオンという言葉を管理職各位と共有しており、自分自身が積極的に携わり、理解を深めていかなければいけないと考えています。現場に丸投げでなく、管理職・メンバー各位が適切に役割を果たすことが重要だと思います。

── また、貴社の社内の雰囲気はどのような感じですか?

私の父は常に「ファミリー」という言葉を使っていましたが、社内やパートナー様含めて、家庭的な雰囲気が継承されているような気がします。メンバーからは「旭平が好き」や、「一緒に仕事ができてうれしい」といった言葉をいただくことがあり、とても嬉しく感じています。また、私が入社してからは「知覚動考」の「動」を意識しているので、皆が能動的になっているように感じていますね。

もうすぐ創立100周年。未来に向けたチャレンジを

── 今後、貴社をどのような会社に成長させたいですか?

弊社に入社した際、社員に「長きにわたり多くのOB・OGがつないでくれた会社を、後世につなげていくこと」、「顧客・パートナー・従業員にとっていい会社と言われること」、この2つが私の使命として大切なことだと伝えました。

それは現在も不変なことでして、弊社に携わっていただいた方に良かったと思ってもらいたいと考えています。特にメンバーの皆さんとはもっともっと一緒に魅力のある会社にして友人・知人に、弊社への入社を紹介したくなるような会社にしていきたいですね。

── 来年100周年を迎えるにあたり、最後にメッセージをお願いします。

歴史とともに培ってきた多くの信頼を大切に、あらゆることにチャレンジしていくベンチャー精神をもった企業であり続けたいと思います。お客様やパートナー企業の皆様、そして多くのメンバーと一緒に、未来を想像し、創造していく魅力のある会社にしていきたいと思います。

そして、大正・昭和・平成・令和と時代の移り変わりとともに育ってきた会社を、これからの新たな時代や、環境の変化に柔軟に対応していきたいです。これからも積極的に新しい仲間を増やして、共に「想い」を大切にして、一緒に進化を楽しんで成長していきたいですね。

── 99年という長い時間で培ってきた信用と信頼を受け継ぐこと、そしてそれを続けていくことの重要性を学ばせていただきました。創立100周年とその先の未来に向けてチャレンジを続ける貴社を、心から応援しています。今回はありがとうございました。