地方とママをつなぐ、Web制作会社へ

「地域おこし」と「ママの就労支援」。

この二つの社会課題を、掛け合わせることで解決しようと挑戦している会社があります。

今回インタビューしたのは、Web制作とSNSの運用代行をされている株式会社RiiCA様。クロジカサーバー管理のパートナー様です。

代表取締役の大田原様に「地元の活性化」と「ママの就労支援」について、起業にかける想いをお伺いしました。

営業からWebディレクターへ

── 現在の仕事内容を教えてください。

SNSの運用代行とWeb制作の会社をしております。

私は案件を取ってきてお客様とお話をして色々な提案をするところまでで、クリエイティブの部分は在宅ワーカーとして一緒にお仕事をしているママさんたちにお願いして進めています。

── 大田原様これまでの経歴を教えてください。

新卒で入社した通信会社ではゴリゴリの営業で、毎日200件テレアポをしていました(笑)。

その後入ったイベント会社で、バナー作りからSNS運用やホームページの作成まで自分でやっていました。そのかたわら副業としてInstagramの運用代行をしていたときに声をかけていただき、チャンスと思い転職しました。

色々な仕事をやっていくなかで、「Web制作の新規事業を立ち上げるから、代表をやってみる?」という話をいただいたのが今の会社を興したきっかけです。

地方とママの架け橋に

── 昔から起業しようと思っていたのですか?

はい。もともと学生のときから「絶対自分の会社を持つ」とだけは決めていました。

私は北海道旭川市の出身で、中学生のときに地元の駅の改修工事がありました。

汚かった駅がすごく綺麗になったのですが、それにより大手の商業施設が参入してきてもともとあった商店街がシャッター街になってしまいました。

当時それを見て、「この街何とかしないといけないな」と自分が市長かのように思って(笑)。それで大学で地域について学びました。旭川市の地域おこしをしたいという思いが起業の理由の一つです。

もう一つの理由は、地元の友人たちから「子供を保育園に預けていざ仕事をしようとなったときに、子供がいる上に高卒でスキルも職歴もない。だから時間に縛られた仕事しかできない」と聞いたのがきっかけです。

── なるほど。これまでの経験の中で感じていた課題が、起業のヒントになったんですね。

はい。「地域をおこしたい」という自分の思いと、ママさんたちの「仕事したいけれどできない」という思い。この2つを掛け合わせてできることが絶対あるなと思い、この2つの軸で仕事しようと考えていました。

ちょうどそのタイミングで「Web制作会社を立ち上げないか」というお話をいただきました。デザインもホームページ作りもSNSも、今までのスキルを活かして会社ができるなと思いました。

パソコンの使い方からSNS運用まで全部自分が教えて、ママさんたちを在宅ワーカーとして育てて仕事をお願いする。ママさんたちも子供が熱が出ても自分が好きなタイミングで働けるし、チームで対応すればお客様側に迷惑もかけない。「これならいける!」と考えました。

RiiCAの強み

── RiiCA様の強みは何だと思いますか?

当社サービスの強みは「編集しやすさ」です。パッケージ化して自分で編集できるようにして納品すれば、いつでも事業ややりたいことが変わったタイミングでお客様自身が変えられるというのがノーコードでサイトを作る強みかなと思います。なおかつノーコードのためスピーディーに納品できるのも強みです。

SNSに関しては、自分がやったことがない案件でも対応できる方を紹介したりとか、社外のパートナーたちと話し合いをして企画の案を出したりと、オールジャンル対応できるようにしているので、そこも強みかなと思っています。

── Webディレクションをする時、どのようなことを意識していますか?大田原様のこだわりを教えてください。

お客様とワーカーさんの間に自分がいるので、お互いが思っていることを100%きちんと伝えることです。それと基本ですが連絡を早くすることは大事なので意識しています。

ワーカーさんには、お客様から褒めていただいたことと合わせて今後の成長のために修正ポイントも必ず伝えるようにしています。

── これまでで最も仕事で印象深かったことを教えてください。

ワーカーさんたちとの話なのですが、私の場合は「あの案件をお願いします」のような業務連絡だけではなく、必ず「どこがよかった」とか「もうちょっとこういうふうに修正した方がいい」とか伝えるようにしています。

スキルアップも考えた上で毎回スクリーンショットを全部取ってコメントを書いて渡すので、ものすごく手間がかかっていて正直採算合っていないと思うのですが、長期的な投資と考えています。

その時間をかけてやっているところを、「学びながらスキルアップにもつながるし、なおかつ仕事をいただけているのですごく助かっています」と言っていただいていることです。

── ワーカーの方たちにとって、フィードバックを受けながら制作してお金をもらえるのはとても良いですね。

働きたいママと地域おこしの架け橋に

── RiiCA様のサイトを拝見して、大田原様はママさんたちの起業も応援されているような印象を受けました。

そうですね。少数のママさんワーカーを育てて、ちょっとずつ卒業という形で私のところから離れて皆さんが働いていければいいかなと思っています。もちろん一番はずっといて欲しいですけど(笑)。

いて欲しい気持ちが8割ぐらいですが、ワーカーさんたちが自分たちで稼げるようになって、もっと大きな仕事を取れるようになったらそれはそれで嬉しいです。

── ママさんたちへの就労支援自体も事業としてやってみようと考えていますか?

現在旭川市の行政の方と話しているのですが、旭川市のママさん向けに、SNS運用のやり方や案件の取り方、作業の進め方など、クライアントワークについてのセミナーを何回かに分けてやろうと考えているところです。

旭川で成功したら次は北海道のほかの地域、それがうまくいったら日本全国でという風にしていきたいです。オンラインでやるというよりは、実際にお会いしてやりたいなと。子供が好きなので、子供参加OKなセミナーでもいいなと考えています。

── スケールが大きくなりそうで、ワクワクしますね!

「ママがいっぱい働いている会社」と思われたい

── これからRiiCA様をどのような企業にしていきたいですか?

「ママさんがいっぱい働いている会社」という印象を日本全国の皆さんに持っていただきたいと思っています。

創業から半年しか経っていない会社なので、今は信用が全然ないと思います。ですが、ワーカーさんが「どういう会社と業務委託契約してるの?」と家族から聞かれたときに、「あの会社だね!」って言ってもらえるような会社にまで、まずもっていきたいです。

「活性化したい」という地域のニーズと、「働きたい」というママさんのニーズをつなぎたい。

取り組みが旭川市で上手くいけば、その次は北海道全体へ、そして道外へ、という感じでゆくゆくは旭川市を基点として広げていきたいなと思っています。

依頼が間接的に支援に

── 最後に、大田原様が伝えたいことはありますか?

「ママさんたちの社会復帰の支援を応援したいけれど、自分の事業ではシナジーを生まないな」と考える経営者の方もいっぱいいらっしゃると思います。

そういった方々からお仕事をいただいて当社がママさんたちにお仕事をお願いすることで、間接的にママさんたちを支援することにつながるのではないかと考えています。

どんなお仕事でもママさんたちと一緒に、お客様に寄り添った仕事をしていきたいと思っています。何か地域活性化やママさん支援をやりたいなと思ってるけれど方法が見つからないような方がもしいらっしゃれば、ぜひ当社にご連絡ください。

── 地元やママさんたちに対する大田原様の想いをお伺いしていて、私も強く応援したい気持ちになりました。本日は本当にありがとうございました。