地震に強い「木の家」の立役者

クロジカはたくさんのステークホルダーに支えられています。ステークホルダーとはクロジカと共に歩んできたカスタマー、パートナー、メンバー、そしてインベスターの皆さまのことです。
私たちはこれからも、皆さまが作る新たなストーリーに力を添えて、共に歩んでいきたいと願っています。インタビューを通して、皆さまのこれまでの、そしてこれからのストーリーを聞かせていただきました。

突然ですが、ここ数年で作られた公共の建造物って、木造が多い気がしませんか?

国立競技場や大阪万博の会場も木造ですし、周りを見回してみても、多くの木造の学校や公民館が建てられています。
林野庁によると、2010年に8.3%だった公共の建造物全体における木造率は、2020年には約1.7倍の13.9%に増加しています※。2021年には「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されました。

木の建物はぬくもりややすらぎが感じられるだけでなく環境にも良いため、今後ますます増加すると予想されます。しかし一方で、日本に住んでいると気になるのが耐震性です。地震に強い木造建築物を作るには「接合部の仕様」が鍵を握るようです。

今回は、日本で最初に接合部を金具に置き換えた「金物工法」を築き上げた、接合金具のパイオニアである株式会社タツミ様にお話を伺いました。

タツミ様はクロジカスケジュール管理のカスタマー様です。オープンソース版の時代からご利用いただいており、現行のクラウド版を約130名様にてご利用いただいております。

インタビューでは、金属事業部の田所様とプレカット事業部の梨本様に、作り手としての想いを伺いました。

林野庁『令和2年度の公共建築物の木造率について』 

接合金具のパイオニア

── 貴社の事業内容を教えてください。

梨本様:弊社は、木造建築物の接合金物の製造・販売・OEM(他社ブランドの製品の製造)事業を行っております。特に「金物工法」といって、木造建築の構造材に使用される接合金物を活用した建築手法を得意としています。

── 現在ご担当されている業務について教えてください。

田所様:私は金属事業部に所属していて、全国のお客さんに向け、弊社のオリジナル商品『テックワン』をはじめとした金物の販売と営業をしています。また、新しい建築用金物の開発も行っています。

梨本様:私はプレカット事業部に所属しています。プレ(あらかじめ)カット(加工する)という名前の通り、住宅の構造材である木材を現場に搬入する前に、あらかじめ加工する業務です。

弊社では接合金具の販売だけでなく、プレカットが完了した木材に接合金具を取り付けて出荷しています。これによって現場での作業効率もあがり、工期短縮や建築コスト削減にもつながっています。

広まったきっかけは、阪神淡路大震災

── 接合金具のパイオニアである貴社。金物工法を築くきっかけや、製品開発に至るまでのエピソードを教えてください。

田所様: 従来の日本の木造住宅の工法は、現場で大工さんが梁や柱を手加工するもので、削る部分が多くなるにつれ耐震性の面で弱くなるという欠点がありました。

何かいい方法はないかと考えていた創業者の山口が、約40年前に沖縄でウチジャーという伝統工法の大工さんに出会いました。これがきっかけとなり今の『テックワン』の原型『クレテック』が生まれたのです。

しかし手加工が主流の中、大工さん達は新しいものを使いたがらなかった。リリースしてから約10年は鳴かず飛ばずでした。

── ではなぜ金物工法は広まったのですか?

田所様:1997年の阪神淡路大震災がきっかけでした。多くの住宅が倒壊したことで、建築基準法の大幅な改正、建築資材の見直しがされました。

 そこで『タツミという会社が面白いものをやっているぞ』と認知され、大手ハウスメーカーさんに大量に採用いただきました。これがきっかけとなり、弊社の金物工法が一気に広まりました。

── なるほど。私は大学時代に神戸に住んでいたのですが、地元の人から「震災当時、家の屋根が割れて空が見えた」という話を聞いたことがあります。住宅や建物が安全でないと本当に怖いと感じました。

田所様:弊社は新潟県にある会社なので、私たちにとっても地震は身近で深刻な問題です。

弊社の理念は『木造住宅を通じて、安心・安全なより良い生活を国民の皆様に提供する』です。地震があるたびに建築基準法は改正されますが、弊社の工法が優れていることが立証され続けている状況です。

作り手としてのこだわり

── 作り手として、製品に対してどのようなこだわりがありますか?

梨本様:プレカット事業部のCAD(コンピュータ支援設計)チームは、パーツを強固に組み合わせることを意識して図面を作成します。たとえ数mm大きさが違うだけでも、それを繋ぐと数cmのズレになるからです。

構造計算を綿密に行い、図面の精度を高めることで不具合が防げます。その結果、大きな揺れに遭遇しても崩れない家ができるのです。

── なるほど。金属事業部としてはいかがですか?

田所様:金属加工部としてのこだわりは、まず1つ『安全な製品づくり』です。金物は機械工場の方、現場の大工さん、全国のお客さんなどが直接手で触るものです。 なので万が一にも怪我がないよう、バリと呼ばれる加工によって生じる出っ張りやギザギザを丁寧に取り除き、安全な製品を作ります。

2つめは『施工性を良くする』こと。具体的にはミスや間違いをしにくくするということです。現場で大工さんが取付ミスなどしなくて済むよう、日々工夫を重ねています。

3つめは『製品を汚さず運ぶこと』です。お客さんにとっては一生に一度の買い物ですから、丁寧に運ぶことにもこだわりがあります。

大工さん、ハウスメーカー、そして入居者。1つの商品で様々な課題を解決。

── ありがとうございます。住む人はもちろんですが、大工さんにとっても作りやすいというのは素敵だなと思いました。

田所様:現在、大工さんの高齢化と人材不足が深刻な問題となっています。

弊社の製品は金物がついた状態で搬入されるので、現場ではボルトと金属を打ち込み、梁を架けるだけで強固な建物ができます。現場での加工をなくすことで、大工さんの負担を減らせます。現場でゴミも出ないのです。

それと現場では、建てたものの上で次の作業を行います。弊社の製品は綿密な計算をしていますので、起こすだけで安定しグラグラしません。高齢の大工さんでも安全に作業ができるのです。

また簡単に組み立てられるということは、外国から来られた労働者の方も作業がしやすいということです。工程や仕組みを熟知しなくても、少しの教育だけで簡単に施工ができます。高齢の大工さんが、外国の方に手伝ってもらいながら仕事を続けることができるのです。

── なるほど!御社と利用者をつなぐハウスメーカーの方からはどのようなことを言われますか?

田所様:『クレームが減る』とよく言っていただけます。

住宅産業は『クレーム産業』と言われるほどクレームが多く寄せられる産業です。地震が起きて建物が少しでも動けば、壁紙クロスにひび、隙間、しわなどができる事があります。しかし弊社の製品ではそういったことがなく、クレームの少なさを実現できています。

── 入居者に対してはいかがですか?

田所様:もちろん建物を利用する人に対しては『安全性の確保』が一番です。お伝えしているように精度にこだわりを持った強固な製品づくりで、大きな地震が起きても倒壊までは及ばない強固な住宅がつくられるのです。

このように大工さん・ハウスメーカー・お客さん、全ての方にご満足いただいています。

── 商品1つで多くの課題を解決しているのですね。住宅建築がこんなに気を配られたものだと知り、感動しました。

梨本様:島津さんも家を建てることがあったら、金物工法をぜひ採用して頂ければ(笑)。

── もう、ぜひお願いします!

田所様:家を建てる時、多くの方はキッチンや洗面台などの住設機器に目がいきます。けれど、完成時には隠れてしまいますが、構造の方にも少し目を向けてもらえばうれしいです。家は、一生住む大切なものなので。

技術革新と環境意識によって脚光を浴びる木造建築

── 住宅以外の公共の建物も木造物が増えていると感じています。勝手ながら木造は強度面で不安があるかと思っていたのですが、今回お話を聞き、そうではないことがわかりました。

田所様:おっしゃる通り、今まで木造建築ではあまり大きな建物は建てられませんでした。しかしこの45年間の技術革新と建築基準法の改正により、流れが大きく変わってきています。

環境問題もそうです。木はCO2の吸収ができるので、今政府が木造建築に力を入れています。国立競技場はもちろん、大阪万博にも木造建築物がたくさん採用されています。世界的に見ても日本の木造建築はかなり脚光を浴びています。

『タツミにお願いすれば全て任せられる』

── ウッドショック等で困難な状況にもかかわらず、タツミ様は着実に売上を伸ばしていると伺いました。それはどのようなところが、社会から求められているからだと思いますか?

田所様:金属加工で金物を作りながら木造のプレカットをしているのは、現在全国で弊社のみなんです。構造計算からトータルで請け負えるというのは、他社にはない強みです。 

── それはすごい強み!まるっとお願いできるんですね!

田所様:お客さんからすると『タツミにお願いすれば全て任せられる』という安心感があると思います。

梨本様:弊社には過去にいろいろな相談を持ちかけられ、対応してきた積み上げがある。歴史があるんです。なのでハウスメーカーからも、相談したら応えてくれるという安心感を持って頂いています。言い換えれば便利屋ということですが(笑)。

ウッドショックはプレカット事業部としても困難ではありました。しかし全国の事業所間で材料のやり取りをし、乗り越えることができました。お客さんへの安定供給を続けられたことが、困難な状況でも売上が伸ばせた理由だと感じています。

タツミ様とクロジカ。共通点は「使いやすさ」

── 最後にお2人がお仕事の中で嬉しいと感じられる瞬間をお伺いしたいです。

田所様:我々2人とも営業がメインですので、やはり新規の大口受注が取れるとうれしいです。それから良い商品が開発でき、それが爆発的に売れることも喜びです。 

梨本様:手掛けたものが形になっていくところを、部下と共に喜べることがうれしいですね。

田所も私も『クロジカ スケジュール管理』を開いて、部下が一生懸命に営業活動しているところを見てうれしく思っています(笑)。

クロジカは使いやすく、業務管理しやすいので、非常に素晴らしいです。今後さらに改善され、より良いものにしてもらえると期待しています。 

── そう言っていただけて嬉しいです!クロジカも使いやすさにこだわりを持っていて、貴社との共通点を感じてとても親近感を持ちました。本日はありがとうございました。