システムで「なんでもできる」を続け30年

「わからないことを勉強しながら仕事を続けてきたおかげで、何でもできる会社になりました」

そう話すのは、渋谷・仙台を中心にシステム開発やECサイト制作などの業務を行う、エスアイマネジメント株式会社(以下、エスアイマネジメント)の代表取締役 藤村さん。

自分の専門知識を身につけることは仕事をするために大切なことですが、実際に業務をこなしていくと、専門外の知識やスキルが必要となることも少なくありません。そのような時に一番大事なのは、「とにかくチャレンジしてみること」、そして「わからないことを勉強すること」だと藤村さんは教えてくれます。

今回は、クロジカスケジュール管理のカスタマーインタビューとして、「スマート墓所管理シリーズ」(旧:てらもりくん)をはじめとしたさまざまな事業に挑戦している藤村さんにお話を聞きました。

「一番になりたい」で築いたエンジニアのキャリア

── まずは、藤村さんのご経歴を教えてください。

最初は、いわゆるソフトウエアハウス勤めでした。同級生の多くは大手電機メーカーに入社しましたが、私は大きい会社で大勢の中に紛れてしまうことが嫌だなと思いました。入社先で一番になりたいという野心もあったので、学校に募集が来ている就職情報ではなく、あえて新聞で見つけたソフトウエアハウスに入社しました。

大きな会社ではなかったので、NECや富士通などの電機メーカーに出向することが多かったです。期間としては短くて6カ月、長くて1〜2年行くこともありました。場所も都心だけではなく名古屋や鎌倉で勤務したこともありました。

── さまざまな環境で働かれていたのですね。

そうですね。おかげでたくさんの人とのつながりや知識を得ることができました。しかし、30歳を前にして自分のやってきたことが一本化されていないと思い、「ずっとこれが続くのかな」と一抹の不安がよぎったので、退職してフリーランスになりました。

その頃、会社の共同経営のお話をいただいて2〜3年働いていました。ここでは、直接、客先の案件に携わる部署を設け、数名のスタッフとコンサルティングからシステム構築、使用機器類の選定、設定、運用保守までを一括して引き受けて対応していました。他の部署は、外部の客先への開発サポートという対応でしたので、スタッフ達の行動の統一が取れず、直接客先対応する会社を興そうと思いました。そこで、もう一度、一人で再々チャレンジをしました。それが今のエスアイマネジメントになります。会社組織にしたのが1994年なので、2024年で創立30周年ですね。

── 再々チャレンジの結果が現在のエスアイマネジメントの起業だったのですね。藤村さんはもともとエンジニアを目指されていたのでしょうか?

中学生くらいからエンジニアになりたいと思っていました。当時はまだコンピューターはテレビの中の世界の話だったので、高校生なって受験の時に先生にエンジニアになりたいということを話したところ「お前、真面目に考えろ」と言われました。今となっては学生時代の先生に会うと「先見の明があったな」なんて言われるんですけどね(笑)。

3つの事業を展開

── 次に、貴社の事業内容を教えてください。

事業は大きく分けて3つあります。

1つ目はシステム開発です。当社ではプログラマーも含めて全員がお客様先へ訪問し、窓口対応もしています。お客様からのご相談・要件定義からプログラミング、導入する機械選定、運用、保守もすべて当社で提供できますので、ゼロベースでのご依頼にも対応可能です。

2つ目はスマート墓所管理シリーズで、墓所・納骨堂運営をトータルサポートするサービスです。東日本大震災後、お墓とお骨を失った寺院からの相談がきっかけで生まれました。

3つ目はECサイトになります。当社のECサイトはBtoCだけではなくCtoCやBtoB、つまり消費者間や会社間の受発注もできます。仕組みとしては、BtoCもCtoC、BtoBも売り手と買い手が居るということで同じなんです。オークション業務向けやレンタル業務向けのシステムも作っています。

── 1つ目のシステム開発では、どのようなことをされているのでしょうか?

例えば、ホテルのシステム開発ですね。今でも取引が続いている創業初期のクライアントが新潟のホテルなのですが、普通のホテルではなく健康保険組合向けの共同保養所で、そこでは宿泊予約を受けたり清算をしたりするシステムを作りました。

当時、ホテルで使用するシステムは税金の計算機能が必須であり、そのために会計機としての登録が求められました。この要件を満たすため、私たちは都道府県税事務所に足を運び、システムの導入計画や稼働開始予定、そしてどのようにして税金計算を行い納税するかについて詳細な説明を行う必要がありました。

── システム開発以外にもやらなくてはならない仕事がたくさんあるのですね。

そうなんですよ。温泉地なので入湯税の支払いなどさまざまな決まりがあったので、すごく勉強になりましたね。それ以来ホテルの案件が続き、日本全国だけでなく海外の案件も行うようになりました。その後、スマート墓所管理シリーズやECサイト関連といった事業も行うようになりました。

── スマート墓所管理シリーズとはどのようなサービスなのでしょうか。

墓所・納骨堂運営をトータルサポートするための墓所総合管理システムです。墓所使用者の管理から、受付・参拝の予約、参拝ブースでの演出、法要のご案内も行うことができます。

そのうちの一つの「デジタル参拝」は、本物の墓石にデジタルサイネージを組み合わせた、幅広い演出可能なメモリアルツールです。檀家さんごとに番号が割り振られているので、番号で情報を呼び出すとモニターに檀家さんごとの家紋や戒名などお墓の情報が表示されます。デジタルなので遺影や故人の思い出の記録などを画面に表示してメモリアル演出を行うことができます。

── スマート墓所管理シリーズ開発のきっかけを教えてください。

10年前の東日本大震災後、ある墓石屋さんから、「お寺を再建したいが、お墓とお骨がすべて失われてしまった」との相談を受けました。新たにお墓を建てたとしても、既に亡くなった方々のお骨は失われてお墓に入れることができないので、供養するための新たな方法が必要となりました。この相談がきっかけとなり、私たちはデジタル参拝の試作品を開発しました。

「何でもできる」が最大の強み

── 貴社の強みや魅力を教えてください。

「いつもチャレンジ」というのが1番の魅力ですね。ご依頼いただく内容について、知らない分野のことでも「わからないんですけども、いいんですか?」とお客様に言っても「知らなくてもいいけども、任せるわ」と言われることが多かったんですよ。

わからないことを勉強して仕事をし続けてきたおかげで、今となっては何でもできる会社になりました。これは大きな強みですね。

── 先ほど貴社はプログラミングができる方がお客様との窓口になっているとおっしゃっていましたが、それもお客様とって大きな魅力だなと思いました。

当社の社員には、お客様の相談に乗ることも新たな提案をすることもできるし、プログラムを書くこともできるという人材を目指してもらい、年齢も関係なく働いてほしいとお願いしています。ですので、50歳を超えてから採用したメンバーも活躍しています。

── お客様から言われて嬉しかった言葉を教えてください。

リプレイスのご依頼をいただく度に嬉しい気持ちになりますね。システムを導入するとき、大体ハードウエアも一括でご依頼いただくことが多いのですが、機械は大体5〜6年で壊れるのでリプレイスするんですよ。先述の新潟のホテルは38年のお付き合いですが、もう6回もリプレイスいただいています。

また、どの案件もすべて当社オリジナルのシステムになるので、竣工を迎えた時のドキドキ感と嬉しさがありますし、お客様から「おかげさまで事業がうまく進められます」と言っていただける瞬間は本当に嬉しいです。他社さんに行ってプログラム作業の手伝いをしているだけではこの感覚は絶対味わえないんですよ。

目指すのは、多様な生き方を実現できる会社

── 今後、エスアイマネジメントをどのような会社にしていきたいですか?

「幅広い生き方ができる会社」にできればと考えています。50歳を超えてから採用したメンバーの中には、もう60歳を超えている方も出てきています。

歳を重ねたメンバーには、可能なら70歳になっても働いてほしいという話をしているのですが、そのためにはフルタイムでなくても良いという条件もつけていかないといけないと思っています。

そして、新型コロナウイルスが流行しテレワークが増え事務所をあまり使わない状況になったことを通して、1つの拠点に集まるのではなく動きやすい場所に拠点を分散して設けた方がいいかなと考えるようになりました。

今のところ当社のお客様は北海道から沖縄までいらっしゃいますが各地に拠点はないので、今後はさまざまな場所に拠点を設けたり制度を改定したりしていこうと考えています。

── 創業されてから今日までいろいろなことにチャレンジされてきたからこそ、何でもできて長く続いている魅力的な企業だと思います。本日はありがとうございました。