介護職が抱える悩みとは?|離職を防ぐための5つの対応策

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの千葉です。

人手不足や待遇改善などが課題に挙げられる介護業界では、悩みを抱えながら働いている介護職も少なくありません。その中には、離職につながるような悩みを抱えている職員もいるかもしれません。

そこで今回は、介護職が抱えやすい悩みについて解説した上で、介護職の離職を防ぐために介護施設ができる具体的な取り組みを紹介します。

介護職の離職率と離職理由

はじめに介護職の離職率について、2017年度から2021年度までの推移をみてみましょう。公益財団法人 介護労働安定センターが実施した「令和3年度介護労働実態調査」の結果報告書をもとに紹介します。

年度離職率(%)
201716.2
201815.4
201915.4
202014.9
202114.3
参考:令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について 図表2 離職率の経年推移(訪問介護員と介護職員の2職種計)より

ご覧のように2021年度における離職率は14.3%でした。離職率の推移をみると、徐々に低下傾向になっていることがわかります。離職率のピークは2007年度の21.6%となりますので、その頃より大幅に低下しています。

また、厚生労働省が公表している「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、2021年度の全産業の平均離職率は13.9%でした。介護職の離職率(14.3%)の方がやや高いものの、全産業の平均水準に近づいているといえるでしょう。

参考:厚生労働省| 令和3年雇用動向調査結果の概況

続いて、介護職が離職する理由についてみていきます。以下の表は、回答者が多かった項目から順番に記載しています。

前職をやめた理由(複数回答)

理由割合(%)
職場の人間関係に問題があったため18.8
結婚・妊娠・出産・育児のため16.9
自分の将来の見込みが立たなかったため15.4
収入が少なかったため14.9
他に良い仕事・職場があったため13.9
法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため12.1
新しい資格を取ったから8.3
自分に向かない仕事だったため8.3
参考:令和3年度介護労働実態調査|介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書

介護職が離職する理由をみると、「人間関係の悩み」「待遇の悩み」「将来性に関する悩み」といった悩みの割合が高いようです。

介護職が抱える悩みとは?

それでは介護職が抱える悩みとは、具体的にどういったものなのでしょうか。ここでは、以下の5つの悩みについて深く掘り下げて解説します。

  • 人間関係の悩み
  • 待遇の悩み
  • 利用者や家族への対応に関する悩み
  • 会社の将来性に関する悩みや不安
  • 心身の負担に関わる悩み
  • その他の悩み

人間関係の悩み

介護職が抱える人間関係の悩みには、「上司や同僚に合わない人がいる」といった社会人なら誰でも抱えるような悩みがあります。

しかし、介護現場では介護職員同士が連携して業務にあたらなくてはいけません。人間関係に悩みを抱えると、仕事の遂行に必要なコミュニケーションが取りにくくなってしまうのです。

仕事がスムーズに進んでいないことを本人が自覚しているケースも多く、責任感の強い人ほど「なんとかしなくては…」と焦ってしまうおそれがあります。その結果、大きなストレスを感じることになるでしょう。

待遇の悩み

「仕事内容に対して給料が見合っていない」と、待遇について悩みを感じている介護職も存在します。

介護職は、入浴介助や排泄介助などの身体介助で体を酷使しています。施設形態によっては、夜勤業務で働く介護職もいるでしょう。そのような労力に対して給料が見合っていないと感じると、モチベーションの低下を感じたりするのです。

また、介護職は「感情労働」に従事する専門職でもあります。感情労働とは、利用者や入居者に対して自分の感情をコントロールしながら接することです。例えば、介護職の気分が落ち込んでいても、相手のために笑顔で接することを求められます。そういった専門的なスキルに対して、相応の見返りを求めるのも当然のことかもしれません。

利用者や家族への対応に関する悩み

「利用者や家族に対する適切な対応方法がわからない」「利用者や家族から高圧的な態度を取られて困っている」といった悩みも存在します。

利用者や家族への対応は、ベテランの職員でも失敗することのある難しい業務です。そのため苦手な利用者や家族ができると、対応に悩む介護職も増えるわけです。

会社の将来性に関する悩みや不安

「この会社に籍を置いていいのだろうか」「今の会社にいることに不安をおぼえる」と会社の将来性に悩み・不安を持つ介護職もいます。

例えば、介護現場の人手不足が長期にわたって解消されなかったり、有給がなかなか取れなかったり、あるいは「残業代の支払いが遅れた」といった事態が発生すると、多くの介護職は会社の将来性について悩みや不安を持ちます。

特に正規職員として働いている介護職の場合、会社の将来性が自分の生活にも大きな影響をあたえるため、悩みや不安につながるわけです。

心身への負担に関わる悩み

繰り返しになりますが、介護業務は心と身体に負荷がかかる仕事です。心身に何らかの不調を感じたり負担を強く感じたりすることも介護職の悩みのタネとなります。

特に腰痛は、介護職の職業病と言われるくらい多くの従業員が悩んでいる症状です。コルセットを装着しながら身体介助にあたっている人や整体に通いながら働いている人も少なくありません。

また、夜勤シフトがある入居施設では体力の衰えとともに、夜勤などの不規則シフトに負担を感じる人もいるでしょう。

その他の悩み

その他に、以下のような悩みを持つ介護職も存在します。

  • 過去に介護事故を起こしてしまい、不安を抱えながら仕事をしている
  • 介護事故を起こさないかと心配
  • 自分の適性に悩んでいる

上記のような悩みも、放置すると退職につながるおそれがあるため、無視できない悩みといえます。

介護職の離職を防ぐ5つの対応策

介護職の離職を防ぐ5つの対応策を紹介します。

対策1.コミュニケーションしやすい環境をつくる

介護職員同士がコミュニケーションしやすい環境は、人間関係の悩みに対して効果的です。

例えば、スタッフ同士で話し合える機会を設けて、介護現場の問題点について話し合う方法が考えられます。定期的にミーティングを開催して意見交換できる場を設けるのです。

定期的にミーティングを開催すると、介護職が自分1人で悩みを抱え込むことを防止できますし、それぞれの介護職が何に悩んでいるのかをヒアリングできるでしょう。

管理者や介護主任といった役職者がミーティングを開催することで、現場の統率を図りながら効果的に施策を進められます。

対策2.労働環境や待遇を充実させる

労働環境や待遇を充実させる方法も、離職を防ぐために有効です。

ワークライフバランスが重要視される昨今、産休や育休を希望する介護職も今後増えていくでしょう。そこで、産休や育休の取得方法を企業側が積極的にアナウンスして、働きやすい職場づくりを進めてみるのはいかがでしょうか。時短勤務を許可する方法もあります。

基本給の引き上げといった待遇を充実させるには、収益向上が大切な要素となるため、ある程度の期間が必要です。しかし労働環境の改善が、職員の満足度向上につながれば、質の高いケアを利用者に提供できるようになるかもしれません。利用者から喜ばれるようなサービスを提供すれば、将来的に稼働率が向上し、待遇改善も可能になるでしょう。

対策3.キャリアアップやスキルアップできる仕組みをつくる

キャリアアップやスキルアップできる仕組みをつくることも、おすすめの対応策です。

職員の能力を適切に評価して、その職員にふさわしいポジションを設置するような仕組みをつくると、個々の職員のモチベーションアップにつながるでしょう。

また、介護知識や技術を習得するための研修や事例検討会を開催すれば、介護職の悩みや不安を軽減できます。研修を通して、上司や先輩などから吸収した知識や技術は、記憶に残りやすいからです。そして、研修を通じて職員同士がコミュニケーションを持つと介護現場の連携も高まるでしょう。

対策4.働きやすいシフトを作成する

働きやすいシフトとは、心身を休める余裕のあるシフトと言い換えられます。夜勤勤務が連続していたり連勤がずっと続いたりすると、介護職は疲弊してしまうからです。

あくまで一例ですが「連勤が続いた後に公休が必ずあるシフト」「早番→日勤→遅番→夜勤」と就業時間に大きな変化がないシフトは働きやすいシフトといえるでしょう。

また、介護現場のシフトは公平な内容であることも大切です。特定の職員だけ働きやすいシフトや特定の職員だけつらいシフトは、不満の原因になってしまいます。

人力で公平なシフトを作成するのは大変ですから、介護ソフトやシフト作成に特化したツールなどを導入して、ツールのサポートを得ながら作成するのがおすすめです。

対策5.ICTを取り入れた業務効率化

介護ソフトやシフト作成ツール以外にも、ICTを取り入れて業務効率化を図るのもよいでしょう。介護職の業務には、サービス提供記録やモニタリング記録の作成といったICT導入によって効率化できる業務が存在します。また、クラウドストレージ管理を活用すると、1つのファイルを介護施設全体で働く介護職員が同時並行的に共有して利用できるようになるため、施設全般の業務効率化を実現できるでしょう。

関連記事:介護施設のICTとは?導入するメリット・具体例・補助金事業を解説
関連記事:【介護事業所向け】ケアプランデータ連携システムで変わる、これからの書類保管方法

まとめ

介護職の離職を防ぐためには、本人が抱えている悩みに対して適切な対応策を取ることが大切です。もしも気になる介護職がいるのなら、悩みの種類を明らかにすることから始めてみましょう。

そして、周りの上司や同僚が本人をサポートしたり悩みを解決できる仕組みを構築したりして、本人が悩みを自己拡大化する悪循環を防いでください。介護職の悩みに適切な対応策を施して、介護職が働きやすい介護施設を運営していきましょう。

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ライター:千葉 拓未

高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護・福祉施設に約13年間従事。
相談員として5年間の勤務実績もあり。介護業界における労務環境・情報管理・
はたらきやすい職場づくりなど、様々な分野で専門性の高い記事を作成している。
国家資格「介護福祉士」「社会福祉士」所持。

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