【介護業向け】介護施設の残業はなぜ起こる?原因と対策を解説

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」介護業ライターの千葉です。

介護施設を運営している経営者の方や管理者の方の中には、「なぜウチの介護施設は残業が多いのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか。現場が滞りなく回るように人員を配置している場合、残業が発生することを不思議に思うかもしれません。

そこで今回は、介護職員が残業して取り組んでいる業務に焦点をあてて、介護施設で残業が発生する原因について解説します。介護施設の残業を減らすための効果的な取り組みも紹介しますので、ぜひご覧ください。

介護施設における残業の実態

公益財団法人 介護労働安定センターが公表している「令和3年度 介護労働実態調査」を参考にして、介護施設における残業の実態をみていきましょう。

同調査における「1週間の残業時間数」のアンケート結果をみてみると、最も多かった回答項目が「残業なし」で全体の58.7%でした。続いて「5時間未満」が23.0%「5時間以上10時間未満」が9.6%と続きます。平均残業時間は1.6時間となっており、1ヶ月に換算するとおよそ6.4時間です。

<1週間あたりの残業時間数について>

回答項目割合回答人数
残業なし58.7%11,703人
5時間未満23.0%4,585人
5時間以上10時間未満9.6%1,910人
10時間以上15時間未満2.8%552人
15時間以上20時間未満0.5%101人
20時間以上0.4%87人
無回答5.0%987人

参考:公益財団法人 介護労働安定センター|令和3年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書 資料編19Pおよび20Pより

介護職は身体介助などの重労働に従事しながら、不規則なシフトで働いています。上記の表を参考にしていただき、自社の介護施設で働く職員の残業時間をチェックして、大きな負担を抱えている職員がいないか確かめてみましょう。

介護職員が残業して取り組んでいる業務とは?

介護職員が残業して取り組んでいる業務や残業の原因について解説します。自社の介護施設の状況と照らし合わせてチェックしてみましょう。

介護記録の作成

介護記録の作成は、多くの介護職員が残業して取り組んでいる業務です。介護職員は利用者への介助業務に優先して取り組むため、記録業務は後回しになりがちです。

一方で、介護記録は介護報酬請求にも関わる重要な記録のため、正確な入力が求められます。そこで勤務時間一杯まで現場で働いて、勤務時間を過ぎてから記録を打ち込むというケースが発生するのです。

その他の残業の原因について、箇条書きで記載します。

  • 人手が足りなくて記録業務に取り組めない
  • パソコンやタブレットなどの端末が足りない
  • ヒヤリハットや事故などが発生して、記録内容が膨大になった
  • フロアの清掃や物品の補充といった雑用に時間をとられる
  • (通所施設の場合)送迎業務で遅くなった

レクリエーションや行事計画

レクリエーションや行事計画のために、残業する介護職員も少なくありません。企画書の作成や必要な物品の用意・作成に時間がかかるためです。用意する物品によっては稟議書の用意が必要になるでしょう。

また行事計画は、レクリエーションに比べて実施回数が少ない分、規模も大きくなるため残業の原因になります。例えば、花見ツアーや夏祭りといった行事計画では、企画書の作成に時間がかかり、準備に時間が必要です。その結果、残業して取り組む職員や自宅に持ち帰る職員も出てきます。

利用者への個別対応

利用者への個別的な対応によって残業が発生することがあります。通所施設の場合、家族が仕事などで自宅を不在にしており、帰宅時間まで利用者を預かるよう頼まれるケースです。他にも、利用者の急な体調不良に対応した結果、定時を過ぎてしまうこともあるでしょう。

急なシフト変更への対応

人手が限られている介護現場では、職員の病欠や早退が残業の原因になります。例えば、早番者や日勤者に急な欠勤が発生した場合、残っている夜勤者が残業して現場対応にあたるケースが考えられます。

介護現場も大変ですが、シフト作成者にも負担がかかります。シフト作成者は厚生労働省が定めた人員配置基準を守りながら、シフトを作成しています。そのため急なシフト変更があった場合に、人員配置基準と現場の安全を確保できるシフトを組まなくてはいけないのです。

介護リーダーや管理職には、シフト作成以外にも取り組むべき業務がありますので、急なシフト変更への対応が発生すると、残業になりやすいといえます。

<職位別で比較した1週間の残業時間数>

一般職・担当職主任・(サブ)リーダーなど職場のまとめ役管理職
残業なし65.0%46.3%48.4%

5時間以上
21.4%30.4%20.8%
5時間以上10時間未満6.3%14.7%16.8%

参考:公益財団法人 介護労働安定センター|令和3年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書 資料編19Pおよび20Pより

全体ミーティング

全体ミーティングによって残業が発生するケースもあります。例えば、入所施設には早番、日勤、遅番、夜勤などの複数のシフトがあるため、開催時間や終了時間によって残業にあたる職員が出てくるのです。

通所施設であれば、送迎終了後に全体ミーティングが開催されることもあるでしょう。職員が揃う時間によっては残業になるかもしれません。これらの場合は、管理職などの上位者がスケジュールを管理して、適切に指導する必要があります。

介護施設の残業を放置することの危険性とは?

介護施設における残業を放置すると、施設運営に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、残業によって介護職員に身体的な負担が蓄積してしまうと、個々の職員のモチベーションが低下して、欠勤や早退が増えたり離職率が上がってしまったりするかもしれません。

また、疲労によって業務中の集中力が低下してしまうと、介護事故や送迎中の事故といった重大なトラブルにつながるおそれがあります。

残業を減らす取り組みに着手すれば、これらのリスクを排除して、利用者に安心して日々過ごもらえるような質の高いサービスを供給できるようになるでしょう。

介護施設の残業を減らすための効果的な取り組み

介護施設の残業を減らすための効果的な取り組みを解説します。働くスタッフの人数や施設の設備、予算などに合わせて、自社に合った方法がないか探してみてください。

ICTの導入

介護施設では、介護記録をはじめとする書類の作成が、職員の業務を圧迫している可能性があります。そこでICT(Information and Communication Technology)を導入して、書類作成にかかる時間を短縮化する手法がおすすめです。

例えば、介護記録を手書きで作成している場合、パソコン、タブレット、スマートフォンなどを導入して、利用者の体調の変化をその場で入力する仕組みを作るとよいでしょう。

また、「クラウドストレージ」を導入するのも有効です。クラウドストレージを導入すると、フェイスシートやモニタリング表などのファイルに、職員が同時にアクセスできるようになります。情報共有が迅速に進むため、書類作成にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

ICTの導入によって、業務効率を改善できれば、空いた時間を別の業務に振り分けられるようになります。業務効率が上がれば、職員の残業時間は大幅に減少するでしょう。

関連記事:介護施設のICTとは?|導入するメリット・具体例・補助金事業を解説

関連記事:【介護業界向け】心理的負担を下げることで長期的な人材育成につながる?|テクノロジー活用で介護従事者の負担緩和〜

報連相の徹底

「報告」「連絡」「相談」を徹底すると、介護現場のスムーズな情報共有を実現できます。情報共有によって、上位者は必要な指示を的確に出せるようになり、介護職員は今やるべきことに集中して取り組めるようになるため、残業時間の減少につながります。

報連相には、「業務の達成状況を把握できる」「人材教育に役立つ」といったメリットもあります。介護サービスの質を上げる方法としても有効ですので、こちらの記事も参考にしてみてください。

内部リンク
【介護施設向け】報連相の重要性と伝わる仕組み作りとは?

隙間時間を活用して記録業務を短縮する

介護の仕事は対人援助サービスであるため、スケジュールどおりに業務が進まない場面があるかもしれません。そこで、利用者の動きが落ち着いている時間や業務が一段落した時間を狙って、少しずつ記録業務を進める方法がおすすめです。

入居施設であれば、朝食や昼食後、トイレ誘導が一段落した時間が入力しやすい時間になるでしょう。また、利用者を集めてレクリエーションを開催する場面も記録業務にあてられます。

役割分担を見直す

定期的に職員の役割分担を見直して業務を効率的に進めると、残業時間の削減につながります。

通所施設であれば。送迎職員が送迎に出ている間に、残っている職員がフロアの掃除や記録業務を済ませておく方法がおすすめです。役職者も参加して全職員で取り組んでもよいでしょう。ほとんどの職員が送迎に出てしまう場合は、送迎専門の職員を設置したり応援を頼んだりする方法が考えられます。

入居施設の場合は、シフトによって就業時間が違うため、各シフトの業務内容と勤務時間を確認して声をかけ合うのがよいでしょう。介護主任やリーダーなどが中心となり、勤務終了時間が近い職員の役割を別の職員に振り分けたりして、業務が円滑に進むように配慮するとより効果的です。

まとめ

介護施設の残業は、介護職員の負担につながります。その時々の職員の状況によって、残業に取り組む業務は異なるため、やはり指導者が職員の状況を把握する必要があります。

介護施設の残業を放置すると施設運営に悪影響を及ぼしかねません。ICTの導入や報連相の徹底といった対策を施して、働くスタッフと利用者が過ごしやすい介護施設を実現しましょう。
関連記事:介護職が抱える悩みとは?|離職を防ぐための5つの対応策

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ファイル管理でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

ライター:千葉 拓未

高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護・福祉施設に約13年間従事。
相談員として5年間の勤務実績もあり。介護業界における労務環境・情報管理・
はたらきやすい職場づくりなど、様々な分野で専門性の高い記事を作成している。
国家資格「介護福祉士」「社会福祉士」所持。

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