こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」製造業ライターの藤原です。
企業が利益を出すためにはコストを下げるか売り上げを上げるかの２択であると言われています。製造業に焦点を当てると、製造原価をいかに下げて利益にインパクトを与えるかが重要です。
しかし2021年以降の原材料の高騰によって、多くの企業で製造原価の圧迫に悩まされているのではないでしょうか。本記事では、生産効率を上げることで、労務費が抑制されるポイントをご紹介していきます。ぜひ、ご参考にしていただけますと幸いです。
出典：2022年版ものづくり白書 図 120-1 社会情勢の変化のうち、事業に影響があるもの
Contents
製造原価に影響する項目とは？
製造原価とは製品の製造を行う際に発生した原価の合計のことです。 製造原価の内訳は以下の3つに分類されます。
- 経費
- 材料費
- 労務費
それぞれに分類して原価費用を分析することによって、どこにどれだけの原価がかかっているのか、どこを削減すればよいのか、などの計画が立てやすくなるでしょう。
それでは、3つに分類された内訳を詳しく紹介していきます。
経費
材料費や労務費に分類できないものが経費です。 工場の賃貸料や電気・水道・ガスなどの光熱費、使用している工場設備の減価償却費などが含まれます。 経費に計上できる項目は幅が広いため、見落とされがちな点に注意が必要です。
材料費
主に製品を製造するときに必要な材料や部品・ネジ・薬液・燃料などの費用のことです。他にも製造で使われる消耗品も含まれます。さらに製造される製品の主な材料を直接材料費、その他の材料については間接材料費に分類されるため、対象製品によって異なる点が特徴です。
労務費
労務費は製品を製造している従業員の賃金などの費用です。 基本給以外に、賞与や福利厚生費、退職にかかる費用なども含まれます。 営業部門の人件費は製品を販売するための販売費、総務部の人件費は事業を管理するための費用になるため、いずれも製造原価には含まれません。
生産効率を上げて製造原価を抑える3つのポイント
次に、製造業において原価を抑えるための具体的なポイントを3つご紹介します。
- 製造工程のムダを削減する
- 業務効率化ツールを導入する
- 業務・データを見える化する
短期的に原価を抑える効果はそれほど大きくなく、導入コストがかかる場合もありますが、適切な計画とその後の効果測定により、長期にわたる原価の抑制に期待ができます。
製造工程のムダを削減する
製造工程においてムダの存在が製造原価率の高い原因として挙げられます。 たとえば、以下のようなケースなどが多く見受けられます。 最適な人材配置ができておらず、
- 必要以上に時間がかかる
- 製品にムダな待機時間が発生する
- 作業員によって進捗にムラが生じる
- 老朽化で使えない備品が置かれている
そこで、正確な原価計算によって製造工程のムダが特定できます。 最終的な原価計算ではなく、どこの工程でどの程度の工数がかかっているのか、製造中であっても現時点の原価を確認することで改善すべきムダの特定が可能になるでしょう。 作業量や作業人数の最適化を行い、スムーズな生産ラインに改善することでムダの削減ができます。
業務効率化ツールを導入する
業務効率化ツールの活用は従来の業務を最適化することに有効です。 業務効率化ツールは
- ペーパーレス化
- 材料在庫・製品在庫管理
- タスク・プロジェクト管理
などの用途に合わせて用いられ、紛失リスクが高く属人的な紙媒体にかわるものとしてさまざまなツールが存在します。 たとえば、材料在庫・製品在庫のどちらも日々の数は変動しており、使用期限が過ぎてしまえば廃棄せざるをえません。
材料在庫の欠品により、製造リードタイムに大きな遅れが発生するケースもあるでしょう。 在庫データをリアルタイムで確認でき、使用期限が近い場合はアラートがあがり、関係者に情報を共有できる仕組みが必要です。
業務・データを見える化する
製造業の生産効率を高めるには、業務や生産ラインに関するデータなどの見える化が必要になります。 なぜなら、業務やデータの可視化によってカットすべき作業内容を見つけやすくするためです。
勤続年数の長いベテラン従業員の技術や作業手順は、これまでに現場で培った勘やコツによって蓄積されるものも多く含まれます。 データ化することによって、作業内容が現場に共有され効率化に期待がもてるだけではなく、技術の継承にも効果的です。
生産現場での情報共有だけではなく、CAD・開発など部門を越えたデータの共有がスムーズに行えるでしょう。
クラウドストレージ活用の注意点
クラウドストレージとは、どこからでも必要なときにアクセスして社内外のメンバーでファイルやフォルダを共有できるため、確認作業などが非常にスムーズです。 クラウドにストレージを持つ際の注意点について以下の3つを解説します。
- 情報漏えいリスクの管理問題
- バックアップデータの移行問題
- ファイルが削除される危険性
安全性や汎用性の高いクラウドストレージを活用しましょう。
情報漏えいリスクの管理問題
クラウドストレージに保存されたデータは、比較的安全なデータ管理・共有方法といえますが、インターネット経由でアクセス可能となるため、不正アクセスや情報漏洩のリスクは拭えません。 なぜなら、クラウドストレージは外部にデータを預けるため、不正アクセスによる氏名や生年月日、住所やメールアドレスなどの個人情報漏えいするリスクがあるからです。
情報が漏えいする主な原因は、不適切な利用や管理ミスの要因で漏えいすることや、サービスの脆弱性などが挙げられます。 サービスのセキュリティ内容とあわせて、社内で利用ルールの設定やリテラシーの向上に努める必要があるでしょう。 製造管理は閲覧できるが営業は閲覧できないなど、対象データに合わせた制限が必要です。
バックアップデータの移行問題
セキュリティを高めれば高めるほど、認証に時間をとられてしまうという懸念点もあります。 自社サーバ内で利用しているバックアップデータをクラウドストレージに移行することがほとんどです。
バックアップデータが膨大な場合、作業に時間がかかる他にトラブルなども想定されるでしょう。 クラウドストレージをバックアップ先として利用する際には、セキュリティ内容や利便性、なども考慮しておかなければいけません。
ファイルが削除される危険性
ファイルを削除してしまう可能性や上書きしてしまう可能性がある点に注意が必要です。 クラウドストレージは「同期」には非常に便利ですが、簡単にクラウドから削除されてしまうリスクがあります。
使用するストレージは削除したデータの復元が可能なのか、どのように復元できるのか、確認が必要です。 上書きに関しても、サービスによってバージョン管理を行っているのでデータの復元ができるものもあります。
リスクを理解し、使用するストレージは削除したデータを復元できるのか、バージョン管理は何代まで保存ができるのかなどを確認しておいてください。
まとめ
ツールなどの活用により、製造現場でムダを削減させるため、業務の効率化が図れ、労務費の削減に期待が持てます。 なかでもデータの確認作業に割く時間ほどムダなものはなく、このムダの排除によって大きな効果が得られるでしょう。
- データファイル保存場所が統一されていない
- 一部のメンバーしか情報が共有されていない
- 手順書などの共有はなく業務が属人的になっている
など、不満に感じている声を製造現場から聞いたことはありませんか。 ぜひ、この業務改善の実施によって、「生産効率を上げながら製造原価を抑える」仕組みを確立してみてはいかがでしょうか。
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ライター：藤原 アロー
製造業界での豊富な経験から、製造業界の「データ管理」「ファイル共有」に
まつわる課題や悩みを“現場のリアルな声”に照らし合わせ情報提供します。
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