ものづくり企業が価格競争に巻き込まれないためには?

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」ライターの東海林です。

いつの時代も製造業にとっての最大の悩みは価格競争です。日本のものづくり企業のうち、大企業における経営課題の第1位となっているのがグローバルな価格競争の激化です。

日本の高度成長を支えた製造業は次々と台頭する新興国との競争に晒され、生産拠点の海外シフトや事業からの撤退を余儀なくされてきました。かつて市場を席巻したmade in Japanはすっかり鳴りを潜め、いまや汎用レベルで戦える分野は日本にはほとんど残っていません。

日本のものづくり企業はどのような対策を講じれば価格競争に巻き込まれずに生き残れるのでしょうか。今回はものづくり企業における価格競争対策について検証してみます。

製造業が直面している経営課題

日本のモノづくり企業が抱える問題点について経済産業省の報告書があります。コロナ禍前では最新データとなる経済産業省の『ものづくり白書2020年版』(ものづくり現場が直面している経営課題)によると、我が国の製造業が経営課題として挙げた重点項目(複数回答)は大企業・中小企業とも次の4項目で共通しています。

価格競争の激化

大企業では43.0%(第1位)、中小企業では29.1%(第4位)が価格競争を経営課題として回答しています。あらゆる製品が水平分業で生産される製造業において価格競争には国境がなく、効率的な生産拠点を求めて世界を彷徨う巨大企業には国籍の概念さえ薄れつつあります。

高品質を武器にかつて世界を席巻していた日本産工業製品の多くが、中国などの新興勢の追い上げにより国内生産から撤退し、今では海外勢の傘下に納まった有名企業さえ存在します。その分野は汎用品から高付加価値製品へと徐々に広がりを見せており、国際的な価格競争に晒される範囲は日増しに大きくなっています。

人材不足

大企業では41.9%(第2位)、中小企業では42.2%(第2位)が人材不足を直面する課題としています。人材不足は全産業共通の課題であり、質と量の両面での対応が加速しています。

インターンシップの導入やワークライフバランスなどの労働環境の改善により人材確保を図る企業が増え(量の確保)、並行して現場の自動化やIT導入による生産性向上で人手不足をカバーしようとする動き(質の向上)が一段と強まっています。

今後の生産年齢人口の低減傾向を考慮すれば、国内企業の人材不足が解消される見込みは当面なく、人材確保に向けた企業の動きはさらに強まる可能性があります。

人材育成・能力開発が進まない

大企業では40.9%(第3位)、中小企業では42.8%(第1位)が人材育成や能力開発の進まない点を課題として認識しています。特に、大企業と比べて高度人材の確保が難しい中小企業では最大の経営課題となっており、この問題が人材不足と表裏一体であることがうかがえます。一方、企業側からは「育成しがいのある若い人材が少ない」とする厳しい声も聞こえてきました。研修プログラムの強化やデジタル化により従業員の能力向上を促進する動きが活発化しています。

原材料費や経費の増大

大企業では36.8%(第4位)、中小企業では32.1%(第3位)が原材料費や経費の増大を悩みのタネであると回答しました。その後のウクライナ戦争によりエネルギー価格や資材価格は一段と高騰しており、原材料費の上昇は更に大きな問題になっていると考えられます。

また、人材不足や働き方改革による労務コストの上昇、脱炭素など環境対応コストなどによる経費の増大は今後も続くことが予測されています。

価格競争対策

企業が直面している4つの重要課題は、いずれも従来から互いにリンクする関係にあります。人材不足の改善や高度人材の育成、製造コストの最適化はいずれも価格競争に対応するためのキーワードでもあるからです。生産性を高めるために解決すべき課題と言い換えることもできます。

ものづくり企業が価格競争に巻き込まれない絶対的な近道は、独自の技術やノウハウをもって他社が追随できない価値を生み出すことです。

一方、たとえ価格競争を仕掛けられてもカイゼンを続けて利益を出せる高い生産性を維持することや、サプライチェーンに関わる安全保障の枠組みの中で生き残る企業もあるでしょう。ここでは新たな価値を生み出そうとする企業の動向について調べてみました。

新たな価値の創造

商品開発

価格競争に巻き込まれないための確実な方法は、商品開発力を磨くことで市場に新たな価値を創造することです。

目まぐるしく変化する市場をモニタリング(調査)し、消費動向を分析することができれば消費者が求める新しい価値(ニーズ)が見えてきます。ものづくり企業は新たな価値を生むための計画を策定(企画・設計)し、実行に移します(開発・販売)。こうした一連の作業は、PDCAやカイゼンと同様、繰り返すことでより効果を発揮します。

「モノ消費」と「コト消費」

大切なことは製造技術やシステムの向上だけではなく、変化する市場のニーズを的確に拾い上げることです。

個人消費の市場ではSNSの主要ユーザーである若い世代を中心として、商品を購買・所有する「モノ消費」に起因する従来型の需要から、体験や経験に価値をおく「コト消費」から生まれる需要へと変化する傾向が見られます。秘境への旅行や有名レストランでの食事がこれに当たり、インスタ映えを求めることで発生したインスタ需要はまさに「コト消費」の代表例と言えます。

デジカメとスマートフォン

デジカメやスマートフォンを例とすれば、インスタ映えする映像をSNSで発信したいとする欲求を満たすための旅行や飲食は「コト消費」ですが、撮影・発信するためのツールであるデジカメやスマートフォンはものづくり企業にとっての「モノ消費」でもあります。

このように、ものづくり企業にとって「コト消費」と「モノ消費」は表裏の関係と言えます。従来は「モノ消費」からの視点が中心のため、より良い製品をより安く生産することが至上命題でしたが、「コト消費」を意識した製品開発では、商品が使われるシーンや消費者の感動をイメージすることが重要となります。

技術者がしばしば陥る『良いものを安く作れば売れる』とする「モノ消費」からの考えは「コト消費」の世界では当てはまりません。

開発過程の管理

企業にとって研究や開発作業は非常に秘匿性の高い工程です。従来型では技術スタッフが中心となり閉鎖的な空間で極秘裏に進められることの多かった開発ですが、「コト消費」視点からの開発や新たな価値を創造する過程では、(周辺の協力者も含めた)その企業だけが持つ独創性や気づき、蓄積されたノウハウが推進力となります。

こうした開発ではキーデバイスなどのハード的な技術スタッフだけではなく、できるだけ広範囲から多くの参加者を巻き込む必要があります。新たに開発する商品に『意味』を持たせ、その意味に価値があると消費者からの共感を得なければなりません。

こうした開発空間は秘匿性ゆえにクローズされているが多次元に大きく、参加者が常に情報共有できる状態を維持できることが最適です。

まとめ

市場に新たな価値を創造しようとする作業は、ものづくり企業が価格競争に巻き込まれないための有力な対策の一つです。商品開発の現場が従来の「モノ消費」の発想から「コト消費」へと移り、それにともなって開発現場も変化しつつあることが見えてきました。

ものづくり企業は開発工程の秘匿性を維持しながら、より大きな空間で多方面からの参加者による情報共有を図るためのプラットフォームを整備しなければなりません。場所も時間軸も異なるチームが一体感を保ちつつ工程を進めるためには、クラウドによる情報管理は有力なツールになり得ます。

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ライター:東海林

取材記者として約10年、建設会社の経営者及びコンサルタントとして約20年の経験を活かしてライターや企業コンサルとして活動中。幅広い分野への知見を持ち、特に建設業界に関する深い理解や洞察力により実用的な記事執筆を得意とする。

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