【製造業向け】機械化や大量生産の過程にある職人芸の伝承

こんにちは。「クロジカ大容量ファイル管理」製造業ライターの堀内です。

製造業では機械による自動化やデジタル化が進んでいます。しかし一方で、職人や熟練技術者が担う役割も依然として大きく、彼らの職人芸や技能をいかに次の世代に残していくかが課題でもあります。

特に中小企業においては、若手人材の育成や社員の高齢化に悩む場合も多いのではないでしょうか。本記事では、製造業で技能継承が重要な背景と進まない理由などを考え、その解決策を解説します。

技能継承とは

技能継承とは、職人やベテラン社員が持つスキルや知識を若手社員といった次の世代に受け継いでいくことを指します。

そもそも技能とは、職人がこれまで培ってきた勘や経験といった目に見えないものに支えられたものであり、このようなコツやノウハウといった言語化できない知恵を「暗黙知」と言います。対して客観的に言語化された知恵は「形式知」となります。

技能継承では、職人やベテラン社員が持つ暗黙知をできる限り形式知化することが大切です。とはいえ、職人が持つノウハウを言葉で表現し、受け継いでいくのは簡単ではありません。マニュアルを工夫したりOJT教育なども組み合わせたりしながら、全社的に若手社員に技能を継承する体制が必要となります。

製造業で技能継承が重要な背景

製造業では機械化やデジタル化が進んだことにより、品質が同じ製品を大量に作り出すことが可能になりました。ただ、消費者が思わず手に取ってしまいたくなるような製品を生み出すには、職人の高い技能や細部へのこだわりが必要でもあります。

たとえば新潟県にある燕三条という地域は金属加工業の集積地であり、ものづくりの町としても有名です。金属洋食器においては国内シェアの9割を占めており、職人が生み出すこだわりの商品に多くのファンがいます。

その燕三条では今、職人の高齢化や担い手不足が深刻化しており、金属加工を支える研磨などの技能が消えてしまう危機に直面しています。しかしそれは燕三条だけの問題ではなく、多くの製造企業が抱えている問題でもあります。

経済産業省の2023年版『ものづくり白書』によると、2022年の製造業の若年就業者数は255万人で、2002年の384万人から減少傾向が続いています。一方で65歳以上の高齢社員の割合は増加傾向にあり、製造業全体の8.6%です。

製造業全体で高齢化が進んでおり、若手人材の確保が難しいという現状がデータからも見て取れます。そのため、若手人材にいかに職人が持つ技能を継承し、伝統芸を守っていくかが今までにも増して重要となっているのです。

参考資料:2023年版『ものづくり白書』

技能継承が進まない問題点

職人やベテラン社員が持つ技能を受け継いでいくことは重要ですが、うまくいかない企業も多いものです。では、技能継承をはばむ問題には何が挙げられるでしょうか。

若手への教育体制に問題がある

若手人材への教育に問題があれば、ベテラン社員の持つコツやノウハウを十分に伝え切るのは難しくなります。ひと昔前は「仕事は見て盗むもの」といった考え方があり、ベテラン社員の中には教育に対して消極的だったりもします。

OJTで教育をするにしても、ベテラン社員が仕事の手を止めて教えるような体制になっていると、教育する側の負担が大きくなります。教育体制が整っていない企業は教え方も人それぞれになってしまうため、若手人材が必要な技能を習得できず、技能継承をさらに難しくするのです。

マニュアル化するのが難しい

言葉にできない暗黙知が多い製造業の業務は、そもそも教えることが難しい側面があります。

たとえば汎用旋盤を使っての金属加工は、扱う金属部品によって加工方法を細かく調整する必要があり、そのような細かいコツやノウハウをすべてマニュアルに落とし込むのは簡単ではありません。

紙のマニュアルが活用されていない

マニュアルがある現場でも、十分に活用されていない場合もあります。紙のマニュアルを使っている企業も多いと思いますが、保管場所が散らばっていたり現場から遠かったりするとすぐに確認することができません。

また、マニュアルを一度作ったら何年も更新せずにそのままといったケースもあります。作業手順を定期的に見直す場合もあるため、マニュアルが古いバージョンだと確認する意味はなく、次第にマニュアルがあっても活用されない事態に陥ります。

技能継承を進める解決策

技能継承を難しくする問題を見てきましたが、それを解決する方法をいくつか提示します。

社内の教育体制を整える

まず、若手人材への技能継承を職人やベテラン社員だけに任せず、社を挙げて取り組むことが重要です。ベテラン社員が持つ技能を客観的にクラス分けして、若手社員の職位や習熟度に応じて次に目指すべきクラスを定める、などモチベーションをアップさせるような人材育成も効果があるでしょう。

もちろん教える側への教育も必要であり、OJTの進め方やマニュアルの作成方法などを習熟する機会を設けるとよいでしょう。会社が教育に力を入れることで、若手社員の定着率もアップし、より技能継承が進みやすくなります。

動画でマニュアルを作成する

技能継承を進めるものとして、動画マニュアルも効果的です。先述したようにモノづくりの現場では言葉にしにくい暗黙知が多くあるため、文字でマニュアルを作成するのは難しいものです。しかし、職人やベテラン社員の仕事ぶりを動画としておさめれば、言葉で伝えきれない細かい動きなどが視覚的に分かります。

もちろん言語化されたマニュアルも必要ではありますが、それを補うように動画マニュアルを作成しておくと、作業手順が一目で分かるためイメージトレーニングができるようになります。

クラウドストレージを活用する

技能継承を進めるものとして、クラウドストレージを活用する方法もあります。クラウドストレージとは、クラウド上にファイルを保存でき、インターネットにつながるデバイスであればどこからでも共有できるものです。

たとえばクラウドストレージに動画マニュアルを保存しておくと、現場にあるタブレット端末からすぐにマニュアルを見ることができます。また、マニュアルごとにバージョン管理が可能になるため、最新のマニュアルはどれか、作業手順が更新されていないマニュアルはどれか、などがすぐに分かるようになります。

クラウドストレージを活用して技能継承を進めよう

機械化やデジタル化が進む現代だからこそ、職人が生み出すこだわりの製品に魅力を感じる方が多くいます。また、消費者ニーズの多様化やグローバル化により、モノづくりに求められるものも複雑化・高度化しており、より高い技能が必要になっています。

しかし、若手社員に職人やベテラン社員が持つ技能を受け継ぐことに苦労している企業も多いのが現状です。

技能継承を円滑に進めるためには、全社的に教育体制を整えることや、文字や写真だけのマニュアルだけでなく動画のマニュアルを作成する、クラウドストレージを活用する、といった方法が効果的です。

中でもクラウドストレージを活用してマニュアルを管理すると、共有が簡単になるため、マニュアルを確認しながら技能を習得する機会が多くなります。そのため、マニュアルの重要性にも気づくことができ、さらに良いマニュアルが作られるなどの好循環が社内で生まれやすくなるでしょう。

製造業でのファイル管理に「クロジカ大容量ファイル管理」

「クロジカ大容量ファイル管理」は、広範囲において膨大なデータや情報を扱う製造業において、データ管理の"はじめの一歩" となるサービスです。

「クロジカ大容量ファイル管理」は初期構築費用を無料でスタートすることができます。
さらにマルチデバイス対応なので、タブレットからスマートフォン、PCからスマートフォンなどデバイスをまたいでデータ交換が可能です。また、プロジェクト単位でフォルダ分けして、部署間を超えたファイル連携や取引先とのデータ共有など、利用者数に合わせたプラン選択ができます。

簡単に導入でき、安心安全で利便性の高い機能を備えています。
ファイル管理でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

ライター:堀内 孝浩

食品会社にて工程管理や設備管理、製造オペレーターを約7年経験。
製造業における生産性向上・コスト削減・DXなど幅広い領域で現場感に基づいた実用的な情報を提供します。

大容量ファイル管理クラウドでかんたんに

大容量ファイルをクラウドでセキュアに クロジカガイドブック

無料ではじめる大容量ファイル管理
クロジカガイドブック

「クロジカ大容量ファイル管理」の詳しい内容がわかる資料をご用意しました。
  • 大容量ファイル管理の課題を解決
    • 大容量のクラウド移行
    • 大容量のデータ共有
    • データ保護
  • クロジカ大容量ファイル管理の主な機能

詳しい資料をご覧いただけます

クロジカ大容量ファイル管理のサービス内容を記載した資料をダウンロードできます。
クロジカの機能や事例が分かる
資料ダウンロード