こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
皆さんは、「2025年の崖」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「2025年の崖」は、2018年に経済産業省のDXレポートで発表されており、「2025年に企業の既存ITシステムが老朽化することでレガシーシステムとなり、これらのシステムがDX推進の妨げをし、市場競争に負ける状況が生まれる」とされています。このような状況下で、企業はITシステムやITインフラのDX化を推進し、時代の変化に柔軟且つ迅速に対応することが求められています。
今回は、クラウド化の第一歩である「ハイブリッドクラウド」について、既存のオンプレミス環境やクラウドの特徴を踏まえながら解説していきます。
ハイブリッドクラウドとは
ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド・オンプレミス型プライベートクラウド・ホスティング型プライベートクラウドから2つ以上を組み合わせたITインフラ環境のことを指します。それぞれ見ていきましょう。
パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、AWS(Amazon Web Service)やMicrosoft Azureなどの外部のクラウドプロバイダーが用意した環境を、他の利用者と共同利用する手法です。既に用意されたサーバーを利用するため、構築スピードが早く、手軽に構築ができます。また、システム負荷に応じてサーバーのスペックを簡単に変更が可能な拡張性というメリットもあります。しかし、従量課金制のためコストが見えづらい、セキュリティ面のリスクなどのデメリットもあります。
▼各クラウドサービスの違いについての解説記事はコチラ
AWS、Azure、GoogleCloudの違いをわかりやすく解説
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、オンプレミス型とホスティング型に分けられます。
オンプレミス型プライベートクラウド
オンプレミスとは、英語の「On the premises」から来ており、企業のオフィス内にサーバーを設置している環境を指します。従来は一般的な管理方法でしたが、クラウド環境の普及に伴いオンプレミスと呼ばれるようになりました。自社内にサーバーが設置されているため、セキュリティのコントロールがし易いメリットがあります。しかし、物理的なサーバーセキュリティや電気設備のメンテナンスが必要というデメリットもあります。
ホスティング型プライベートクラウド
ホスティング型プライベートクラウドとは、クラウド事業者が提供するクラウドサービスを、自社専用で利用する形態を指します。オンプレミス型よりも早く構築が可能で、パブリッククラウドよりも安全性が高い特徴があります。しかし、専用利用するためコストが高いというデメリットがあります。
ハイブリッドクラウドのメリット
次に、ハイブリッドクラウドのメリットを見ていきましょう。ここでは、オンプレミス環境とパブリッククラウドを利用したハイブリッドクラウドを前提としてご紹介します。
オンプレミス・クラウドの「良いとこどり」
ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスとクラウド環境の良いとこどりが可能です。
例えば、企業内で個人情報などを取り扱うセキュリティが必要なシステムはオンプレミスに、セキュリティレベルの低いシステムや負荷変動が激しいシステムはクラウドに構築することができるなど、最適な環境を構築できます。
オンプレミスに戻す or クラウド移行の判断ができる
ハイブリッドクラウドの運用期間を、クラウド移行の判断期間としても利用できます。オンプレミス環境とクラウド環境では、サービスの考え方やそれに対する業務方法も異なります。自社システムを完全にクラウド移行するには沢山のコストと期間が必要です。
また、自社のサービスや組織とクラウドが合わなかった場合、クラウドからオンプレミス環境に戻すにもさらにコストが掛かります。自社のシステムの一部のみをクラウドに移行して、実際の費用や運用フローを確認し、今後の運用形態の判断材料としましょう。
▼オンプレミスからクラウド環境に移行する際の注意点についてはコチラ
ホームページのサーバーを、オンプレミスからクラウドへ移行すると何が変わるのか
ハイブリッドクラウドのデメリット
ハイブリッドクラウドはオンプレミスとクラウド環境の良いとこどりができますが、デメリットもあります。ここでは、ハイブリッドクラウドのデメリットをご紹介します。
システム・ネットワークが複雑になる
ハイブリッドクラウドは複数の環境を組み合わせるため、システムやネットワークが複雑になります。これは、社内ネットワーク・オンプレミス環境・クラウド環境のそれぞれに接続性やセキュアなデータの移送が必要となるためです。適切な管理が行われない場合、セキュリティリスクやパフォーマンス低下の原因となってしまいます。
担当者の学習コストが発生する
クラウドを導入するに伴い、担当者のトレーニングや教育が必要です。また、クラウドだけでなく既存のオンプレミス環境も並行して運用するため担当社員の負担はこれまで以上に上がってしまいます。全て自社内でハイブリッドクラウドを構築する場合は、メンバーの増員をおすすめします。
ハイブリッドクラウドの導入・活用方法
最後に、ハイブリッドクラウドの導入・活用方法をご紹介します。
ハイブリッドクラウドの導入方法
ハイブリッドクラウドを導入する場合は、大まかに下記の手順が必要です。
1.クラウドサービスのアカウント作成
クラウドサービスのアカウントを作成します。基本的に無料で作成が可能ですが、クラウドプロバイダー公式のサポートが必要な場合は年額費用が発生します。
2.自社とクラウド間の接続設定
社内やオンプレミス環境サーバーとの接続設定を行います。インターネット接続や専用線接続、VPN接続など、システムのセキュリティ要件にあった接続が可能です。
3.インフラ構築・セキュリティ対策
クラウド環境内にインフラ構築・セキュリティ対策を実施します。クラウドサービスはWAF(Web Application Firewall)や暗号化など様々なセキュリティ対策を簡単に導入できます。自社に合った適切なセキュリティ対策を実施しましょう。
ハイブリッドクラウドの活用方法
ハイブリッドクラウドの活用方法をご紹介します。
総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は68.7%であり、その内87.1%の企業がクラウドに対して効果があったと回答しています。
ハイブリッドクラウドの利用方法としては、1位にファイル保管・データ共有、2位電子メール、3位が社内情報共有・ポータルとなっています。これは、ファイル保管や電子メールはクラウドへの移行が簡単にできることから、移行の第一歩の方法として活用しているようです。
他にも、営業先や出張先などの社外環境からの接続のし易さなどから上記の利用方法が選択されています。上記以外にも、オンプレミス環境だけでは実現できない、データのバックアップや災害復旧の際にも、ハイブリッドクラウドは有効な手段となります。
ハイブリッドクラウド導入のご相談は「クロジカサーバー管理」へ
ハイブリッドクラウドの導入には多くの知識と経験が必要となります。また、自社の身でハイブリッドクラウドの構築をする場合はメンバーの増員が必要になります。安全・安心なハイブリッドクラウド環境を構築するためにも、専門の外部企業に設計・導入の相談をおすすめします。
「クロジカサーバー管理」では、ハイブリッドクラウド導入に関するコンサルティングやサポートサービスを提供しています。お客様のビジネスに最適なハイブリッドクラウド環境の構築と運用をお手伝いいたします。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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