
こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
工事現場では、リーダーである現場監督者の力量によって、結果の良し悪しが決まるといってよいでしょう。それほど、組織の目標の達成には現場監督者の力がものをいうのです。
力量のある現場監督者であれば、作業員や職人を的確に指揮して、予定の工期までに現場を満足のいく内容で完成させることができるでしょう。
本記事では、働き方改革やアフターコロナといった、ニューノーマル時代の現場監督者を支えるコミュニケーションツールの導入にはどのような視点が必要か、見ていきたいと思います。
目次
現場監督者に求められるスキルとは
現場監督に求められる主要な能力として以下の4つがあげられます。
- コミュニケーション能力
- タスク管理能力
- リスク管理能力
- 先を見通す力
これらの能力とは、工事現場においては、具体的にどのようなことを指すのか、解説していきたいと思います。
コミュニケーション能力
現場監督者が主として接することになる相手は、現場の作業員や職人ですから、彼らと良好な人間関係を築けるような、「コミュニケーション能力」が重要になります。
現場監督者は、作業員や職人を監督する立場にありますが、最も良くないコミュニケーションの取り方は「上から目線」です。直接の部下ではないわけですから、決して横柄な態度で接してはいけません。むしろ、同じ建築物を作っている「仲間」「同志」として、敬意を持って接するよう心がけましょう。
そして、さらには感謝の気持ちを伝えることが大切です。仕事なのだからやるのが当たり前、というのではなく、「タイトな納期の中、ありがとうございました。」「丁寧な仕事ぶりに、感謝しています。」というように、感謝とねぎらいの気持ちを伝えるようにしましょう。
食事や飲み会の場をともにすることで、同じ釜の飯を食った仲間、という意識をもってもらうことも、より深いコミュニケーションにつながります。
タスク管理能力
現場監督者の業務は多岐にわたっており、現場の進捗管理や作業員・職人への指示はもちろん、現場の予算管理や施主との調整など、様々な内容を平行してこなさなければなりません。このように、同時にいくつもの作業を進めるスキル「タスク管理能力」が効率的に工事を進めるためには必要な力です。
とはいえ、多忙な業務の中で、どうしても漏れや抜けが生じてしまうこともありますので、現場監督者のマルチタスクをサポートする意味合いで、見積書の作成から工期・予算管理まで自動的に行うことができる支援システムを活用することも有効です。
リスク管理能力
工事現場において、トラブルの発生はつきものですが、トラブルが発生した時、いかに迅速かつ適切な対応をすることができるかが、明暗を分けます。現場監督者に求められるのが、このトラブル等に対応できる「リスク管理能力」です。
ひとくちにトラブルといっても、工事上の事故から、近隣からの騒音や煤塵への苦情、資材の発注ミスや設計・図面との相違などによる工程の遅れ、行政への届け出の不備など、実にいろいろなものがあります。
こうしたトラブルへの対処はできるだけ素早く動くことが肝要で、対応の遅れは事態の悪化につながります。すぐに上司や会社と相談し、組織的に対応することが重要です。
こうしたトラブルは、不可抗力な部分もありますが、えてして現場監督者の目が行き届かないところで発生しがちです。現場全体の動きを把握し見落としを防ぐため、工程管理ソフトを活用することも、トラブルを減らすひとつの方法です。
洞察力
工事現場におけるトラブルを未然に防ぐためには、どのようなトラブルが予想されるかを想定して、前もって備えておくことが必要であり、現場監督者には、この「洞察力」も求められます。
しかし、起こりうるトラブルを想定するためには、やはりそれなりの現場経験も必要で、机上で考えただけでは想定することが難しいものです。
ひとつの方法としては、これまでの現場経験の中で、様々なトラブルに対処してきた、上司、先輩に教えを請うことが考えられます。上司や先輩が経験してきた、トラブルの内容と対処方法を聞き出し、ナレッジとしてデータベース化しておくことも有効なやりかたです。
工事現場の作業をスムーズに進めるための留意点
ここからは、工事現場において作業をスムーズに進めていくために、留意すべき点を紹介していきます。
作業員・職人への明確な指示
現場監督者が指示を出す相手は、長年の経験をもつベテランの作業員や職人の場合、細かく指示をするのがためらわれる、ということもあるのではないでしょうか。しかし、「ベテランの職人さんだから、言わなくてもわかるだろう。」「作業手順は、このようにするのが常識だから言う必要は無い。」という、思い込みによる指示不足が、思いがけないトラブルにつながるかも知れません。
相手が誰であろうと、必要な指示や注意事項は明確に伝えるべきです。その際は、できるだけ5W1H(なぜ・いつ・だれが・なにを・どのように・どうする)を意識して話すことで、曖昧さがなくなりはっきりと伝わります。
できれば、口頭だけではなく書面にして渡したり掲示することで、「そんなこと聞いていない」という責任問題になるようなトラブルを防ぐことにもつながります。
職場環境の見直し
現場監督者の大切な仕事のひとつが、作業員や職人が気持ちよく働ける現場環境をつくることです。不満やストレスの多い仕事場では、モチベーションや集中力も下がり、思わぬ事故にもつながりません。そのためには、特に、人員配置、人間関係、環境整備への気配りが大切です。
・人員配置
作業員や職人の能力を考慮して適切な内容の業務につけることや、人格を尊重した役職や配置とすることが大切です。不適切な業務、役職につけることは不満を募らせるもとになります。
・人間関係
仕事上の悩みやストレスのもとは、多くは人間関係にあり、我慢して仕事をさせることは何のメリットもありません。作業員同志・職人同志でも、性格の合う、合わないはありますので、よく気をつけて人員配置をするとともに、問題があれば適切にフォローしましょう。
主体性を持つ
工事現場では、年上の作業員や職人に対して指示をすることも多いと思いますが、あくまで現場のリーダーは現場監督者ですし、最終的な責任を負うわけですから、その自覚をもって堂々と振る舞うことが肝要です。
もちろん、作業員や職人はベテランなのですから、知識も経験も彼らの方が上です。当然、彼らの豊富な知識や経験に学ぶ姿勢と敬意をもって接することが必要ですが、現場監督者が仕事に対する熱意と自信をもって取り組まなければ、彼らはついてきてくれないでしょう。
ITツールの導入事例
このような工事現場を抱えるある建設会社では、現場を含む職場全体の働き方改革のあり方を模索してきました。そして、計画段階から働き方改革のひとつの方向性として、フリーアドレスの採用や、テレワークの導入を検討してきました。
その際、従来型のクライアントサーバー型のシステムでは社屋のレイアウトやサーバー容量の点でもネックとなることから、クラウド型のシステムであるITツールを採用したのです。
業務改善効果
X社では、ITツールを取り入れたことで、業務の無駄を省くことができたことはもちろん、業務に関連する様々なサブシステムを一元管理できたことで、大幅に業務の効率化が図られました。
その一方で、工事関係の業務などにおいては、紙伝票を扱うことが多いため、オフィスを離れて仕事を行うことが難しく、せっかくのクラウド化のメリットが十分発揮できていない、という課題が浮き彫りになりました。
そこで、さらなる業務改善にむけて、紙伝票の最も多い工事関係の業務を一から洗い直すことにしたのです。
業務フローの見直しによる業務効率化
最初に行ったのは、工事現場の業務フローの見直しです。例えば、電気設備工事であれば、テレビ新規工事、テレビ撤去工事、ネット新規工事というように工事種別を列挙し、それぞれに業務のフローを作成しました。
業務フローについても、できるだけ手順を細分化し、それぞれの手順毎に、システムの入力を誰が行い、伝票がどのように流れていくのかを明確化しました。
その上で、どの伝票をペーパーレス化できるのか、どの作業をシステム化すればいいのかを決定し、あわせてITツール上での運用がしやすいよう業務フローの見直しも行いました。
その結果、作業効率はもちろん、紙・印刷などの事務用品のコストカットに加えて、資料の置き場所となっていた保管コストも一切なくなりました。なにより、オフィス業務に関わる労力が少なくなり、お客様とのコミュニケーションや休暇の時間に充てることができ、売り上げの向上と従業員の働きかた改革に繋がりました。
まとめ
ここまで、現場監督者に求められるスキルと、リフォーム建設現場を支えるITツールについて紹介してきました。建設業は従事する労働者も非常に多く、建設投資市場も極めて大きいことから、日本の経済、雇用においてこれからも重要な位置を占め続けるでしょう。
従って、建設業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展は、建設業界のみならず他業種を含む日本の社会全体にとって大きな意味を持つでしょう。
建設業において活用が期待されるデジタルツールは、様々なものがあり今後もどんどん広がっていくでしょう。
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