
こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
自治体では、他の自治体や政府との契約や地域の企業との契約など、さまざまな契約が発生します。従来の紙媒体でのやり取りも多く、スムーズに連携を取ることが難しいと感じる自治体も増えてきたのではないでしょうか。
文書の電子化が進むにつれて、契約という作業もデジタル化されてきています。その波に乗り遅れないようにするには、契約管理システムの導入を検討する必要があるでしょう。
この記事では、
- 契約管理システムとはなにか
- 自治体が抱えている契約管理の課題
- 契約管理システムを導入することのメリットや注意点、手順
をご紹介します。オススメのシステムもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
契約管理システムとは

契約管理システムは、組織が大切な契約を簡単に管理するためのツールです。たとえば、取引先との取り決めや提携契約など、ビジネスに関わるさまざまな契約を一元的に管理できます。
このシステムにより、契約文書をデジタル化し、重要な日付や期限を自動でリマインドすることが可能です。また、契約の変更履歴や異なるバージョンも追跡し、過去の情報に簡単にアクセスできます。
さらに、クラウドベースで提供されることが多く、インターネットを通じてどこからでもアクセスできるので、リモートワークにも便利です。煩雑な手作業を削減し、契約の透明性や効率を向上させるのに役立つ、重要なビジネスツールといえます。
企業でも積極的に導入が進められているので、自治体でも契約管理システムの導入を検討していく必要があるかもしれません。契約管理システムの導入を検討する前に、自治体の抱えている契約管理における課題について洗い出してみましょう。
自治体の契約管理における課題
自治体の契約管理における課題は多岐にわたります。4つの主な課題を挙げてみましょう。
情報の分散と整理が難しい
情報の分散は、
- 契約内容
- 期限
- 関係者の連絡先
などの重要な情報を把握する際に問題を引き起こします。たとえば、ある部門が締結した契約の詳細を別の部門が把握していない場合、情報の不足や誤解が生じ、契約違反やコンプライアンスのリスクが高まります。
また、契約の種類や更新日程が多岐にわたるため、手作業で情報を整理するのは非効率的です。紙文書の場合、保管スペースの問題や文書の紛失も懸念されます。デジタル文書でも、適切なファイル構造やタグ付けが行われていないと、必要な情報を見つけるのが難しくなるでしょう。
このような情報の分散と整理の難しさは、契約の透明性や効率を低下させる要因となります。さらに、部門間でのコミュニケーションが不足している場合、重要な契約の変更や更新が見過ごされる可能性があるかもしれません。
手作業は期限の見逃しが発生しやすい
自治体における契約管理において、契約期限の見逃しは重大な課題です。多くの契約には期限が設定されており、遵守しないと契約違反や法的な問題が生じる可能性があります。
手動で期限を管理する場合、期限が近づいている契約を見逃すリスクが高まります。とくに自治体では多岐にわたる業務が行われており、契約期限の把握が難しいことがあるでしょう。また、期限の異なる契約が複数存在するため、誤って期限を設定し忘れたり、期限切れの契約を放置する可能性があるかもしれません。
期限の見逃しは、契約違反や更新の遅れなどのリスクを増大させます。契約違反は法的な問題や損害賠償請求の原因となるほか、信頼性や評判にも悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。また、契約の更新を見落とすと、必要なサービスや提携が途絶える可能性があり、業務に支障をきたすことも考えられます。
文書の保管とアクセスが難しい
紙文書の場合、大量の契約文書を整理・保管するスペースが必要です。文書の紛失や劣化、環境への影響も懸念されます。デジタル化はこれらの問題を軽減しますが、デジタル文書の保管にも適切なシステムやストレージが必要です。
契約文書へのアクセスも課題です。従来のファイリングシステムでは必要な情報を見つけるのに時間がかかり、誤ったファイルにアクセスする可能性もありました。デジタル文書でも、適切なファイル名やタグが付与されていないと、情報の探索が難しくなります。
さらに、文書のアクセス権限の管理も重要です。一部の文書は機密性が高く、特定の人だけがアクセスできるようにする必要があります。ただし、適切なアクセス制御が行われていないと、情報漏洩や不正アクセスのリスクが生じるかもしれません。
変更履歴の管理が難しい
自治体の契約管理において、契約の変更履歴の不透明さは深刻な課題です。従来の紙媒体の契約では、契約に変更が加えられた場合、誰が、いつ、どのように変更したのかを正確に追跡することは困難で、不透明さが生じてしまいます。
変更履歴の不透明さはトラブルになるリスクを高めます。契約の内容や条件が曖昧なまま進行すると、関係者間での意見の不一致や誤解が生じ、最悪の場合は法的な争いの原因となる可能性があるでしょう。
変更履歴が十分に記録されていないと、過去の取り決めや合意が証拠不足になる可能性もあります。紛争解決や法的な手続きにおいて、不利な状況を招くことがあるかもしれません。
自治体が契約管理システムを導入するメリットは?

自治体が契約管理システムを導入するメリットは多岐にわたります。このシステムは、自治体が契約関連業務をより効率的に遂行し、透明性やコンプライアンスを向上させる手段です。
たとえば、契約管理システムを導入することで、契約の期限や重要な日付を自動的にリマインダーで通知し、締結や更新を見逃すリスクを軽減します。また、デジタル化によって契約文書の検索やアクセスが簡便となり、情報共有の円滑化が可能です。
さらに、バージョン管理と履歴機能により、契約の変更履歴が追跡され、紛争解決や監査対応がスムーズに行えるようになります。導入によって、人為的ミスを削減し、組織全体の生産性向上に寄与するでしょう。
最も重要なのは、契約管理システムが情報のセキュリティ確保やプライバシーの保護を支援するため、地域住民の信頼を築く手助けになる点です。全体として、自治体が契約管理システムを導入することで、透明で効率的な契約運用が実現し、住民サービスの向上に寄与することが期待されます。
自治体が契約管理システムを導入する際の注意点
契約管理システムを導入する際の注意点はいくつかあります。ここでは2つの注意点についてご紹介します。
ユーザーが使いやすいシステムでなければいけない
導入する契約管理システムは、使用する担当者の方が使いやすいものでなければいけません。ユーザーに使ってもらってはじめて効果が出てきます。使いにくいからといって連絡をメールで送ったり、紙に書いたりしてしまうと、せっかく管理システムを導入してもメリットを最大限得ることが難しくなります。
自治体の職員の中には、PCやスマホなどの操作が苦手な方もいるでしょう。そのため、全員が使えるようなデザインのシステムであることに加えて、研修を組んだり、マニュアルを作成したりという対策も必要です。
セキュリティ対策が万全か確認する
自治体が管理している契約には、多くの個人情報や機密情報が含まれています。情報が流出してしまうと、大きなトラブルとなってしまいます。そのため、契約管理システムのセキュリティ対策がどうなっているのかは非常に注意しなければいけません。
たとえば、データへアクセスできるかどうかの権限を設定できるのか、何か誤りを修正する際は上長の承認が必要であるかなど、必要な機能が提供されているシステムかどうかをしっかりと調査しましょう。
契約管理システムを導入する手順は?

実際に契約管理システムを導入する手順について、ご紹介します。効果的な契約管理システムの導入を進めるための手順となるので、ぜひ参考にしてみてください。
契約管理のニーズと目標を決める
最初に、組織の契約管理におけるニーズと目標を特定します。
- 契約数
- 種類
- ワークフロー
- セキュリティ要件
などを明確にし、システムの導入計画を策定してください。
システムを選定する
市場調査を行い、複数の契約管理システムを比較検討します。ニーズに合った機能、カスタマイズ性、セキュリティ、サポートなどを考慮して選定してください。
実際に使うことになるユーザーの意見を取り入れる
実際のユーザー(契約管理担当者や管理職)の意見を集め、システム選定に関与させます。使いやすさや必要な機能を確認し、ユーザビリティを重視してください。
システムをカスタマイズする
選定したシステムを組織のニーズに合わせてカスタマイズします。
- 契約の種類
- ワークフロー
- アクセス権
などを設定し、システムを組織に適合させてください。
既存のデータを移行し、ユーザーのトレーニングを始める
既存の契約データを新しいシステムに移行します。同時に、ユーザーにシステムのトレーニングを行い、基本的な操作方法や機能を理解を進めてください。
スモールスタートする
導入前に一部の契約を対象にスモールスタートで導入を進めていきます。システムが契約管理の実際の業務に適合するかを確認し、必要に応じて調整を行ってください。
本格的に導入しユーザーをサポートする
システムを本格的に導入します。ユーザーが問題なくシステムを利用できるよう、初期段階からサポートしてください。
システム運用による改善を行う
システムの運用を開始し、ユーザーのフィードバックやシステムの利用状況をモニタリングします。必要に応じて改善やアップデートを行い、継続的な最適化を図ってください。
システムの導入効果を定期的に評価し、契約業務の効率化やリスク軽減が達成されているかを確認します。必要に応じてプロセスやシステムの改善を行ってください。
自治体にオススメの契約管理システム【2選】
ここでは、自治体にオススメの契約管理システムを2つご紹介します。システムを選定する際の参考にしてみてください。
LegalForceキャビネ
LegalForceキャビネは、株式会社LegalOn Technologiesが2021年1月に提供をはじめた契約管理システムです。特徴としては、
- アップロードするだけで契約書をデータ化
- キーワード検索で必要な契約書を瞬時に発見
- 自動リマインドで期限がすぎるのを防止
が挙げられます。
AIを取り入れて契約書をデータ化できるため、人の手で入力する時間と手間を削減できます。また、キーワード検索は契約書のファイル名だけでなく、全文検索が可能となっており、探したい契約書をすぐに見つけることが可能です。自動リマインド機能もついているため、対応期限に気づかず見逃してしまうことも防げるでしょう。
一方で、AIでの契約書のデータ化は完璧ではない部分もあり、手作業で修正が必要な場合があるといった口コミもあります。すべてを手作業で行うよりも時間を削減でき、ヒューマンエラーが発生するリスクも抑えられるでしょう。
ContractS CLM
ContractS CLMは、ContractS株式会社が2017年8月に提供を開始したシステムです。特徴としては、
- 契約の一連の作業をトータル管理できる
- 関連業務も含むワークフローを管理できる
- 社内のナレッジも管理できる
が挙げられます。
ContractS CLMは、契約書というものだけを管理するものではなく、一連の作業を管理できるため、効率的に作業を進められます。テンプレートなども登録できるため、作業時間の削減も可能です。
また、契約の流れ以外で発生する関連業務なども含めて、ワークフローを管理でき、関連部署とのやり取りも簡単に行えます。顧客から相談された内容や社内で決まった内容などもナレッジとして管理できるので、疑問が生じても検索すれば解決できる環境を整えられるでしょう。
ただし、これだけの機能がついているため他社と比較すると少々高い値段設定となっており、無料のトライアル期間もありません。機能としては非常に十分なシステムであるため、しっかりと活用できるかどうかを慎重に検討するようにしましょう。
まとめ|自治体で契約管理システムを導入して、作業をデジタル化
いかがでしたか。この記事では、
- 契約管理システムとはなにか
- 自治体が抱えている契約管理の課題
- 契約管理システムを導入することのメリットや注意点、手順
をご紹介しました。
課題の多い自治体の契約管理ですが、契約管理システムを導入することで、それらの課題を解決できます。ぜひ契約管理システムの導入を検討していきましょう。
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