
こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
SDG's(持続可能な開発目標)が提唱されてから、一層注目されているのが「ペーパーレス化」です。ペーパーレス化は、17個ある目標のうち下記の2つの目標を満たすことができると言われています。
- 8番:働きがいも経済成長も
- 12番:つくる責任つかう責任
2030年までに達成することを目指して立てられたSDG’sを達成するためには、ペーパーレス化が必要不可欠なのです。しかし、自治体では従来の紙を使った業務を進めているところが、まだ多くあることも現実です。
この記事では、紙を用いた業務の抱えている課題を確認して、ペーパーレス化を進めるメリットやその方法についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
自治体の紙を用いる業務の抱える課題

自治体がペーパーレス化を目指す際に、紙を用いる業務が抱える主な課題としては、次の3つが挙げられます。
環境への影響
紙の大量使用は、森林伐採といった自然環境に大きな負荷をかけてしまいます。紙の生産過程において、木材の伐採、輸送、パルプ化、印刷などが環境に悪影響を及ぼします。
また、印刷に使用されるインクや化学物質も汚染源となります。持続可能性を考える観点から、紙の使用を削減する必要があり、紙を利用する際にはリサイクルや再生紙の利用なども検討しなければなりません。
データの保護とセキュリティ
紙文書はデジタルデータよりもセキュリティの脆弱性が高いことがあります。盗難や紛失、不正アクセスが発生しやすく、機密情報や個人情報が漏れるリスクがあるため、適切な管理とセキュリティ対策が必要です。
コストと効率性
紙文書の処理には印刷、郵送、ファイリング、保管などのコストがかかります。また、紙文書は検索や共有がデジタルデータに比べて、効率的ではありません。紙文書では、知りたい情報を探す時に目視で確認しなければなりませんし、複数人で確認する場合はその人数分印刷をしなければなりません。
ペーパーレス化すると自治体の業務はどう変わる?
ペーパーレス化を行うことで、自治体の業務は大きく変わる可能性があります。ここでは、4つのポイントについて、ご紹介します。
業務効率の向上
ペーパーレス化を進めることで、業務効率を向上させることができます。デジタルデータであれば、非常な情報を検索してすぐに見つけることができます。また、データベース上にあるデータは、複数人で同時に編集することもできます。
デジタルデータであれば、他のツールと連携することもできるため、さらに業務効率を高めることもできるでしょう。市民からのアンケートなどもデータであれば、すぐに集計・分析することもでき、手作業で打ち込む手間も削減することができます。
遠隔ワークの推進
ペーパーレス化は遠隔ワークをサポートし、従業員が場所に拘束されない柔軟な労働環境を提供することができます。これにより、自治体は人材の選択肢を増やすことができるため、優秀な人材の確保もしやすくなります。
また、従業員のワークライフバランスにも配慮でき、プライベートを充実させられればリフレッシュできるため、業務にさらに集中して取り組めるでしょう。
市民サービスの向上
ペーパーレス化が進むことで、オンラインフォームや電子申請、電子支払いなどのデジタルサービスが普及し、市民が行わなければならない手続きを簡単に行えるようになります。
必要な書類を郵送して、返送してもらうといった手続きも、オンライン上で行うことができれば、すぐに手続きすることができるため、市民満足度の向上にも繋がります。
災害対応の強化
デジタルデータは災害時にも安全にバックアップでき、迅速に復旧することができます。クラウド上にデータを置いておいたり、別の拠点にサーバーを立てておくことで、災害を受けても重要な情報や文書が失われるリスクが軽減します。
業務のペーパーレス化にシステム導入がオススメ

業務のペーパーレス化をするには、システムの導入がオススメです。もちろん現在使用しているExcelやメールなどを活用することでもペーパーレス化を進めていくことはできますが、これらのツールはペーパーレス化が目的ではないため、うまく連携させることが困難です。
そのために、業務効率化ツールなどのシステムを導入することがオススメです。これらを導入することで、文書を管理したり・情報共有をスムーズにしたりすることが可能です。こういったシステムには色々な種類があります。どういったものがあるのか見ていきましょう。
ペーパーレスを推進するシステムの種類
ペーパーレスを推進するために使用できるシステムはさまざまです。主要なシステムを4種類ご紹介します。
(1)文書管理システム
文書管理システムは、デジタル文書の作成、保存、管理、検索、共有を効率化するためのソフトウェアです。紙文書を電子化し、オンラインでアクセス可能にし、複数のユーザーがリアルタイムで文書を編集・共有することができます。
また、文書のバージョン管理、アクセス制御、セキュリティ強化、検索機能なども組み込まれており、組織内の情報共有やデータの整理・保管などを効率化するために利用されます。
(2)電子署名システム
電子署名システムは、デジタル文書や契約に対して、法的な署名ができるようにするソフトウェアです。紙の文書では署名・押印などを行うことと同様に、デジタル文書に署名するために使用されます。
電子署名を行うことで、文書が改ざんされることを防ぎ、署名者の身元を保証してくれます。これにより、契約や法的文書をオンライン上で、簡単かつ安全に処理することができるようになります。
(3)ワークフローシステム
ワークフローシステムは、稟議書の申請や承認、決裁などをデジタル化することができるソフトウェアです。稟議書も種類に応じてテンプレートを作ることもできるため、申請に関する手間も削減することができます。申請されると、承認者には通知され、リマインド機能もついているため、対応が漏れてしまうというヒューマンエラーも少なくできます。
(4)データ分析ツール
データ分析ツールは、データを収集、整理、解析し、改善策を得るためのソフトウェアです。大規模なデータセットからパターン、トレンド、統計情報を発見し、意思決定プロセスをサポートしてくれます。
例えば、業務で時間がかかっている作業であったり、よく行われる作業であったりというデータを分析することで、改善すべきポイントを見つけ出すことができます。
システムを導入する際の注意点は?
様々な種類のシステムがあることがわかりました。ここでは、これらのシステムを導入する際の注意点について、ご紹介します。
必要な機能の洗い出し
システムを導入する前に、システムを利用する組織や部門の具体的なニーズを理解することが必要です。どの業務プロセスの中で利用され、どういった条件を満たす必要があるのかを洗い出しましょう。
例えば、自治体内の稟議書の承認プロセス、市民からの要望に対応するプロセスなど、普段行っている業務をいくつかのプロセスに分類し、さらに具体的なタスクレベルまで分解します。そうすれば、どのタスクがペーパーレス化しやすいのかが見えてくるでしょう。
いきなり全ての業務をペーパーレス化することは難しいです。一番効果のあると考えられる部分から進めていきましょう。
ユーザーサポート
システムを導入しても、実際に使用する人がうまく使いこなせなければ、最大限の効果を得ることができません。そのため、効果的にシステムを活用するには、ユーザーのトレーニングが欠かせません。
システム導入前の利用方法の研修や、導入後の相談窓口の準備などサポートできる環境を準備することも大切です。
データセキュリティ
自治体で扱われるデータの多くは、個人情報や機密情報となるものが多いでしょう。そのため、システムを選定する時に、セキュリティ対策がしっかりとされているものを選ぶ必要があります。
外部からのサイバー攻撃に対して保護されていることはもちろん、内部のセキュリティ対策も行えるかどうかも重要です。例えば、データへのアクセス権限を設定できるか、編集したログを残せるかということもしっかりと確認しましょう。
システムの選定に加えて、システムの利用者に向けて、セキュリティについての研修を行ったり、しっかりとしたルール策定も重要です。
カスタマイズ性
新しい事業を立ち上げたり、今までのやり方を変えるとなった時に、その変化にシステムが対応できるかどうかも重要なポイントです。システムを一度導入すれば、それを長く使い続けることになります。
その中で、どれだけカスタマイズできるのか、もし必要であれば機能を追加することはできるのかなどにも注意して、システムを選ぶようにしましょう。
自治体のペーパーレス化の事例

ここでは自治体のペーパーレス化の事例についてご紹介します。
事例① 会議資料を大幅に削減
紙の使用量が一番多い業務は何かを考えたところ、会議をする際に参加している人に配布する資料に非常に多くの紙が使われていることがわかったそうです。そこで、ペーパーレス化するために、会議システムを導入しました。
システムを導入したことで、年間で約14,000枚の会議資料を削減することができ、紙代や印刷代で14万円程度の削減に成功しています。また、システム導入前は参加者がそれぞれ資料を持ち帰っていたため、紛失のリスクなどもありましたが、サーバー上で資料を管理するため、そういったリスクもなくなりました。
事例② 全職員にタブレットを配布
紙資料の作成のために手間と時間がかかっていたり、窓口で住民の方への説明も紙のマニュアルを使って説明していたりとなかなか業務をうまく進められないという課題がありました。そこで、全職員にタブレットを配布することで、ペーパーレス化を測ったのです。
タブレットがあることで、紙の資料を印刷する手間もなく、紙にかかっていた費用も抑えることができています。また、住民の方への説明時にもタブレットを使用し、きれいな画面でスムーズに説明することができているそうです。
まとめ|自治体でペーパーレス化を目指すならシステム導入を
いかがでしたか。この記事では、紙を用いた業務の抱えている課題を確認して、ペーパーレス化を進めるメリットやその方法についてご紹介しました。
ペーパーレス化は、企業だけでなく、自治体でも取り組んでいかなければならない課題です。システムを導入することで、ペーパーレス化を目指し、業務を効率化させていきましょう。
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