
こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
自治体では、まだ紙の稟議書を作成して申請したり、上長に承認をもらっているというところも多いのではないでしょうか。政府が自治体DXを推進しているため、自治体でもシステムを導入し、稟議書を電子化、申請・承認作業をデジタル化していくことが求められています。
この記事では、自治体に向けて紙の稟議書の課題を洗い出し、システムを導入するメリットや注意点、導入方法についてご紹介します。システム導入を検討している自治体の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
紙の稟議書には課題がある

紙の稟議書は、多くの課題を抱えています。ここでは、3つの課題についてご紹介します。
一つ目の課題は、稟議書の作成、承認に時間がかかるということです。紙の稟議書は手作業で記入したり、手渡ししなければならず、時間も手間もかかってしまいます。稟議書は完成したけど、上長がいなくて渡せないという状況も発生してしまうため、意思決定プロセスが滞ってしまうリスクがあります。
二つ目の課題は、管理やアクセスの手間がかかるということです。紙の稟議書は保管をするのに物理的な場所が必要ですし、Webのように検索もできないため、保管されている場所に足を運び、探す必要があります。
文書を持ち出してしまうと、文書の紛失のリスクもあり、情報のセキュリティといった面でも問題があります。他に見たい人がいるときになくて、すぐに見ることができないということもありえます。
三つ目の課題は、紙という資源を多く使ってしまうことです。紙の稟議書は環境への負荷を高め、持続可能性への配慮が不足していることが挙げられます。紙が作られるための資源は無限ではないため、環境への配慮をしていく必要があります。
ワークフローシステムで申請・承認をデジタル化!
ワークフローシステムは、自治体の稟議書プロセスを効率化するための強力なツールです。稟議書を電子化し、作業をデジタル化することで、申請と承認プロセスをスムーズかつ迅速に実行できます。
ワークフローシステムは、申請者がオンラインで稟議書を提出すると、自動的に審査者に転送され、承認プロセスも追跡可能となります。通知やリマインダー機能を備えているシステムであれば、タスクを見逃すリスクも減らすことができます。データの一元化とセキュリティの向上も実現でき、紙の文書管理や探す手間を削減できるため業務の効率化が期待できます。
稟議書プロセスをデジタル化するメリット

自治体が稟議書プロセスをデジタル化することには、さまざまなメリットがあります。以下に、その中から3つの主なメリットを紹介します。
効率の向上と時間の短縮
稟議書プロセスをデジタル化することにより、書類の作成、承認、審査、配布、保存などのステップを効率的に行うことができます。紙ベースのプロセスでは、書類の印刷や郵送、手動での承認署名などの作業が必要でしたが、デジタル化によりこれらの手間が削減され、プロセス全体のスピードが向上します。結果として、意思決定が迅速化され、プロジェクトや提案の実施までの時間を大幅に短縮することができます。
透明性とアクセス性の向上
デジタル化された稟議書プロセスでは、関係者が必要な情報や書類に簡単にアクセスできます。電子文書はデータベースに格納され、必要な権限を持つ利用者はいつでもデータにアクセスできます。
これにより、毎回紙の文書を探す手間も省けますし、すぐに検索することができるため、情報共有が容易になります。また、必要な承認者やステークホルダーに対しての通知も自動化できるため、重要なタスクを見逃してしまうというヒューマンエラーも少なくなります。
コスト削減
紙の稟議書プロセスは印刷、郵送、収納などの多くのコストを伴います。これに対してデジタル化されたプロセスは、紙の使用量や物理的な保管スペースを大幅に削減できます。
また、電子署名やワークフロー自動化により、作業労力を削減することで、人件費という面でも費用を抑えることができます。今までこの手作業に使っていた時間で、他の業務に当たることができるため、個人の生産性も高められます。
申請・承認作業をデジタル化する際の注意点
自治体が稟議書の申請・承認作業をデジタル化する際に注意すべき重要な点は以下の2つです。
セキュリティとプライバシーの確保
デジタル化された稟議書の申請・承認プロセスは、セキュリティとプライバシーの確保が最優先事項となります。特に政府や自治体のデータは非常に機密性が高いため、適切なセキュリティ対策が必要です。具体的な注意点は下記の通りです。
- データの暗号化
重要なデータは暗号化して、保存および送信されるようにしなければなりません。データベース、ファイル、通信など、あらゆる段階での暗号化ができるシステムを選定するようにしましょう。
- アクセス制限
データへのアクセスは、権限を持つ者だけが情報にアクセスできるように設定する必要があります。役職や役割に応じてアクセス権を設定し、関係者のみが閲覧・編集できるようにしましょう。
- 監査ログ
すべてのアクションと変更について監査ログを保持し、不正行為のトレースと監視ができるようにします。もしトラブルが発生しても、ログを残しておけば、どの時点で問題があったのかを見つけることができます。
ユーザーフレンドリーなデザインとトレーニング
申請・承認作業をデジタル化する場合には、ユーザーフレンドリーなデザインとトレーニングが欠かせません。自治体の職員や関係者が新しいシステムを効果的に利用できるようにするために次の点に留意しましょう。
- ユーザーインターフェース (UI)
稟議書のデジタルフォームやシステムのUIは直感的で使いやすいものであるべきです。全体に導入する前にユーザーテストを実施して、ユーザーのフィードバックを取り入れて改善を行うようにしましょう。
- 関係者へのトレーニングとサポート
職員や関係者にシステムの使い方を教育し、必要なトレーニングとサポートを提供することが必要な場合があります。オンライントレーニング、マニュアル、相談窓口などを用意し、トラブルシューティングのサポートを行うことで、作業を円滑に進めることができるでしょう。
- フィードバック収集
運用開始後も、ユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、システムを改善し続けましょう。ユーザーのニーズに合った変更を実施していくことで、システムを利用した作業をさらに効率化したり、他の作業もシステムを使ってデジタル化したりすることに役立ちます。
ワークフローシステムの導入手順

自治体が稟議書を電子化し、作業をデジタル化するためにワークフローシステムを導入する手順を5つのステップに分けて説明します。
ステップ 1: 目標の設定とニーズの評価
最初に、ワークフローシステムの導入目標を明確に設定し、自治体のニーズを評価します。以下の点に注意しましょう。
- 稟議書を電子化する主要な目的は何か?例えば、効率化、コスト削減、トレーサビリティの向上などが考えられる。
- 現行のプロセスを評価し、どの部分をデジタル化できるかを特定する。
- 利用可能な予算、人的リソース、ITインフラストラクチャを確認し、ワークフローシステムの適切な範囲を決定する。
ステップ 2: システムの選定と調査
適切なワークフローシステムを選ぶために、以下の手順で実施します。
- ベンダーやソリューションプロバイダーのリサーチを行い、提供されているシステムを比較評価する。
- システムのデモンストレーションを受け、自治体の要件に合致しているかどうかを確認する。
- ベンダーの信頼性、サポート体制、セキュリティ対策なども考慮に入れる。
ステップ 3: ワークフローデザインとカスタマイズ
選択したワークフローシステムを自治体のニーズに合わせてカスタマイズし、ワークフローを設計します。
- 稟議書のデジタルフォーマットを設計し、ワークフロー内でのデータの流れを検討する。
- 承認プロセスやアラート、通知などのワークフロー手順を設計する。
- ワークフローシステムが他の自治体システムと連携できるように設定する。
ステップ 4: テストとトレーニング
ワークフローシステムのテストとトレーニングを実施し、スムーズな導入を確保します。
- ワークフローを実際の状況でテストし、問題点を特定して修正する。
- スタッフにシステムのトレーニングを提供し、正しい操作方法を習得する。
- ユーザーフィードバックを収集し、必要に応じてシステムの調整を行う。
ステップ 5: ロールアウトとモニタリング
最後に、ワークフローシステムを実際に導入し、定期的なモニタリングを行います。
- システムを段階的に導入し、問題が発生した場合にすぐに対応できるようにする。
- ユーザーからのフィードバックを収集し、改善を継続的に行う。
- セキュリティ対策を遵守し、データの保護を確保する。
- システムのパフォーマンスと稼働状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて改善を計画する。
自治体におけるワークフローシステムの導入事例
ここでは、ワークフローの導入事例についてご紹介します。
事例① 決裁をスムーズに
稟議書を紙で運用していて、関係者の承認を得るために印刷して、確認してもらっていたが、印刷に手間もかかり、紛失するというリスクもありました。また、多くの関係者の承認を貰う必要があり、時間がかかるという課題も感じているところに、システムを導入をされたそうです。
システムを導入することで、稟議書の申請もオンライン上で行うことができ、また関係者の承認も並列して承認できるようにしたため、決済までの流れがスムーズになりました。印刷が不要になることで、他の部署や複数の拠点をまたぐ場合でも、決済期間を短縮でき、紛失のリスクを減らせるという効果を実感しているそうです。
事例② 情報共有を円滑に
従来のシステムでは、メールや電話、Excelなどを利用して連携をとっていたことで、自治体内のシステムの情報とのラグが生じてしまっていました。そこで、ワークフロー全体をデジタル化することで、業務の効率化を図ったそうです。
文書管理の機能では、稟議書の申請者から承認者をシステム上で繋げることで、他のツールでの連絡が不要になり、承認された書類に関してもPDFデータとして保存することができています。
また、申請や承認などを行った際は、自動で集計され、時間がかかっている承認・決裁であったり、差し戻しとなっているものなども可視化して管理することで、次のアクションがわかりやすくなったと効果を実感しています。
まとめ|自治体の稟議書の申請・承認作業もデジタル化しよう
いかがでしたか。この記事では、自治体に向けて紙の稟議書の課題を洗い出し、システムを導入するメリットや注意点、導入方法についてご紹介しました。
紙の稟議書には多くの課題があるため、業務を効率化してスムーズに進めていくには、システムの導入が欠かせません。この記事を参考に、システム導入を進めていきましょう。
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