
昨今、さまざまなビジネスにおいて、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)により、既存の枠組みを覆すような革新的なイノベーションを推進する動きが見られます。株式会社オムニサイエンス様は、このDXをよりスムーズに実践すべく「データと自動化で人の時間を創る」をキーワードに、ITサービス・ソリューションを提供されている企業です。
株式会社オムニサイエンス様の主力商品は「PHPQUERY」というサブスクリプション型のIBM iのデータ活用・自動化ソフトウェアです。さらに、2019年からはIBM i上のPHP稼働環境であるZend Server for IBM i(Zend by Perforce)の日本代理店としてZend製品の販売・サポートを開始しました。2021年には「API-Bridge」というAPI連携ツールを販売開始するなど事業を拡大しています。2022年4月には六本木ヒルズに本社を移転され、今後もその勢いは止まらない印象です。
その中で、クロジカの導入前に感じていた課題や、クロジカ導入の決め手、そして導入後の効果や実際の使用感について、株式会社オムニサイエンスの藤井代表取締役CEO、IBM i DX統括本部の関戸様にお聞きしました。
目次
IBM i・AS/400のDX化を推進
── 貴社の事業内容を教えてください。
藤井様:かつては「AS/400」と呼ばれていたミッドレンジコンピューター向けのオペレーションシステムで、企業の基幹業務システムなどに利用されている「IBM i」というシステム統合基盤があります。弊社はその業務システムの開発及びソフトウェアの開発、販売を得意としてきました。
IBM i・AS/400は長く利用され、今ではいわゆるレガシーシステムにあたりますが、企業活動の情報が蓄積されているため、企業にとっては重要な情報資産になります。そのため、現在はレガシーと呼ばれる価値ある資産を有効活用していくために最新技術(SaaSやWebサービスなど)を組み合わせてDX化を進めるという「Legacy with DX」を弊社の製品・サービスで支援することをめざしています。
そのDXの支援の中では、サブスクリプションのビジネスとしてIBM iのデータ活用プラットフォームの「PHPQUERY」という製品がメインになりますね。2014年に販売開始し、7~8年が経過するところです。直近では2021年に「API-Bridge」という製品を販売開始しました。「API-Bridge」は、COBOL・RPGなどのいわゆるレガシーシステムと、DXの主役となるSaaSやWebサービスのAPI連携を行い、Webの技術に対応させるインターフェースを持たせるためのツールです。これらを軸にIBM i・AS/400のDX化を推進していくという会社です。

エクセル運用によるサブスクリプションサービスの前受金管理が大きな負担に…
── クロジカ導入前に抱えていた課題や悩みをお聞かせください。
藤井様:「PHPQUERY」の展開に際して、数年前に見積書から請求書を作成する自社システムを構築しました。コピー機能も備えており、毎月同じ内容の請求書を作成できる機能を持たせていました。サブスクリプションに対応しているシステムで、毎月の請求に関してはそこまで苦労してなかったと思います。ただ「前受金管理」の部分で非常に複雑な仕組みを別エクセルで持たざるをえなくて困っていました。
── 前受金管理が必要な取引、毎月売上が発生する取引が多いということですね。
藤井様:はい。例えば「PHPQUERY」は今4つのプラン(FREE、BASIC、ADVANCE、PREMIUM)とENTERPRISEプランがあり、現在100社以上の契約があります。そのうちの1割程度がパッケージ版で提供しているENTERPRISEプランで、それ以外は基本的に月額で提供しております。ですので、契約件数が増えるに従って、前受金管理がネックとなっていきました。
請求金額の自動按分が実現!面倒な前受金の取り崩し作業から解放!
── クロジカを導入する決め手となったポイントはどんな点でしたか。
藤井様:月額モデルのSaaSの請求管理に対応していて、前受金管理も可能な点でした。ほかにも3~4社のシステムを比較しましたが、前述の月額のSaaSに対応している点や前受金管理の機能を有する点、そして価格面からもクロジカが弊社に一番にフィットするかなと思い、導入を決定しました。
── 具体的にはクロジカはどのような使い方をされていますか?
藤井様:現在、実際に使用しているのは4名です。見積担当が2名、請求担当が2名ですね。
前受金管理はクロジカで行うことができています。顧客に請求した金額を月ごとに按分して、取崩しを行っていく使い方で重宝しています。一方で請求書は現在、クロジカからCSVデータを出力して他のツールに取り込んで発行しています。これは「API-Bridge」との連携で試験的に使用しているので、今後もクロジカをさらに活用できる方法を検討したいですね。

シンプルなUI、違和感のない操作性。売上管理、前受金管理の工数を大幅削減!
── 導入後の実際の使用感、使いやすいと感じる点などを教えてください。
関戸様:違和感なく操作できるところですね。もう完全に慣れました。UI(User Interface)もシンプルで本当に分かりやすいです。そうはいっても、最初のうちは分からないことも多くて営業担当の方に何度も問い合わせをしたのですが、毎度丁寧にご対応いただいたのと、実装要望にも応えてくださって一層使いやすくなりましたね。
藤井様:現在も利用し続けているのは、本当に使いにくい点がないからだと思います。
── 従来と比較して具体的にどのような点で効果を感じられましたか?
藤井様:自社で構築したシステムを利用していた時期もありますが、サブスクリプションサービスの毎月の売上管理や前受金管理を考えると、社内での管理やメンテナンス作業の工数が大幅に削減され、その点は大きいです。
また、見積書もそれまで営業担当が各自で書式や形式を変えながら作成していましたが、クロジカを導入したことによって皆が同じフォーマット、同じクオリティの見積書を作れるようになったことも大きいですね。書面として圧倒的に統一感が出てきたと思います。
── 今後、クロジカに期待したいことはありますか?
オプションで構わないので、請求書のタイムスタンプ機能があるといいなと思います。これはPDFの管理のしやすさや、「改正電子帳簿保存法」の絡みもありますね。
「改正電子帳簿保存法」では電子取引時の帳簿について、タイムスタンプの要件が一部緩和されているのも把握しておりますが、顧客によっては発行者が付与するタイムスタンプなどが必要なケースがあると考えれば、請求書発行時の仕組みに入れてしまうのも便利かなと思います。弊社としてもタイムスタンプを付与することで信頼感が増しますしね。
── 貴重なご意見ありがとうございます。最後に、今後の貴社の展望や取り組んでいきたいことをお聞かせください。
藤井様:IBM i・AS/400は物理的に大きな筐体(きょうたい)をお客様に納品して、その上でアプリケーションなどを動かしてもらっていました。ただ、IBM社が2021年からクラウドサービスを始めたので、日本に数多くあるIBM i・AS/400の顧客にマシンからクラウドに切り替えてもらおうと、直近で取り組んでいます。
APIがより花開いて「クラウドネイティブ」の世界に顧客をお連れして、DXしやすくなるようにしたいとも考えています。期間としては2030年ぐらいまでみていますね。これまではマシンの上で動くアプリケ-ションを狙ってやってきましたが、クラウドサービスで攻めるという戦略です。基本的に顧客にはIBMのクラウドサービスを直接受けてもらい、僕らがマネージドの監視サービスや一部請求代行などを行うイメージです。
そういった側面的な支援と、アプリケーションでDXの実現へとつなげていきたい。ここが今後伸びるポイントになると思います。
── 2022年4月から新オフィスにご移転されてますます進化していかれるのですね。
藤井様:優秀な人材を採用する上でも、色々な仲間を巻き込む上でもオフィスを移転したり露出を増やしたりしている、という状況ですね。
関戸様:そうですね、新オフィスは誰もが知っている場所なので各方面からの反応も変わりますし、移転時にも反響がありました。ますます気を引き締めて頑張っていきたいと思います。


社名 | 株式会社オムニサイエンス |
事業内容 | IBM i クラウドサービス事業/IBM i モダナイゼーション事業 |
Webサイト | https://www.omni-s.co.jp/ |